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蓄電池なしでも再エネ100%を達成する2050年のシナリオ、スタンフォード大学発表

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2月にスタンフォード大学の研究者が、再エネ100%を達成しながら、グリッドを安定させる方法を論文の中で示しました。2050年に向けた3つのシナリオを提示しており、その中の1つは蓄電池を利用しない未来を描いています。これらのソリューションは、エネルギー需要だけではなく、健康および気候変動の被害を軽減します。

蓄電池なしで再エネ100%

地球温暖化問題を解決し、安全なエネルギー供給を実現するには、信頼性の高いゼロエミッションエネルギー技術に基づいたエネルギーロードマップが必要です。2017年にStanford Universityは、世界139カ国のロードマップを論文の中で提示しており、100%再エネが技術的にも経済的にも実現可能であることを示しています(図1)。

このロードマップは、再エネを2030年までに80%、2050年までに100%供給することを想定しています。仮に2050年までにロードマップが実現すれば、世界は1.5℃以内に温暖化を抑えることができます。また、エネルギー政策の転換で失われる雇用よりも新たな雇用が上回り、世界で2430万の新規の長期正社員雇用を創出します。

加えて、年間400~700万人に達すると推計される大気汚染による早期死亡を防ぐことができます。論文の中では、空気汚染をコスト化しており、2050年の大気汚染コストは約22.8兆$/年(12.7¢/kWh)、気候変動コストは約28.5兆$/年(15.8¢/kWh)と算出しています。これは、2050年の全エネルギーベースで約7.6%、世界の年間GDPの約1%もの規模となります。

100%再生可能エネルギー概要

図1 100%再生可能エネルギー概要 出典:Stanford University

新たに2018年2月にスタンフォード大学などの研究者が、WRENのジャーナルで発表した論文では、このロードマップに基づき、再エネ100%を達成しながら、グリッドを安定させる方法が示されました。この研究は、3つの蓄電シナリオによって再エネ100%を達成しています。

ケースAの蓄電方法は、蓄電池、蓄電池を備えた集光型太陽光、高低温の蓄熱といった技術であり、それらでエネルギー管理を行いますが、水力タービンの追加は行いません。ケースBは、蓄電池を利用しませんが、一部の地域で水力タービンを追加します。ケースCについては、蓄熱技術を全く利用しません。

モデリングデータに基づくシナリオでは、2050-2054年の5年間にわたって、3つの異なるシナリオで低コストが実現し、電力不足による停電も回避しています。

スタンフォード大学が2015年に発表した前回の研究では、米国において100%再エネが可能であることを検証しました。この調査では、目標を達成するためのシナリオが1つしか含まれていませんでした。一方で、今回の研究では3つの多様なシナリオが想定されています。

また、前回の研究では、既存の水力発電にタービンを追加する方法や、地下岩などに余分なエネルギーを蓄積する方法に大きく依存しており、その部分の実現性などを疑問視する声もありました。そのため、今回の研究では、水力タービンを追加せず、岩石などにエネルギー貯蔵しないシナリオを提示しています。

電気料金に関しては、運用/保守、送配電、ストレージコスト等を考慮に入れたLCOEにおいて、世界平均で9.74¢/kWhになります。日本周辺国の場合は、世界平均よりも高く、12.55¢/kWhとなっています。これは、発電部分だけではなく、送電や蓄電の費用が世界平均よりも高く算出されているためです(図2)。

研究者は、すべてのシナリオで、エネルギー単位当たりのコスト(健康、気候変動コストを含む)は、世界が現在のエネルギー政策の方向性で進む場合の約1/4となることを見出しました。これは主に、化石燃料による健康と気候変動コストを排除することによるものです。化石燃料の社会的コストは38.3¢/kWh(事業費コストは9.8¢/kWh)と試算されており、大部分を健康・気候変動コストが占めています。

2050年度における各国の電気料金予測(ケースA・LCOE)

図2 2050年度における各国の電気料金予測(ケースA・LCOE) 出典:Stanford University

30秒単位で需要と供給を一致

この研究の中心は、風力、水力、太陽光発電、貯蔵システムから供給されるエネルギーを、2050年の需要予測と一致させる部分です。今回の研究では、地政学的な観点等に基づいて、データの入手できる139ヶ国を20の地域に分け、分析が行われました。これらの地域で、風力と太陽光、そして季節の変動性を考慮して、5年間(2050〜2054年)を30秒単位で需要と供給を一致させています。

研究者は2つの計算モデリングプログラムを利用しました。最初のプログラムでは、2050年から2054年までの世界的な気象パターンを予測します。これにより、太陽光発電などの気象関連のエネルギー源から発生するエネルギー量を測定します。ただ、これらのタイプのエネルギー源は可変であるため、需要が最も高いときに必ずしもエネルギーを生産しません。

その後、第1モデルのデータと、地熱発電所、潮力発電、水力発電、地熱発電のような、安定した電力源によって生成されるエネルギーを組み込んだ第2モデルとのデータを組み合わせます。なお、第2モデルには、電気、熱、冷水、水素貯蔵などの余剰があるときにエネルギーを蓄える方法も含まれています。さらに、このモデルには、時間の経過とともに変動するエネルギー需要の予測が含まれています。

この2つのモデルによって、多様なエネルギー源がどれくらいのエネルギーを生産するのか、そして需要に応えるために変動するエネルギーをどのようにバランスさせるかを予測することができました。

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