安価な紙バイオマスからリチウム硫黄電池を製造、リチウムイオン電池の2倍以上を蓄電可能

2018年04月18日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

安価な紙バイオマスからリチウム硫黄電池を製造、リチウムイオン電池の2倍以上を蓄電可能の写真

レンセラー工科大学は4月、安価かつ豊富に存在する紙バイオマスを使用してリチウム硫黄電池を製造する方法を開発したと発表しました。リチウム硫黄電池は、現在主流であるリチウムイオン電池の2倍以上のエネルギーを蓄積できるとされています。

紙バイオマスを使用したリチウム硫黄電池

リチウムイオン電池は現在、高性能かつ比較的安価という特性から、スマートフォンや電気自動車など多様な用途で利用されています。しかし近年、エネルギー密度がリチウムイオン電池の2倍以上である「リチウム硫黄電池」の開発が注目されています。

こうした中、レンセラー工科大学は4月、安価かつ豊富に存在する紙バイオマスを使用してリチウム硫黄電池を製造する方法を開発したと発表しました。レンセラー工科大学の研究チームによると、巨大なデータセンターに電力を供給するだけでなく、電力グリッド用の安価な貯蔵オプションとしても活用することができるとしています。

プロトタイプ、約200回もの充放電サイクルが可能

充電式電池は、正極と負極の2つの電極を有しており、電極の間には媒体として働く電解質が配置されています。リチウム硫黄電池では、カソードは硫黄炭素マトリックスから構成され、アノードにはコバルト酸リチウムが使用されています。

通常、硫黄は非導電性ですが、高温で炭素と結合すると導電性が高まり、電池に使用することができます。しかし、硫黄は電解質に容易に溶解するため、わずか数サイクル後に両側の電極が劣化するという課題があります。

研究チームは、硫黄を所定の場所に閉じ込めるために、さまざまな形の炭素を使用しました。その中で、研究者チームは、米国Finch Paper社と協力し、リグニンスルホン酸を含む廃液を提供してもらいました。リグニンスルホン酸は製紙過程の副産物であり、廃液である褐色液に多量に含まれます。この褐色液を乾燥し、次いで約700℃に加熱します。

高熱にすることで、ほとんどの硫黄はガスとなりますが、活性炭マトリクス内に深く埋め込まれた多硫化物の一部は保持されます。適切な量​​の硫黄が炭素マトリックス中に閉じ込められるまで、加熱プロセスは繰り返されます。次いで材料を粉砕し、不活性ポリマーと混合して陰極コーティングを作成します。

こうして研究チームは、約200回もの充放電サイクルが可能な時計用バッテリーサイズであるリチウム硫黄電池プロトタイプを作成しました(図1)。研究チームは、次のステップとして、プロトタイプをスケールアップし、放電容量およびバッテリーのサイクル寿命を増加させるとしています。

レンセラー工科大学の研究者であるTrevor Simmons氏は、「持続可能かつ低コストの電極材料の設計において、工業用製紙業の副産物を使用することの可能性を示した」と述べています。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

全国初、車両の振動で発電するシステム、駐車場に設置、竹中工務店など開発の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年06月26日

新電力ネット運営事務局

全国初、車両の振動で発電するシステム、駐車場に設置、竹中工務店など開発

竹中工務店は6月20日、セイリツ工業、湘南メタルテックと共同で全国初となる車両走行可能な振動発電ユニットを開発したと発表しました。道路埋込型の超省電力LED照明と組み合わせた車両誘導システムを、「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY」に導入しています。

部屋全域へのワイヤレス充電を実証、コンセントフリー社会へ一歩前進、東大発表の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年06月18日

新電力ネット運営事務局

部屋全域へのワイヤレス充電を実証、コンセントフリー社会へ一歩前進、東大発表

東京大学は6月、マルチモード準静空洞共振器という送電器構造を考案・実装し、3m×3mの部屋全域へのワイヤレス充電ができることを実証したと発表しました。広範囲に数十ワット程度の電力を送信できることから、将来的に電池が切れない IoTシステムへの応用が期待されます。

使っても性能が劣化しない蓄電池、充電により自己修復、東大の研究グループが発見の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年05月20日

新電力ネット運営事務局

使っても性能が劣化しない蓄電池、充電により自己修復、東大の研究グループが発見

東京大学大学院工学系研究科の山田淳夫教授、大久保將史准教授、西村真一主任研究員らの研究グループは、電力を蓄えることにより構造を修復する「自己修復能力」を持つ電極材料を発見したと発表しました。

国産では初となる「らせん水車」が始動、日本工営が自社開発・製造の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年04月25日

新電力ネット運営事務局

国産では初となる「らせん水車」が始動、日本工営が自社開発・製造

国産では初となる商用の「らせん水車」が、岩手県一関市において4月10日に運転を開始しました。今回の「らせん水車(八幡沢発電所)」の開発・製造は日本工営が実施、同社は1946年の創業以来、多面的に国内外の水力発電事業に携わってきた歴史があります。

経産省などがドローン活用のガイドライン策定、電力業界への広まりとテラドローン社による取り組みの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年04月16日

新電力ネット運営事務局

経産省などがドローン活用のガイドライン策定、電力業界への広まりとテラドローン社による取り組み

2019年3月に公開されたドローン活用のガイドラインにより、ドローンを安全に活用するための指標や方法が提示されました。そのため今後は、より本格的なドローン活用が進んでいくものと考えられます。特に近年は、テラドローン社がエネルギー業界向けのソリューションを次々と開発しており、本記事ではそれら概要を見ていきます。