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東工大×リコー×産総研、超省エネの原子時計を開発、自動運転などの実現に一歩前進

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東京工業大学、リコー、産業技術総合研究所の研究グループは、消費電力が極めて低い小型の原子時計を開発したと発表しました。周波数シンセサイザの消費電力を大幅に削減し、温度制御の効率を向上させることで、60mWという低消費電力と15cm3という極小サイズを実現しています。

様々な最先端サービスを支える原子時計

1927年に水晶振動子を用いる時計が発明されて以来、腕時計などの時間を計測できる機器が身近になり、正確な時刻計測に基づいた社会システム・サービスが普及しました。

一般的に利用されるクオーツ時計は、水晶の振動を利用して1秒を測っており、その精度は6桁~7桁程度です。これは、100万秒から1000万秒につき1秒ずれる性能であり、日用利用には問題ない精度と考えられます。

しかし、現在普及しているGPSを使ったカーナビ、高速ネットワーク技術といったものは、一般的な水晶振動子による精度では実現が不可能です。電波は、1秒間に約30万キロも進むので、わずか1マイクロ秒(100万分の1秒)の時刻のずれが、300mもの測距誤差となってしまいます。

そうした課題を解決できる技術が「原子時計」であり、通常のものであれば、12桁から13桁の高精度(1万年から10万年に1秒のずれ)を実現しています。原子時計は、1955年にイギリスの国立物理学研究所 (NPL) で実用化され、テレビ局やラジオ局、携帯電話の基地局、GPSの衛星など、正確な時間や周波数を必要とする、さまざまな場所で使われるようになりました。

このように様々なサービスにとって重要な役割を持つ原子時計ですが、小型化や省電力化が難しいことが課題でした。しかし、原子時計を小型化して水晶発振器の代わりとして利用することができるようになれば、大きな技術的・社会的変革が得られる可能性があります。

そのため、汎用な小型原子時計の実現に対する期待が年々高まっています。仮に、汎用な小型原子時計が実用化されれば、自動車やスマートフォン、超小型衛星、携帯電話の基地局などの様々な機器で利用できるようになります。

例えば、ビル屋内、海底、トンネル、橋梁などGPSの届かない場所での利用や、地球規模インターネットの実現、自動車や航空機等における安定的かつ高精度な測位、またそれによる自動運転技術の実現が期待されます。

こうした中、東京工業大学、リコー、産業技術総合研究所の研究グループは、消費電力が極めて低い小型の原子時計を開発したと発表しました。周波数シンセサイザの消費電力を大幅に削減し、温度制御の効率を向上させることで、60mWという低消費電力と15cm3という極小サイズを実現しています(図1)。

今回開発の小型原子時計 (内寸33 mm x 38 mm x 9 mm)

図1 今回開発の小型原子時計 (内寸33 mm x 38 mm x 9 mm)

小型かつ消費電力の低い原子時計

従来の原子時計では、共振器の大きさでサイズが決まり小型化できない問題点がありました。ただ、小型化は可能であり、マイクロ波で変調したレーザー光を原子に照射する方法があるものの、それでは消費電力を下げることが難しく、原子時計全体の消費電力が数百mWと高くなってしまう課題がありました。

しかし今回、研究グループは高精度かつ超低消費電力な周波数シンセサイザの実現などにより、高精度でありながら60mWの超低消費電力な小型原子時計の開発に成功しました。

開発した小型原子時計は、消費電力を大幅に削減しながら、大型の原子時計とほぼ同等の1日で300万分の1秒以下の精度を達成しています。この原子時計は、電圧制御水晶発振器、周波数シンセサイザ、レーザーのドライバ回路、制御回路、セシウム133原子へのレーザー光照射を行う量子部パッケージで構成されています。

従来の周波数標準器では、消費電力と周波数安定度はトレードオフの関係にありましたが、今回開発された原子時計は、良好な周波数安定度と低い消費電力を両立しています(図2)。

サイズも15cm3と非常に小型であり、105秒(約1日)の平均化時間で2.2×10-12の長期周波数安定度を達成しました。つまり、一般的な水晶発振器を搭載した時計と比べ、約10万倍も正確な時計を実現したこととなります。

研究グループは、今回開発された原子時計は、非常に小型で消費電力も小さいため、自動車、スマートフォン、小型衛星等、様々な機器への組み込みが可能としています。

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