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EMS関連市場、卒FIT等により2030年に約1.7兆円、省エネからデータ取引等の付加価値の時代へ、富士経済予測

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富士経済は国内のEMS関連市場を調査した結果として、国内市場が2030年に1兆7134億円(2018年度比194%)に達する見込みであると発表しました。この調査では、EMS関連システムや需要家側EMS関連設備、EMS関連サービスの市場動向を整理し、それらをEMS関連市場として定義した上で今後の動向を推測しています。

富士経済がEMS関連市場を予測

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは、電気・熱・ガスなどのエネルギーの見える化や設備の最適運用などを実現するシステムのことです。データを表示して省エネ行動に繋げるケースや、自動的に使用量を調整するケースなど、需要側、供給側、送電側・監視側の連携程度により様々なシステムがあります。

EMSは、労働効率化・省力化へのニーズや、需要家側が主導となる需給調整ビジネスの立ち上がり、卒FITに起因するエネルギー自家消費ニーズの高まりなどにより、今後採用が増加すると想定されます。

こうした中、富士経済は国内のEMS関連市場を調査した結果として、国内市場が2030年に1兆7134億円(2018年度比194%)に達する見込みであると発表しました。この調査では、EMS関連システムや需要家側EMS関連設備、EMS関連サービスの市場動向を整理し、それらをEMS関連市場として定義した上で今後の動向を推測しております。なお、調査結果は「2019 エネルギーマネジメントシステム関連市場実態総調査」にまとめられています。(調査期間:2019年4月~8月)。

省エネからデータ取引等への利用に移行

2030年度までの市場規模の推移の特徴としては、まずEMS市場自体の増加は大きくなく、2018年度比で111%程度になるとみられています。しかしながら、EMSが創蓄連携や設備機器のデータを統合管理するプラットフォームとしての役割を担うことで、関連設備・サービスの相乗効果が期待されます。これら関連設備・サービスの市場規模は、2030年度には2018年度比で約2倍の1.6兆円ほどになると想定されています。

需要家側EMS関連設備は、特に、卒FITに起因するエネルギー自家消費ニーズの高まりにより蓄エネ設備が伸長します。そのほか、収集したデータに基づく予兆保全や、生産効率向上などを図るソリューションに対応した設備の展開が進んでいくと想定されています。

これまでは、需要家側EMS関連設備というと省エネがメインであり、エネルギーの見える化やエネルギーの使用効率化を図るための機器制御が中心でした。しかし今後は、設備のサブスクリプションビジネスやエネルギー・リソース・アグリゲーション・サービス、データ取引など、ビジネスモデルや利用シーンが広がり、市場が拡大していくと考えられます。

2018年度 2030年度予測 2018年度比
EMS/EMS関連システム 956億円 1,061億円 111.00%
需要家側EMS関連設備 4,592億円 8,672億円 188.90%
EMS関連サービス 3,286億円 7,401億円 2.3倍
合計 8,834億円 1兆7,134億円 194.00%

EMS関連の国内市場 出典:富士経済

HEMSはVPPコントローラーとしての役割に、BEMSはビル管理の人手不足への対応

HEMS市場は依然として新築向けが中心であり、近年ほぼ横ばいとなっています。しかしながら今後はZEH補助事業や蓄電システム補助事業が下支えし、微増推移が予想されています。

また、これまでのHEMSの役割として、省エネを目的としたエネルギー効率化が挙げられますが、今後は住宅向けIoTサービスのプラットフォームとしての役割を担っていくとみられています。将来的にVPP(Virtual Power Plant)や需給調整ビジネスが立ち上がると、家電や畜エネ設備を制御するコントローラーとして、HEMSの位置づけはさらに高まるとみられています。

BASについては、首都圏の大型ビルの新築需要、リニューアル需要ともに順調のためビジネスの土台はありますが、BAS市場自体は建物関連設備・システムの価格要求が厳しくなっていることから緩やかな伸びとなっています。

今後BAS市場は、短期的には、首都圏の大型案件が落ち着くため2020年度に縮小に転じます。しかし東京都23区内や地方中核都市の再開発案件に加えて、建設作業員不足や資材費高騰から先送りになっていたリニューアル案件もあり、一定規模は維持されるとみられています。

中長期的には、ビル管理で人手不足が顕在化することにより設備管理の省力化・自動化ニーズが高まると想定されます。それに伴い、これまであまり採用されてこなかった延床面積数千㎡規模の建物において、安価なクラウドベースのシステムが普及するとみられています。

BEMS単独システムは、省エネを目的とした導入が一巡しており、市場はピーク時の60%程度まで縮小しています。電力の全面自由化により、高圧電力の値下げもあるため、コストパフォーマンスの面からエネルギーの見える化やデマンド制御による省エネ機運が低下しています。

今後の新しいビジネスとして、電力小売サービスの高付加価値化や、小売電気事業者を介した省エネ・デマンドレスポンスサービスとしての導入が増加すると予想されます。また、ビル管理などの人手不足に伴い、設備管理の省力化・自動化の一環として、設備の予防保全・予兆監視を行うためにエネルギーデータを取得するケースが増加するとみられています。

2018年度 2030年度予測 2018年度比
HEMS 65億円 95億円 146.20%
BAS 491億円 486億円 99.00%
BEMS単独システム 81億円 110億円 135.80%

HEMS、BEMSの国内市場 出典:富士経済

これから市場形成が進むアズ・ア・サービス、2030年度は2018年度比で500倍に

建物設備向けアズ・ア・サービスは、快適なビル環境や施設環境を実現する新たなサービスです。例えば空調設備においては、ビル・商業施設の空調設備を施設のオーナーに代わって設置・保有し、建物の規模や空調の使用実態に応じた運用管理により、利用者に快適な空調空間を月額固定料金で提供するサブスクリプション型のサービスが一部で始まっています。

メリットとして、設備導入や更新、運用段階で発生する費用や手間が軽減され、快適なビル環境の実現が可能となります。それに加えて、設備管理者に義務付けられたフロン排出抑制法に基づく法定点検や、既存設備の使用状況に応じた空調設備のリノベーション提案など、運用に関する総合的なサポートが受けられます。

現状では空調設備のほか、照明設備などでサービス展開されている程度であり、本格的な市場形成には至っていませんが、今後は新たなサービス提案が活発化すると予想されています。また、アズ・ア・サービスを入り口として、さまざまなサービスやソリューションの提案が行われると考えられています。

2018年度 2030年度予測 2018年度比
1億円 500億円 500.0倍

XaaSの国内市場 出典:富士経済

2025年頃から本格化する見込みのネガワット取引

エネルギー・リソース・アグリゲーション・サービスとは、各地に分散している太陽光発電システムや燃料電池、蓄電システムなどのエネルギー・リソースをリソースアグリゲーターが集約し、さまざまなかたちで提供するサービスです。

その土台となるネガワット取引は、2017年4月に始まっておりますが、現状では需要家への経済的インセンティブや事業収益性が確立されておらず、取引規模は小さいです。

市場が本格化するのは、政府主導による制度設計や参加事業者によるビジネススキームが定まる2025年頃になると予想されます。以降は、卒FITによる再生可能エネルギーの自家消費分の増加など、エネルギーリソースの状況も変化するとみられ、新たな市場創出が期待されています。

2018年度 2030年度予測 2018年度比
10億円 840億円 84.0倍

エネルギー・リソース・アグリゲーション・サービスの国内市場 出典:富士経済

ビル設備遠隔監視サービス、人手不足により採用が増加する見込み

ビル設備遠隔監視サービスは、ビル管理会社に設備管理の外部委託をしている施設や中央監視システムを導入している施設など、主に大規模施設や複数拠点を有する大手企業で、保守管理サービスの一環として採用されています。

中小規模施設の採用は限定的ですが、今後は業務・産業施設における設備管理での人手不足が顕在化することにより、設備管理の自動化・省力化ニーズが高まるとみられ、採用が増加すると予想されています。監視だけでなく、取得したデータは保守メンテナンスや改修、更新提案など、コンサルティングビジネスでの活用が広がるとみられています。

なお、ビル設備遠隔監視サービスの市場範囲として、富士経済の調査では、空調設備や受配電設備などのビル設備において、稼働状況や警報信号の発生をクラウドサーバー上で管理し、設備のトラブルや故障予兆を遠隔監視するサービスを対象としています。

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