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2021年度の固定価格買取制度の検討状況、小規模はFIT継続、大規模はFIPや入札になる可能性

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「特別措置法」であるFIT法には、2020年度末(2021年3月31日)までに抜本的な見直しを行う旨が規定されています。本記事では、国による検討内容から、2021年度以降のFIT制度における方向性を見ていきます。

改正FIT法の抜本的見直しへ

日本において2012年7月に創設されたFIT制度は、再生可能エネルギー導入初期における普及拡大と、それを通じたコストダウンを実現することを目的とする制度です。この制度により、再エネ発電の普及による環境問題への対処や、石油資源に対する代替エネルギーの確保、そして量産効果による価格の低下が実現しました。一方で、太陽光発電への導入偏重、初期の高価格案件の未稼働といった問題が生じ、急激な電源開発と併せて国民負担が著しく増大することとなりました。

こうしたFIT制度創設以降に生じた課題に対しては、2017年に改正FIT法が施行され、入札制の導入や、未稼働案件の防止、そして適切な事業実施を確保するための事業計画認定制度の創設などの対応が行われました。

改正FIT法の成立以降、現時点の状況を確認すると、再エネの導入が更に進展した一方で、依然として、発電コストは国際水準と比較して十分に低減したとは言えず、国民負担の増大の一因となっています。再エネ賦課金についても年々と上昇しており、2019年度の単価(2.95円)は2012年度(0.22円)と比較すると10倍以上になっています。

なお、2030年度のエネルギーミックス(再エネ導入水準(22~24%))について、これを達成する場合の FIT 制度における買取費用総額は3.7~4.0兆円程度になると長期エネルギー需給見通し(2015年制定)では想定していますが、2019年度の買取費用総額は既に3.6兆円程度に達すると見込まれています。

また、再生可能エネルギーの導入拡大により、系統制約が顕在化しつつあり、加えて小規模のFIT電源を中心に、既に導入されている電源の調達期間終了後の事業継続や将来的な再投資が滞るのではないかといった懸念、設備廃棄を含めた責任ある事業実施に対する懸念等も明らかとなっています。

これらの課題解決に向け、FIT制度の在り方について国による検討が進められています。前提条件として、FIT制度は時限的な特別措置として創設されたものであり、「特別措置法」であるFIT法にも、2020年度末(2021年3月31日)までに抜本的な見直しを行う旨が規定されています。本記事では、国による検討内容から、2021年度以降のFIT制度における方向性を見ていきます。

FIT制度の改正に係る全体的な方向性

2021年度以降のFIT制度の在り方の検討内容として、大きな変更点の1つに、大規模案件を中心としてFIT制度廃止が検討されている点が挙げられます。8月に行われた再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会の中間整理では、FIT制度から入札制やFIP制度へ完全に移行し、競争を促進すべきとの意見が報告されています。

また、FIT制度のメリットとして、長期的な事業計画が立つため資金調達が容易になる点が挙げられますが、FIP制度への移行とともに、開発リスク低減など包括的な政策をとることが必要が示されています。

その他、現状のFIT制度ではインバランスリスク負担の回避によって、電力市場のメカニズムから半ば隔離された状況で再エネの導入が進められてきました。しかしながら、今後はインバランスリスクや出力制御など、発電事業者としての然るべき責務を負うべきだとされています。それに伴い、需給調整市場への再エネ発電事業者の参入を進めるべきとの方向性も見られます。

再エネに関する制度例

種類 制度概要 実施国(例)
FIT 一定価格で一定期間買取り 日本、トルコ、ケニア
FIP 市場取引+プレミアム付与 ドイツ、デンマーク
CfD 市場取引+ストライク・プライスと卸電力市場価格との差額を決済 英国
全量買取 送電会社に対し再エネの全量買取を義務付け 中国
ネットメータリング 消費者側設備による余剰電力を消費電力と相殺して精算 米国(州別)、イタリア
RPS 販売電力量に応じ再エネの一定割合の導入を義務付け 米国(州別)、韓国
グリーン証書 電力取扱量に応じ一定割合の証書購入を義務付け スウェーデン、ノルウェー
排出権取引 事業者別に設定された排出枠を満たす義務 カナダ(州別)、メキシコ
Investment Tax Credit(ITC) 再エネ設備設置費用に対する税金を一部控除 米国
設備容量に応じた補助 収益率一定水準以下の設備に対し設備容量当たりの金額を毎年補助 スペイン

出典:経済産業省資料より作成

太陽光発電

太陽光発電は、大型案件(500kW以上)は既に入札制度となっており、その他の電源と比較すると一足先に競争原理が導入されています。小規模な案件については、2021年度以降、自家消費を促す制度構造になると考えられます。

例えば、小規模の事業用太陽光発電は、需給一体型のモデルで成り立つものを国として支援することが適切だとされています。したがって、全量買取ではなく、余剰買取となる可能性があります。

また、住宅用太陽光発電については、現行では電気料金よりも買取価格の方が高いため、自家消費が少ない方が採算性が高いですが、自家消費の方が有利になる制度になると想定されます。また、太陽光発電の事業の集約化が重要であり、そもそも50kW未満については経済的なインセンティブが働かないような制度に変えるべきでは、との検討もなされています。

全体として、買取義務やインバランス特例をなくしていき、FIP制度など市場連動型の制度に早期に移行させるべきとされ、今後の検討によっては、地域ごとにFIP制度に移行するなど地域偏在性を踏まえた戦略を取ることもあり得ます。

風力発電

風力発電は、RPS制度の下では15年間の買取期間を前提に、12円/kWh程度で導入が進んできており、既にFIT認定容量は10GW近傍であることも踏まえれば、買取義務は必要ない時期に差し掛かっており、追加的な補助策が必要であれば、FIP制度等によって支援すべきとされています。

洋上風力発電については、完全セントラル方式が導入されなければコストが低減しないのであれば、これ以上国民負担を増やしてまで導入すべきではなく、それまで洋上風力発電の導入を待つべきとされています。

なお、風力発電は国内でメインの設備をほとんど作っていないため、FIT制度による風力発電設備への支援が、日本の国際競争力強化につながりづらい部分も課題だと考えられます。

地熱発電

地熱発電は、長期安定電源として期待は大きいですが、一番のネックは開発リスク・開発コストのため、今後はFITではなく、開発支援に重点を置くことが適切であり、開発権の保証や系統接続の担保により開発が進むと考えられています。

なお、地熱発電は規模別で比較するとコストに大きな開きがあり、小規模案件は非常に高くFIT制度からの自立化がいつまでたっても難しいと思われるため、国による支援は中規模以上の案件に注力すべきとの可能性が示唆されています。

中小水力発電

中小水力発電はコストも安く、調整電源としての役割も期待されるため、競争力のある電源と評価されています。そのため、そろそろFIT制度は不要となり、FIP制度や開発支援へのシフトが可能と想定されています。

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