第5次エネルギー基本計画が閣議決定、FIT制度は継続、ただし2020年度末までに抜本的見直し

2018年07月11日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

第5次エネルギー基本計画が閣議決定、FIT制度は継続、ただし2020年度末までに抜本的見直しの写真

第4次エネルギー基本計画の策定から約4年が経過し、2018年7月、経済産業省は第五次エネルギー基本計画が閣議決定したと発表しました。2030年の計画の見直しのみならず、パリ協定の発効を受け2050年を見据えた対応など、日本がエネルギー選択を構想すべき時期に来ており、計画が見直されることなりました。

「より高度な3E+S」により推進される第5次エネルギー基本計画

エネルギー基本計画は、2002年6月に制定されたエネルギー政策基本法に基づき、政府が策定するものです。「安全性」、「安定供給」、「経済効率性の向上」、「環境への適合」というエネルギー政策の基本方針に則り、エネルギー政策の基本的な方向性を示しています。

国は「エネルギー基本計画」に則って、エネルギーの需給に関する施策を総合的に策定し、実施する責務を有すると定められています。2003年に最初の計画が策定され、その後、2007年に第二次計画、2010年に第三次計画、2014年に第四次計画が策定されました。

東日本大震災以降、最初の計画となる第四次エネルギー基本計画では、これまでの「3E(Energy Security、 Economic Efficiency、Environment)」という基本的視点に、安全性の確保「S(Safety)」の重要性を加味した「3E+S」が提唱されるようになりました。

さらに、第四次エネルギー基本計画を踏まえ、2015年7月、長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)が決定されました。このエネルギーミックスは、「3E+S」について達成すべき政策目標を想定した上で、2030年に実現すると考えられる将来のエネルギー需給構造の見通しです。内訳としては、再エネ:22~24%、原子力:20~22%、LNG:27%、石炭:26%、石油:3%となっています(図1)。

長期エネルギー需給見通しの電源構成

図1 長期エネルギー需給見通しの電源構成 出典:経済産業省

第4次エネルギー基本計画の策定から約4年が経過し、2018年7月、経済産業省は第五次エネルギー基本計画が閣議決定したと発表しました。2030年の計画の見直しのみならず、パリ協定の発効を受け2050年を見据えた対応など、日本がエネルギー選択を構想すべき時期に来ており、計画が見直されることなりました。

このため、今回のエネルギー基本計画の見直しは、エネルギーミックスの実現と、2050年を見据えたシナリオの設計で構成されています。こうした長期のエネルギー転換に向けては、「より複雑で不確実な状況下においてエネルギー選択を行っていくことが求められる」としており、「3E+S」の原則をさらに発展させた「より高度な3E+S」が提示されています(図2)。

「3E+S」から「より高度な3E+S」へ

図2 「3E+S」から「より高度な3E+S」へ 出典:経済産業省

2030年に向けた対応

2030年の電源構成(エネルギーミックス)については、2015年に策定された「長期エネルギー需給見通し」と同じ数値目標が据え置かれることとなりました。理由としては、4年前の計画策定時に想定した2030年段階での技術動向に本質的な変化はないためとしています。

再生可能エネルギーについては、2030年に電源構成比率22~24%を目指しています。主力電源とするため、低コスト化、系統制約の克服、調整力の確保に取り組むとしています。なお、2016年における再エネ比率は14.5%であり、目標達成には7.5~9.5%比率を増やす必要があります(図3)。

ドイツなどの先進国でも30%の再エネ比率を実現している国もありますが、日本とは多くの条件が異なります。第5次エネルギー基本計画では、まずは22~24%の「確実な実現を目指す」としています。

発電電力量に占める再生可能エネルギー比率の比較

図3 世界各国における発電電力量に占める再生可能エネルギー比率の比較 出典:資源エネルギー庁

原子力発電については、電源構成比率20~22%が想定されています。依存度をできるかぎり低減するという方針の下、安全最優先の再稼動や使用済燃料対策など、必要な対応を着実に進めるとしています。

化石燃料発電については、電源構成比率56%が想定されています。日本企業による自主開発を促進し、高効率火力発電の有効活用に取り組むとしています。加えて、災害リスクへの対応強化も図られます。

省エネについては、実質エネルギー効率35%減を目指しています。2018年6月に国会で成立した「改正省エネ法」などを実施することで、徹底した省エネを進めるとしています。

2050年に向けた対応

2050年に向けては、「地球温暖化対策計画」(2016年閣議決定)で長期的目標として位置付けられた「2050年までに温室効果ガスを80%削減」という目標達成に向けた取り組みが進められていきます。

ただ、「第5次エネルギー基本計画」では、近未来のため不確実性が高いこともあり、2050年の具体的な目標数値は示されていません。そのため、最新情報と技術の動向に基づいた科学的なレビューを行うことで、重点をおくべきポイントを決定していくと掲げています。

再生可能エネルギーについては、経済的に自立し「脱炭素化」した主力電源化をめざすとしています。

原子力発電については、「脱炭素化」の選択肢のひとつであるが、社会的信頼の回復がまず不可欠としています。安全性・経済性・機動性にすぐれた原子炉の追求などが進められます。

化石燃料発電については、資源外交を強化する一方、よりクリーンなガス利用にシフトし、非効率な石炭火力発電はフェードアウトさせる見込みです。

省エネや水素、蓄電池などの技術開発も進められます。また「分散型エネルギーシステム」の構築と、それによる地域開発を推進するとしています。

計画における固定価格買取制度(FIT)の取り扱い

FIT制度は、再エネに対する投資の回収に予見可能性を与えることで、投資の加速度的促進を図るものです。そのため、第5次エネルギー基本計画には、「安定的かつ適切な運用により制度リスクを低減し、事業者が本来あるべき競争に集中しやすい制度運用を目指すことが不可欠」と記載されています。

一方で、国民負担の観点から、入札制の活用や、中長期的な価格目標の設定などが導入されています。また、認定基準やその確認方法の見直し、未稼働案件の防止など、常に適切に配慮を行うことが欠かせない制度でもあります。

さらに、系統制約の克服、電力システム改革に伴い整備される市場との連動等も鑑み、再エネの利用促進と国民負担の抑制を、最適な形で両立させる必要があります。そのため、法律に基づき、エネルギー基本計画改定に伴い総合的に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じるとしています。加えて、「2020年度末までの間に抜本的な見直しを行う」としています。

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