仮想発電所を活用した地域の防災力強化、避難所の災害時用電源を集約制御
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2018年04月27日
一般社団法人エネルギー情報センター

東北電力は4月、仙台市と仮想発電所(VPP)技術を活用し、地域防災力強化や環境負荷低減の実現に向けて連携すると発表しました。仙台市の太陽光発電と蓄電池を、東北電力の「VPP実証プロジェクト」におけるエネルギーリソースとして集約し、設備の稼働状況を最適制御するものとなります。
VPPで地域防災力強化や環境負荷低減
仙台市では、東日本大震災の経験を踏まえ、災害時における電源の確保や、二酸化炭素排出量の削減を図るため、市内のすべての小中学校を含む指定避難所等に、太陽光発電設備と蓄電池を導入しています。
また、東北電力では2018年4月より「VPP実証プロジェクト」を開始しています。VPPとは、個人や企業等が保有する太陽光発電や蓄電池、電気自動車など、地域に分散するエネルギーリソースを、IoTなどの情報技術を用いて遠隔制御・集約することで、あたかも一つの発電所のように機能させるものです。
こうした中、東北電力は仙台市と仮想発電所(VPP)技術を活用し、地域防災力強化や環境負荷低減の実現に向けて連携すると発表しました。仙台市の太陽光発電と蓄電池を、東北電力の「VPP実証プロジェクト」におけるエネルギーリソースとして集約し、設備の稼働状況を最適制御するものとなります。
25ヶ所の指定避難所を対象にVPP実証
仙台市内の指定避難所のうち、25ヶ所を対象に、東北電力のVPP実証プロジェクトのシステムが用いられます。指定避難所には既に、太陽光発電設備(1ヶ所につき出力10kW程度)と蓄電池 (1ヶ所につき容量15kWh程度)が設置されています。
システムにより、太陽光の発電電力量や蓄電池の残量等は常時監視されます。また、防災機能を損なうことなく、気象状況や電力の使用状況等を踏まえながら、太陽光発電設備や蓄電池が最適に制御されます(図1)。
最適制御により集約した電力リソースについては、電力需給バランス調整機能としての活用可能性が検証されます。また、太陽光発電の余剰電力の有効活用や、蓄電池の長寿命化を図る仕組みについても検証が行われます。なお、検証期間は3年程度(2018年4月27日~2021年3月31日)の予定となっています。

図1 取り組みのイメージ 出典:東北電力
東北電力が4月から進める「VPP実証プロジェクト」は、再エネなどの分散型電源をVPPのエネルギーリソースとして集約し、需給バランス調整機能として活用できるか検証を行うものです。2018年3月に東北電力内に設置された「VPP実証タスクフォース」を中心として進められています。
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