太陽光パネル、グリーン購入法の対象となる基準変更、最終処分に関する情報開示が必要に
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2018年04月05日
一般社団法人エネルギー情報センター
3月30日、総務省は「太陽光発電設備の廃棄処分等に関する実態調査(2017年9月発表)」の勧告に対する改善措置状況を公表しました。昨年9月発表の実態調査では、総務省が環境省と経済産業省に対して「使用済パネルの適正処理・リサイクル」等について勧告を行っており、今回、それらに対する改善措置がまとめられました。
太陽光発電設備の廃棄処分、環境省と経産省の改善措置
固定価格買取制度の後、急速に導入が進んだ太陽光発電に対し、廃棄処分等に関する対応の必要性が増してきています。固定価格買取制度は2012年から始まりましたが、太陽光パネルの耐用年数は20年から30年程度とされているため、2030年代半ば頃から使用済パネルの排出量が急増する見込みです。
総務省の資料によると、2015年には約2400トンである太陽光パネルの排出量が、2040年には約80万トンになると試算されています(図1)。また、2030年までの間も、住宅用を中心に排出量は増加の見込みです。
太陽光パネルには、有害物質(鉛、セレン等)が使用されているものもあり、適正な廃棄処理が必要です。また、将来には大量廃棄の問題に直面するため、最終処分等に関する環境整備が重要となってきます。
これら太陽光パネルの処分等に対する対応には、平成2016年3月に環境省が「環境省ガイドライン」を策定しています。また、同年に損壊パネルによる感電等の防止措置についても通知しています。
その後、総務省はパネルの適正な廃棄処分等が行われているか、現場の実態を調査し、2017年9月に結果を発表しています[関連記事]。調査の結果では、現状のガイドラインでは、排出事業者及び産業廃棄物処理業者は十分理解していないという調査結果となりました。また、多くの排出事業者、産業廃棄物処理業者及び県市から、現状のガイドラインでは具体的な処理方法が分からない、実用性に欠けるなどの意見が出ました。
そのため、調査結果から総務省は環境省と経済産業省に対して、「災害による損壊パネルへの対処」や、「使用済パネルの適正処理・リサイクル」について勧告を行っています。今回、総務省は勧告に対する改善措置状況についてまとめ、結果を発表しました。
感電等の危険性等に関する周知徹底の改善措置状況
前回の総務省による実態調査では、損壊パネルによる感電や有害物質流出の危険性について、一部を除き、地方公共団体・事業者とも十分な認識がなく、地域住民への注意喚起も未実施ということが判明しました。そのため、感電等の危険性などについて周知徹底するよう、勧告が行われました。
これに対し、環境省は2017年秋の台風に際して、全都道府県に対し、損壊パネルによる感電等の危険性等について、市町村・事業者への周知を求める通知を発出しています。また、2018年中に、環境省ガイドライン等に損壊パネルの取扱い・留意事項等を追記する予定です。
パネルの有害物質情報の共有に関する改善措置状況
前回の総務省による実態調査には、パネルの有害物質情報は排出事業者から産廃処理業者に十分提供されず、含有の有無が未確認のまま、遮水設備のない処分場に埋立てされていると示されています。つまり、排出事業者と産廃処理業者の情報共有ができず、有害物質が流出する懸念があります。これに対し環境省や経済産業省は、有害物質情報の開示に関する取組の検討を太陽光発電協会に要請しています。その後、2017年12月、有害物質情報の内容等を示したガイドラインが公表されています。
総務省によると、2018年2月末現在、当該ガイドラインに基づき、製造業者1社が、太陽光パネルに含有する有害物質の含有率等について、自社のウェブサイトで開示しています。また、2018年2月に改定された「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」において、太陽光発電システムの特定調達物品等に関する判断基準が追加されています。追加された基準は、「使用済パネルが最終処分される際の適正処理に必要な情報等が開示され、ウェブサイト等により容易に確認できること」といった内容です。
特定調達物品等とは、国が重点的に調達を推進すべき環境物品等の種類ごとに定められた「判断の基準」を満たす物品等です。2000年5月「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」が制定され、特定調達品目と、その「判断の基準」が基本方針として定められています。例えば身の回りのものでは、エコマーク認定商品は、原則としてグリーン購入法(判断の基準)に適合しています。この特定調達物品等に関する判断基準に、ウェブサイト等による情報公開が追加されました。
また、2018年中に、環境省ガイドラインに情報の開示の呼びかけや開示情報の提供等について記載される予定です。
使用済パネルの回収・適正処理・リサイクルシステムの構築に関する改善措置状況
前回の総務省による実態調査では、多くの地方公共団体・事業者から、家電リサイクル法などと同様、回収・リサイクルシステムの構築が必要との意見がありました。他方、リサイクルの現状は、処理コストの問題、パネルの大部分を占めるガラスの再生利用先の確保が困難、排出量が少ないことなどから、未だ道半ばです。
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一般社団法人エネルギー情報センター
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