環境省が「木から作る自動車」を公開、2016年に世界初始動したNCVプロジェクトの成果

2019年11月11日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

環境省が「木から作る自動車」を公開、2016年に世界初始動したNCVプロジェクトの成果の写真

環境省は「東京モーターショー2019」にブースを展開し、木から作る軽量化したコンセプトカーを展示しました。同時に、世界初となるGaNを用いた超省エネルギーコンセプトカーも同時公開しています。

植物由来の自動車、「東京モーターショー2019」で公開

日本において、環境性能に優れた自動車の普及は、重要な施策のひとつとなっており、政府は「低炭素社会づくり行動計画(平成20年7月閣議決定)」「日本再興戦略(平成25年6月閣議決定)」「エネルギー基本計画(平成26年4月閣議決定)」等の決定文書において、環境性能に優れた自動車の普及目標を掲げています。

また、国等においては、環境性能に優れた自動車の導入を率先して進めるため、グリーン購入法において環境性能に優れた自動車を率先導入の対象とするなど、その普及にむけて様々な施策を講じております。

こうした中、環境省は2016年12月、平成32年に自動車で10%程度の軽量化を目標とするNCV(Nano Cellulose Vehicle)プロジェクトを世界で初めて始動したと発表しています。

NCVプロジェクトの骨子は次世代素材CNF(セルロースナノファイバー)です。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を有しており、植物の細胞壁から抽出した繊維を補強材として用いることで、熱による変形も小さいです(線膨張率はガラスの1/50程度)。植物由来であることから環境負荷が小さい次世代素材として注目されています。

2016年10月、京都大学、産業環境管理協会をはじめ20の研究機関、企業等のサプライチェーンで構成される一気通貫のコンソーシアムが設立され、CNFを活用した自動車部品等の製品開発及び各段階の性能評価、CO2削減効果の評価・検証が取り組まれてきました(図1)。

その成果物として、環境省は「東京モーターショー2019(2019年10月24日~11月4日)」にブースを展開し、木から作る軽量化したコンセプトカーを展示しました。

製品活用時のCO2削減効果の評価・実証

図1 製品活用時のCO2削減効果の評価・実証 出典:京都大学

コンセプトカーでは、ドアトリム、ボンネット、ルーフパネル等の部品にCNFが活用されており、特にボンネットやルーフサイドレールは100%、CNFにより構成されています(図2)。結果として、部品単体では最大で5割程度の軽量化を、車体全体で1割以上の軽量化を実現しています。

CNFで試作された部材

図2 CNFで試作された部材 出典:京都大学

また、車体軽量化に伴う走行段階でのCO2排出削減のほか、素材製造段階から廃棄・リサイクル段階までのライフサイクル全体でCO2排出量を約1割削減できる見込みです。

なお、CNFは、地域の未利用バイオマス資源から生産できるため(図3)、地域経済の発展に貢献できるほか、プラスチックの代替素材としての可能性を有しており、海洋汚染問題の解決にも期待されています。

CNFで試作された部材の性能評価

図3 CNFで試作された部材の性能評価 出典:京都大学

世界初、GaNを用いた超省エネルギーコンセプトカーも同時公開

環境省は「東京モーターショー2019」において、上記の「木でできたコンセプトカー」のほか、窒化ガリウム(GaN)を用いた超省エネルギー自動車を展示しています。

GaNは、あらゆる電気機器に搭載されている半導体のエネルギー損失を抜本的(10分の1程度)に低減する次世代素材です。インバータ、コンバータ、充電器などに窒化ガリウム技術を適用させ、徹底的に電気ロスを削減することで、従来技術と比較し、電費性能が20%改善が見込めるとされています。

これにより、電気ロスの削減と電気系統の小型化・軽量化が実現、従来のパワーエレクトロニクス技術に対して走行時のCO2排出量が約2割低減される見込みです。

なお、今後の研究により、パワーモジュールの体積を従来の30%低減することが見込まれております。これにより、電池パック数の削減や電気系統の小型化が可能となり、車のデザイン自由度が飛躍的に向上することとなります。

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