「再エネ+EV+中古の車載用蓄電池」を使った「みらいの工場」プロジェクト始動
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2018年04月26日
一般社団法人エネルギー情報センター
日本ベネックスと住友商事は4月、屋根置き太陽光パネルと電気自動車(EV)、そして新型蓄電池システム(EVのリユース蓄電池を利用)を用いた「みらいの工場」プロジェクトを開始すると発表しました。日本ベネックス本社工場において、エネルギーの効率利用と環境との共生を実現する、スマート工場モデルの確立を目指すプロジェクトとなります。
日本ベネックス本社工場において「みらいの工場」プロジェクト始動
電気自動車は環境負荷が低いといったメリットから、今後普及が見込まれており、中古の車載用蓄電池の有効活用は重要性が増しています。富士経済が2017年9月に発表した資料によると、車載用リチウムイオン電池の世界市場は拡大を続け、2020年には小型民生用を上回るとしています。その後2021年には4兆円を突破し、リチウムイオン二次電池の世界市場の45%を占めると予測しています(図1)。
こうした中、日本ベネックスと住友商事は、屋根置き太陽光パネルと電気自動車(EV)、そして新型蓄電池システム(EVのリユース蓄電池を利用)を用いた「みらいの工場」プロジェクトを開始すると発表しました。日本ベネックス本社工場において、エネルギーの効率利用と環境との共生を実現する、スマート工場モデルの確立を目指すプロジェクトとなります(図2)。
「みらいの工場」プロジェクトの概要
今回のスマート工場を目指す「みらいの工場」プロジェクトにおいて、EVの中古蓄電池を用いた「新型蓄電池システム」は、太陽光発電の出力の過不足を平準化すると同時に、工場の電力需要ピーク時の補助電源として活用されます。
日産自動車から提供されるEV「e-NV200」10台は、従業員の通勤や外出時に使用されます。これらEVの使用済みバッテリーは、蓄電池システムにおいて再利用されます(図3)。
また、蓄電池システムとEV充電は2020年に実用化が期待されるVPPに対応したシステムです。充放電のタイミングの最適化などを通じ、エリア全体の電力需給の調整にも貢献する計画です。
EVの中古蓄電池を活用した「新型蓄電池システム」、3社が共同開発
今回のプロジェクトにおける重要な要素として、使い古したEVの蓄電池を活用した蓄電池システムが挙げられます。日本ベネックス、住友商事、富士電機が共同開発しました。
蓄電池システムは、20フィートのコンテナに日産自動車のEV「LEAF」24台分のリユース蓄電池を格納したものです。日本ベネックスの高密度積載設計技術によって、従来の2倍の積載効率を実現し、経済合理性と環境への配慮の両立を可能にしています。
また、富士電機の蓄電制御技術をベースとしており、電力需要ピーク時の補助電源として電気代の削減に貢献します。そのほか、太陽光による電力を自家消費したいというニーズに応えることも可能であり、災害時のバックアップ電源としても活用できます。
この蓄電池システムは、国が推進する通信規格(Open ADR)に対応しており、外部のサーバーから充放電など運転を制御することができます。今後普及が見込まれるVPPなど、地域におけるエネルギー需給の最適化にも貢献していくと期待されます。
なお、富士電機は、蓄電池システムを商品化し、自社の販売網を通じて産業用に販売する他、住友商事グループの協力を得ながら、全国に展開する予定としています。
今回のプロジェクトにおける各社の狙い
日本ベネックス
日本ベネックスは、精密板金加工技術を基盤に産業・電気機器製造事業を手掛け、2012年に環境エネルギー事業に参入しました。最新の環境関連技術一式を備えた「スマート工場」のモデルを構築し、環境エネルギー事業のショーケースとする考えです。蓄電池システムについては、高密度積載設計技術を活かして新型の蓄電池コンテナを設計・組立し、今後拡販するとしています。
住友商事
住友商事は、大阪市夢洲においてEVのリユース蓄電池システムを世界で初めて実用化した実績があります。薩摩川内市甑島では、再生可能エネルギーの導入拡大を目的とした、蓄電センターの実証事業を行ってきました。
今後は、今回のプロジェクトの成果を活かし、EVやリユース蓄電池システムの普及拡大とともに、それらを統合制御する新しいエネルギー・マネジメント事業の実現を目指すとしています。また、蓄電池システムについては、グループ会社を通じて拡販するとともに、開発した蓄電池コンテナをさらにスケールアップし、大規模な蓄電池事業の実現を目指すとしています。
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執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
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