日本初、CO2ゼロの都市型通勤電車が実現、世田谷線の運行が再エネ100%に
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2019年03月28日
一般社団法人エネルギー情報センター
東急電鉄は、東北電力、東急パワーサプライの協力により、水力および地熱のみで発電した再生可能エネルギー100%による世田谷線の運行を2019年3月25日から開始すると発表しました。東急電鉄によると、都市型鉄軌道線における、日本初の再エネ100%の電力による通年・全列車の運行になるとしています。
世田谷線の運行がCO2フリーに、東京ドーム約0.5個分を削減
東急電鉄の母体の一つである「田園都市株式会社」が設立されたのは1918年であり、その100年後に東急電鉄は、2018年度からの中期経営計画におけるスローガン「Make the Sustainable Growth」 を発表しています。
「Make the Sustainable Growth」の基本方針として、「街づくり」「企業づくり」「人づくり」といった3つののサステナビリティを掲げています。また、これらサステナブルにおいて、「安全・安心」「まちづくり 」「低炭素・循環型社会」「生活環境品質」「ひとづくり」「企業統治・コンプライアンス」を重要テーマとして置いています。
この重要テーマの一つ「低炭素・循環型社会」の一環として、東急電鉄は、東北電力、東急パワーサプライの協力により、水力および地熱のみで発電した再生可能エネルギー100%による世田谷線の運行を2019年3月25日から開始すると発表しました。
今回、再エネ100%となる世田谷線は、世田谷区東部を縦断する地域密着路線で、東京では都電荒川線とともに残る数少ない路面電車です。東急電鉄によると、都市型鉄軌道線における、日本初の再エネ100%の電力による通年・全列車の運行になるとしています。
これまで世田谷線は、1年間で東京ドーム約0.5個分(1,263t-CO2)の二酸化炭素を排出していましたが、今後は「日本初の二酸化炭素排出量ゼロの都市型通勤電車」となる見込みです。
鉄道は大量輸送機関であり、環境にやさしい乗り物といわれています。鉄道で1人を1km運ぶ際に排出するCO2は、国交省の資料によると、自家用乗用車に比べ約7分の1となっています(図1)。今回の取り組みにより、これまでよりも更に環境負荷の少ない運輸事業が実現すると期待できます。
再エネ電気は、東北電力および同社グループ企業の東北自然エネルギーが保有する発電設備が利用されます。水力発電所および地熱発電所で発電されたものとなり、いずれもFIT適用外です。そのため、CO2排出ゼロの再生可能エネルギー由来の電力となります。なお、再エネ電気は、本線・車庫内における電車運行にて利用されます。
今回のスキームにおいて、再エネ電気の証明は、世田谷線の電力使用量実績と、再エネ電気を供給する水力・地熱発電所の発電電力量実績の相互確認によって行われます。これにより、全時間帯において使用電力量の全量が再エネ電気であることが証明されます(図2)。
東急パワーサプライは、東北電力の取次事業者として本取り組みに参加します。3社は、国内における再生可能エネルギー活用の先進的な事例となる本取り組みを通じて、今後もサステナブルな「街づくり」を推進し、さらなる沿線価値向上に向けて取り組むとしています。
VVVF制御車両の導入量が大手民鉄でトップクラスの東急電鉄
東急電鉄はこれまでも、鉄道事業における環境負荷の低減に取り組んでおり、例えば2018年3月、新型車両「2020系」を田園都市線に、「6020系」を大井町線にそれぞれ導入しました。
この新車両により、使用電力を旧型車両と比べ約50%削減しています。東急電鉄は今後、田園都市線では「2020系」を順次導入し、2022年度までに旧型車両(8500系)の置き換えを進めていくとしています。
また、東急電鉄は業界に先駆けて1986年からVVVF制御車両を導入しています。VVVF制御車両は、架線を流れる直流電流をインバーターで最適な電圧・周波数の交流電流に変換して交流モーターを駆動する車両であり、電力のロスを少なくできます。東急電鉄におけるVVVF制御車両の導入率は、2018年4月1日時点で全車両の77.8%であり、大手民鉄ではトップクラスです。
そのほか、2012年3月より加速時間を削減する「エコ運転プロジェクト」を開始しています。 「エコ運転」とは、惰行を活用することで電力使用量を抑制する運転方法です。
2012年6月より東急線全線でのエコ運転を開始しており、東急電鉄によると、この取り組みにより2017年度は17,777千kWh(CO2排出削減量8,888t)の削減効果があったとしています。
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執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
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