法人向け 家庭向け

仮想発電所を活用した地域の防災力強化、避難所の災害時用電源を集約制御

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

仮想発電所を活用した地域の防災力強化、避難所の災害時用電源を集約制御の写真

東北電力は4月、仙台市と仮想発電所(VPP)技術を活用し、地域防災力強化や環境負荷低減の実現に向けて連携すると発表しました。仙台市の太陽光発電と蓄電池を、東北電力の「VPP実証プロジェクト」におけるエネルギーリソースとして集約し、設備の稼働状況を最適制御するものとなります。

VPPで地域防災力強化や環境負荷低減

仙台市では、東日本大震災の経験を踏まえ、災害時における電源の確保や、二酸化炭素排出量の削減を図るため、市内のすべての小中学校を含む指定避難所等に、太陽光発電設備と蓄電池を導入しています。

また、東北電力では2018年4月より「VPP実証プロジェクト」を開始しています。VPPとは、個人や企業等が保有する太陽光発電や蓄電池、電気自動車など、地域に分散するエネルギーリソースを、IoTなどの情報技術を用いて遠隔制御・集約することで、あたかも一つの発電所のように機能させるものです。

こうした中、東北電力は仙台市と仮想発電所(VPP)技術を活用し、地域防災力強化や環境負荷低減の実現に向けて連携すると発表しました。仙台市の太陽光発電と蓄電池を、東北電力の「VPP実証プロジェクト」におけるエネルギーリソースとして集約し、設備の稼働状況を最適制御するものとなります。

25ヶ所の指定避難所を対象にVPP実証

仙台市内の指定避難所のうち、25ヶ所を対象に、東北電力のVPP実証プロジェクトのシステムが用いられます。指定避難所には既に、太陽光発電設備(1ヶ所につき出力10kW程度)と蓄電池 (1ヶ所につき容量15kWh程度)が設置されています。

システムにより、太陽光の発電電力量や蓄電池の残量等は常時監視されます。また、防災機能を損なうことなく、気象状況や電力の使用状況等を踏まえながら、太陽光発電設備や蓄電池が最適に制御されます(図1)。

最適制御により集約した電力リソースについては、電力需給バランス調整機能としての活用可能性が検証されます。また、太陽光発電の余剰電力の有効活用や、蓄電池の長寿命化を図る仕組みについても検証が行われます。なお、検証期間は3年程度(2018年4月27日~2021年3月31日)の予定となっています。

取り組みのイメージ

図1 取り組みのイメージ 出典:東北電力

東北電力が4月から進める「VPP実証プロジェクト」は、再エネなどの分散型電源をVPPのエネルギーリソースとして集約し、需給バランス調整機能として活用できるか検証を行うものです。2018年3月に東北電力内に設置された「VPP実証タスクフォース」を中心として進められています。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

統計情報

統計情報(Excel含)

エネルギー関連の統計情報をExcel等にてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年03月18日

新電力ネット運営事務局

【第3回】PPA・電源ポートフォリオの実務論点

第3回は、第2回で整理した前提を受けて、データセンターが実際に直面する「調達・運用設計」を取り上げます。需要の適地が見え始めても、kWhと、環境価値と調整力を、運用まで含めて矛盾なく束ね、投資判断と工期を止めない形に落とし込めるかです。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年03月06日

新電力ネット運営事務局

系統用蓄電池は、いつから「前提」になったのか 【第2回】立場ごとの時間軸と評価軸

前回は、系統用蓄電池が議論の「前提」として扱われるようになった背景を、三つの流れの合流として整理しました。制度が整い、コストが下がり、再エネの導入量が増えた。その重なりが、蓄電池を自然に検討の出発点に置く状況を形作っています。 ただ、同じ前提を共有しているはずの場で、同じ対象を扱いながら議論の焦点が重ならない場面が見受けられます。情報量が増え、関係者が増え、検討が深まるほど、情報の整理に要する前提条件が増えるという感覚を持つ担当者も少なくありません。 今回は、その背景にある構造を取り上げます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年02月26日

新電力ネット運営事務局

系統用蓄電池は、いつから「前提」になったのか【第1回】前提化が生まれた三つの流れ

ここ数年、系統用蓄電池という言葉が特別なテーマとしてではなく、電力分野の議論の中で自然に登場する場面が目立つようになりました。再エネ拡大や需給調整、市場制度、投資環境など、異なるテーマを扱う会議や資料の中で、蓄電池が前提として語られること自体、もはや珍しくありません。 議論の入り口は補助金、価格差、市場、系統運用などさまざまですが、気づけば、かつて導入の是非や実証が主題だった蓄電池は、最初から存在する前提条件のように扱われ始めています。 本稿では、この前提化を形作っている要素の重なりを並べながら、背景を見つめ直すところから始めます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年02月19日

新電力ネット運営事務局

【第2回】GX戦略地域(DC集積型)の流れと課題

第2回は、第1回で揃えた前提で、GX戦略地域が目指す官民の工程表を揃える仕組みを整理しつつ、各ステークホルダーの実務の論点まで言及して行きます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年01月12日

新電力ネット運営事務局

【第1回】AIデータセンター時代のシステム設計:ワット・ビット連携、GX戦略地域、PPA・電源ポートフォリオの実務論点

データセンターは、地域の電力インフラ設計を左右する存在へと変わりつつあります。背景には、需要施設の増加や、高負荷率・増設前提という運用特性に加え、脱炭素の要件も加わり、結果として、電力の「量」だけでなく「確実性」と「環境価値」が事業の成否を分ける事が挙げられます。

こうした状況の中で、日本でも制度設計が大きく動いています。具体的には、系統用蓄電池における系統容量の「空押さえ」問題に対して規律強化が議論される一方、国としてはワット(電力)とビット(通信)を一体で整備する「ワット・ビット連携」を掲げ、自治体誘致やインフラ整備を含めた「GX戦略地域」等の枠組みで、望ましい立地へ需要を誘導しようとしています。さらに、需要家側では、脱炭素要請の高まりを受けて、PPAなどを通じた環境価値の調達や、電源ポートフォリオ(再エネ+調整力+バックアップ等)をどう設計するかが、契約論を超えて運用設計のテーマになっています。

本シリーズでは「AIデータセンター時代のシステム設計」を、①ワット・ビット連携、②GX戦略地域、③PPA・電源ポートフォリオの実務論点――という3つの観点から、全3回で整理します。日本の最新の制度設計と接続して、実装するなら何が論点になるかに焦点を当てるのが狙いです。