アップル社、2024年に電気自動車(EV)の生産開始を目指す
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2021年01月13日
一般社団法人エネルギー情報センター

2020年12月、ロイター通信は米アップルが2024年の電気自動車(EV)の生産開始を目指し、車載電池技術の開発を進めていると報じました。実現すれば、既存の自動車大手にとっては脅威的な存在となるかもしれません。
アップルの独自EV開発の取り組みが「十分に進歩」している状況
創業から約17年でEVの年間販売台数が50万台規模に達する見込みのテスラや、電機業界からはEVの試作車を発表したソニーなど、ガソリン車に比べ部品点数が少ないEVの参入障壁は低いとされ、新規参入や異業種からの進出が相次いでいます。
昨年12月、国内でも政府が「2030年代半ばまでにガソリン車の販売を禁止する」方針を打ち出しました。日本が世界の潮流に乗って、自動車の電動化に関する規制強化を加速させていく中で、同月21日、米アップルが2024年の電気自動車(EV)の生産開始を目指し、車載電池技術の開発を進めているとロイター通信により報じられました。
報道したロイター通信社は、“アップルの独自EV開発の取り組みが「十分に進歩」し、現在は消費者向けの車両の製造を目指している。EVの量産については、スマートフォン「iPhone」などと同様に外部企業に委託することになるだろう”と指摘しています。ただ、数万点とされる自動車部品の供給網を構築するのは容易ではないため、“アップルが計画を縮小し、自社ブランドのEVを生産する代わりに、既存の車メーカーに自動運転システムを供給する可能性もある”としています。
アップルが今、EVの開発に注力するのはESG投資の世界的潮流か
アップルがEV事業に参入するという話は、以前にもありましたが、なぜいま、EVの開発に注力するのか。それは、ESG投資の影響だと考えられます。ESG投資とは、従来のような財務状況を主体とするだけではなく、環境・社会・ガバナンスに関する企業活動を加味した投資のことです。
2010年代中頃、自動車事業はアップル社内で「プロジェクト タイタン」というコードネームで呼ばれ、本社があるシリコンバレー界隈で公道テストする車両が多数目撃されていました。しかし、2017年にはティム・クックCEOは「プロジェクト タイタン」の存在を認めたうえで、開発事業の一時凍結を明らかにしました。
その理由については、アップルとしてクルマというハードウェアを生産することよりも、ソフトウェアやクラウド上での制御システムなどの方が事業の可能性が大きいから、としていました。そうした発言から3年が経ち、また自動運転EV量産の話が表に出てきたということになります。
ここ数年間でESG投資は世界的に注目されており、世界各地で大きな資金が動くようになりました。そのなかで、再生可能エネルギーやEV(電気自動車)などへの関心が高まったこともあり、国や地域で電動車を早期に社会導入する政策を発表する動きにつながってきました。
アップルのEV事業は、グーグルやゼネラル・モーターズ(GM)などのライバルと比べて進捗が遅れていましたが、19年には米スタンフォード大学の人工知能(AI)研究者らが設立した自動運転のスタートアップ企業、ドライブ・エーアイを買収しており、モビリティー分野への進出に意欲的です。現在では、自動運転技術の開発に約5000人の従業員が関係しているとの資料も出ています。
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