蓄電池の損益分岐点「ストレージパリティ」、FIT切れのPV設置ケースで2020年に達成予定

2018年04月25日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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経済産業省は4月、「ソーラーシンギュラリティの影響度等に関する調査」報告書を公開しました。固定価格買取制度の期限が過ぎた太陽光発電と組み合わせることにより、2020年前後には「ストレージパリティ」を達成するとしています。

6万円/kWhでストレージパリティ達成

太陽光発電は天候等の要因により発電量にバラツキが発生するため、安定的な電力確保は不得手としますが、蓄電池を組み合わせることでベースロード電源に近い働きを期待できます。一方、蓄電池は費用対効果の面でみるとメリットが薄く、市場原理に基づくと普及は難しい現状にあります。

ただし、技術革新や量産効果等により、太陽光発電(PV)や蓄電池の経済メリットは近年高まっています。そのため、「蓄電池を導入しないよりも、蓄電池を導入したほうが経済的メリットがある状態」であるストレージパリティに到達しようとしています。

経済産業省が公開した「ソーラーシンギュラリティの影響度等に関する調査」報告書によると、蓄電池価格が6万円/kWhとなることでストレージパリティは達成可能としています。

蓄電池メーカーにおける現実的な蓄電池容量を5kWhとすると、蓄電池価格6万円/kWhでストレージパリティが成立します(従量料金の場合)。一方、季時別料金の場合は6万円/kWhではストレージパリティに達しませんが、4万円/kWhになればストレージパリティに達します(図1)。

蓄電池単価と最適蓄電容量

図1 蓄電池単価と最適蓄電容量 出典:経済産業省

2019年以降のFIT切れ太陽光、2020年前後でストレージパリティの見込み

PVを保有している平均的な住宅において「ストレージパリティ(21円/kWh)」となるのは2020年前後と見込まれ、FIT買取期間終了の住宅が発生し始める2019年と同時期です。ただ、これは既にPV設置費用をFITにより回収しているケースです。

低圧需要家にPVと蓄電池を「新規導入」する場合は、ストレージパリティは2020年代後半となる見通しです。

FIT切れの事業用PVに電源安定化の目的で蓄電池を設置する場合、ストレージパリティは概ね2032年の予定です。ただ、これはFITにより投資回収が完了しているケースです。新規の事業用PVの電源安定化を目的としたストレージパリティは、2032年以降となる見込みです(図2)。

ストレージパリティの形態進行

図2 ストレージパリティの形態進行 出典:経済産業省

小売電気料金との比較においては、2020年後半にはPV+蓄電池による単価が従量料金より小さくなる見込みです。一方、現在(2018年時点)の場合、グリッドパリティは達成していますが、PV+蓄電池による単価は従量料金より大きくなります(図3)。グリッドパリティとは、PVによる発電コストが既存の電力のコストと同等以下となる分岐点のことです。

小売電気料金とのストレージパリティ(イメージ)

図3 小売電気料金とのストレージパリティ(イメージ) 出典:経済産業省

蓄電池を設置しない理由は「経済性」と「物理的制約」

資源エネルギー庁の「定置用蓄電池の普及拡大及びアグリゲーションサービスへの活用に関する調査」によると、蓄電池を設置しない理由の多くが、経済性の問題と、物理的な制約であるといえます。

特に、「どの程度費用対効果があるかわからない」との回答は3割に達し、そうした不安を解決する必要があると考えられます。また、「設置するスペースがない」といった問題も2割近くに達します(図4)。そのため、分散電源導入拡大に向けては、「経済性」+「物理的制約」の2点を主に緩和するような措置が必要といえます。

蓄電池の設置に躊躇をしている家庭需要家の声

図4 蓄電池の設置に躊躇をしている家庭需要家の声 出典:経済産業省

蓄電池普及の問題点、送配電網のデススパイラル

蓄電池やPVの導入が進み、分散電源が拡大することは環境面からは望ましい一方、インフラ(送配電網)の維持に関して問題が発生します。電気はインフラを通して建物等に運ばれますが、その利用料として託送料が発生しており、この託送料によりインフラは維持されています。ただし、分散型電源が進むにつれてインフラを利用した電気購入は少なくなり、インフラ維持が難しくなっていきます。

また、再エネ賦課金に関しても、分散型電源(自宅の屋根など)から電気を利用する場合、発生しません。そのため、PVや蓄電池を導入していない需要家は、託送料や再エネ賦課金の負担が重くなっていくことが想定されます。その負担を避けるため、PVや蓄電池の導入がさらに進むこととなります。

この一連の流れを、送配電網のデススパイラルと呼びます(図5)。そのため、今後は送配電網のスリム化などの対策も必要になっていくと想定されます。ただし、託送料金が現在はユニバーサルサービスであるため、過疎地も都市部も同じ料金でインフラが利用できます。そのため、地域としてもコンパクト化、最適化に取り組むインセンティブが働きづらいといった問題があり、今後対応が必要になってくると考えられます。

送配電網のデススパイラル

図5 送配電網のデススパイラル 出典:経済産業省

想定される新規ビジネス

自家消費拡大による影響に対して、電気事業者は需要家向けにPVや蓄電池などの機器提供や機器運用、売電・買電仲介といったビジネスを展開することが見込まれます(図6)。

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