アウディの戦略、2025年までに全モデルが電動化バージョンを選択可能に

2018年05月16日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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5月9日、AUDI AGの取締役会は株主総会において「Audi.Vorsprung.2025」と名付けられた最新の企業戦略を提示しました。その中で、2025年に約80万台の電気自動車とプラグインハイブリッドを販売する目標を発表しました。全モデルが電動化バージョンを選択可能となり、その大分部は電気自動車で、一部はプラグインハイブリッド車となる予定です。

アウディ、2025年に約80万台の電気自動車とプラグインハイブリッドを販売する目標

アウディは1980年代後半から、電気自動車やハイブリッド車の開発に取り組んできました。内燃エンジンと電気モーターを組み合わせて使った最初の生産モデルは、1997年に発売された「Audi duo」です。その後、2009年のフランクフルトモーターショーで発表された「Audi R8 e-tron」は、2012年にニュルブルクリンクの北コースで、電気自動車として史上最速のラップタイムを叩き出しました。

2014年以降は、「Audi A3 Sportback e-tron」の販売を続けています。これは、アウディ初のプラグインハイブリッドモデルです。2016年には、「Audi Q7 e-tron」もデビューしています。

アウディの製品攻勢には、2025年までに20以上の電動化モデルを次々と投入する計画が含まれています。2018年には、量販シリーズとしてブランド初となる電気自動車を生産し、2019年に発売する予定です。その先駆けとなる「audi e-tron quattro concept」を、2015年のフランクフルトモーターショーで発表しています。

2020年には「Audi e-tron GT」が登場します。また、2020年にプレミアムコンパクトセグメントにも電気自動車を投入する予定となっています。

このように電動自動車を展開するアウディが、株主総会において「Audi.Vorsprung.2025」と名付けられた最新の企業戦略を提示しました。その中で、2025年に約80万台の電気自動車とプラグインハイブリッドを販売する目標を発表しました。全モデルが電動化バージョンを選択可能となり、その大分部は電気自動車で、一部はプラグインハイブリッド車となる予定です。

2030年までにアウディの全生産拠点をCO2ニュートラルに

アウディは、eモビリティの推進と同時に、生産拠点にも、資源節約のアプローチを採用しています。アウディは自社の環境フットプリントを正確に把握しており、2018年のブリュッセル工場のCO2排出量は、30000tになると予想されています。なお、ブリュッセル工場では、アウディ初の電気自動車が製造されています。

工場で使用する電力は、すべて再生可能なソースから供給されています。また、エネルギー管理の方法についても、例えばヒートポンプや、電力および省エネルギー照明のためのコジェネレーションシステムが整備されています。

加えて、排出ガスを削減するためのグリーンガスの調達が行われます。それでも発生する排出ガスは、他の場所で採用している補正プロジェクトによって実質上ゼロ扱いとなります。そのため、GHGプロトコルが定めるスコープ1及びスコープ2の排出量の、いずれに関してもニュートラルとなります。

ブリュッセル工場のCO2フットプリントは事実上存在しないことになり、ベルギーの試験機関であるVinçotte社から認定を受けています。アウディは、ブリュッセルに続いて、世界中のすべての生産拠点を2030年までにCO2ニュートラルにする予定としています。

デジタル化について新しいビジネスモデルを構築、2025年に営業利益10億ユーロを目標に

アウディは、デジタル化セグメントについて新しいビジネスモデルを構築し、この分野で2025年に営業利益10億ユーロを達成する目標を立てています。

Audi e-tronプロトタイプの市販バージョンでは、ドライバーアシスタンスシステムやインフォテインメントといった機能を柔軟に契約して利用できるようになります。また、今後、さらに多くのデジタルコンテンツとサービスを提供する予定としています。

自動運転の電気自動車「Audi Aicon」の試験走行を2021年に開始

AUDI AG技術開発担当取締役のペーター メルテンス氏は、「私たちは、2021年に、“Vorsprung durch Technik”の50周年に合わせて、Audi Aiconコンセプトカーをベースにした自動運転の電気自動車を発表します。ラウンジのようなインテリアを備えたこのクルマは、当初は都市間を結ぶシャトルとして公道における試験走行を開始し、2020年代の半ばには自動運転車として生産を開始する予定です」と述べています。

アウディの「燃料電池自動車」

アウディが採用する電動化ロードマップにおいて、水素は次の大きなステップとなるエネルギー源です。重量面で利点があり、システムコストも魅力的な燃料電池は、とくに大型車両において高電圧バッテリーの代替となる選択肢です。

フォルクスワーゲングループにおいて、アウディは燃料電池技術の開発を先導する役割を担っています。ネッカーズルム工場は、未来の駆動システムにおける主要なテクノロジーである水素及び燃料電池技術の開発で、中心的な役割を果たしています。

インフラ面については、燃料販売業者と車両メーカー、行政が力を合わせ、国内外における資金援助プログラムのネットワークを作ろうとしています。このグループによると、国際マーケットにおける大量生産に対応できるインフラは2025年には整備できるとのことです。計画では2030年までにドイツ国内に約1000か所の水素ステーションの設置を求めています。これにより、ドイツ全土をもれなくカバーすることができるとしています。

アウディは10年以上にわたり、燃料電池を搭載したコンセプトカーを製作してきました。最初のテスト車両であるコンパクトカーは、2004年に発表されました。その後、2009年に「Audi Q5 HFC」が発表されました。それ以降、燃料電池を搭載したアウディのモデルは「h-tron」と呼ばれるようになりました。

アウディのテクノロジーは、特定の地域だけでなく、世界中でゼロエミッション走行を可能にします。前提となるのは、タンクに充填した水素がち再生可能な方法で生み出された電気を使用して生産されているということです。エムスランド地方にある工場では、それが実践されています。2013年に稼働を開始したこの工場は、電力を使用して燃料用ガスを製造する業界初の試みです。風力発電の電気を使い、電気分解によって水素を発生させます。

アウディは、燃料電池自動車の本格的な生産開始を2020年代前半に予定しています。

2025年までに約400億ユーロを戦略的分野に投下

アウディによると、2025年までに約400億ユーロが、eモビリティ、自動運転、デジタル化といった戦略的分野に投下するとしています。これは、生産分野のデジタル化にも適用されます。

AUDI AG財務担当取締役のアレクサンダー ザイツ氏は「私たちは、将来の自動車業界にとって不可欠なこれらの分野において、新しい収益性の高いビジネスモデルの導入を世界中で加速しています。今年の1月以降、数億ユーロの規模に相当する“変革を目指すアクションプラン”の最初の施策が実施されました。この施策は、持続的な効果を備え、売上高の増加とコストの削減に長期的な影響をもたらすでしょう。これによって、2020年には利益が最大化され、計画が完遂された場合は、2022年までに合計で100億ユーロの利益を生み出すことになります。このようにしてアウディは、巨額の投資を行っても、高い収益性を確保することが可能になります」と述べています。

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