日本初、製油所のエネルギーリソースを活用したVPP実証、昭和シェル、横河系など3社が実施
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
一般社団法人エネルギー情報センター

昭和シェル、西部石油、および横河ソリューションサービスは9月、西部石油山口製油所にて、VPP構築実証事業を今秋から共同で行うと発表しました。製油所のエネルギーリソースを活用した本格的なVPP構築実証事業としては国内初の取り組みとなります。
昭和シェル、西部石油、横河ソリューションサービスの3社がVPP構築実証事業を共同で開始
近年、従来の大規模集中電源に依存したエネルギー供給システムを脱却するとともに、再エネを安定的かつ有効に活用することが喫緊の課題となっています。こうした課題を解決する方法の一つとしてバーチャルパワープラント(VPP)があります。VPPとは、工場や家庭などが有するエネルギーリソース(蓄電池、発電設備、電気自動車(EV)やディマンドリスポンスなど)を、高度なエネルギーマネジメント技術により制御し、あたかも一つの発電所のように機能させる仕組みのことです。
VPPを支援する枠組みとして、経済産業省による「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金」があります。当該補助金は2016年度から始まっており、2020年度までの5年間の事業を通じて、50MW以上の仮想発電所の制御技術の確立を目標として予算が組まれています。
こうした中、昭和シェル、西部石油、および横河ソリューションサービスは、西部石油山口製油所にて、VPP構築実証事業を今秋から共同で行うと発表しました(図1)。製油所のエネルギーリソースを活用した本格的なVPP構築実証事業としては国内初の取り組みとなります。

図1 西部石油山口製油所
なお、この実証事業は、関西電力株式会社がアグリゲーションコーディネーターとして実施する「関西VPPプロジェクト」の一環で行われます。関西電力は、VPP実証事業に2016年度から参画しており、これまでに、実フィールドでの基礎的な制御の確認等を行っています。2017年度からは、新たに周波数調整を行うため、エネルギーリソースをより速く制御する取組みを開始しています。
本年度についても、関西電力は2018年5月29日、当該補助金の執行団体である一般社団法人環境共創イニシアチブから採択決定と補助金交付決定の通知を受けています。本年度は、分単位の制御について、更なるリソースの拡大や精度向上のためシステムを改良し、より高度な実証も行うとしています。制御システムの開発を行うことでより速い制御を目指し、次年度以降の本格的な実証に向けて取り組むとしています。
ボイラーなどを制御しDR対応
今回の実証試験で、横河ソリューションサービスは、関西電力から送られるディマンドリスポンス(DR)に関する信号を、DRの実施に必要な発動時間帯や需給調整量などの情報に変換します。変換した情報は、西部石油山口製油所に新設されるシステムへ通知されます。
このシステムは、製油所の稼働状況に合わせて、電力供給量や抑制量などを通知された情報から算出し、提示します。西部石油は、提示された情報をもとに、生産プロセスへの影響を考慮しながら、プラントの自家発電設備である、ボイラー・蒸気タービン・発電機(BTG)を制御します。そうすることで、電力需要量を増減させ、関西電力からのDR要請に応えます。
昭和シェル石油は、本実証全体をコーディネートし、生産プロセスへの影響等を加味したうえでBTGの運用条件を分析します。こうした運用により、製油所のエネルギーリソース活用を拡大・発展させていきます(図2)。
3社は、電力の需給調整力の創出と再生可能エネルギー導入拡大に貢献するVPPの実現に向けて、本実証でインダストリアルIoTを活用した仕組みを構築し、持続可能な開発目標SDGsの達成に貢献する活動を進めていくとしています。
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 |
〒160-0022 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 |
https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2026年02月19日
第2回は、第1回で揃えた前提で、GX戦略地域が目指す官民の工程表を揃える仕組みを整理しつつ、各ステークホルダーの実務の論点まで言及して行きます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2026年01月12日
【第1回】AIデータセンター時代のシステム設計:ワット・ビット連携、GX戦略地域、PPA・電源ポートフォリオの実務論点
データセンターは、地域の電力インフラ設計を左右する存在へと変わりつつあります。背景には、需要施設の増加や、高負荷率・増設前提という運用特性に加え、脱炭素の要件も加わり、結果として、電力の「量」だけでなく「確実性」と「環境価値」が事業の成否を分ける事が挙げられます。
こうした状況の中で、日本でも制度設計が大きく動いています。具体的には、系統用蓄電池における系統容量の「空押さえ」問題に対して規律強化が議論される一方、国としてはワット(電力)とビット(通信)を一体で整備する「ワット・ビット連携」を掲げ、自治体誘致やインフラ整備を含めた「GX戦略地域」等の枠組みで、望ましい立地へ需要を誘導しようとしています。さらに、需要家側では、脱炭素要請の高まりを受けて、PPAなどを通じた環境価値の調達や、電源ポートフォリオ(再エネ+調整力+バックアップ等)をどう設計するかが、契約論を超えて運用設計のテーマになっています。
本シリーズでは「AIデータセンター時代のシステム設計」を、①ワット・ビット連携、②GX戦略地域、③PPA・電源ポートフォリオの実務論点――という3つの観点から、全3回で整理します。日本の最新の制度設計と接続して、実装するなら何が論点になるかに焦点を当てるのが狙いです。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年09月22日
電力市場の収益ブレを見える化する──リスク管理の標準化を支えるEneRisQ®
本記事では、電力市場におけるリスク管理の課題を解決するソリューション「EneRisQ®」をご紹介します。大阪ガスとオージス総研の知見を融合し、収益のブレを定量的に把握し、最適なヘッジ戦略を支援。属人的なExcel管理から脱却し、リスク管理業務の高度化を実現します。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年05月19日
【第3回】電気主任技術者の人材不足とは? 〜効率的な保安制度の構築と今後の展望〜
これまで2回にわたり、電気主任技術者の人材不足に関する背景や、業界・行政による育成・確保の取り組みを紹介してきました。最終回となる今回は、『制度』の観点からこの課題を詳しく見ていきます。特に、保安業務の効率化やスマート保安の導入、制度改革の現状と課題を具体例とともに解説し、今後の展望を詳しく見ていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年04月30日
【第2回】電気主任技術者の人材不足とは? 〜人材育成の最前線、業界と行政が進める具体策〜
電気主任技術者をめぐる人材不足の問題は、再生可能エネルギーやEVインフラの急拡大と相まって、ますます深刻さを増しています。 こうした状況に対し、国や業界団体は「人材育成・確保」と「制度改革」の両面から対策を進めており、現場ではすでに具体的な動きが始まっています。 第2回となる今回は、人材不足に対し、業界や行政がどのような対策を講じているのか、具体的な施策を、実例を交えながら、詳しくお伝えします。








