国家戦略特区「養父市」でメタン発酵発電、最新鋭トマトハウス併設でブランド確立を目指す
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2017年10月30日
一般社団法人エネルギー情報センター
10月26日、トーヨーグループのトーヨー養父バイオエネルギーは、 国家戦略特区「養父市」においてメタン発酵発電施設の起工式を執り行うと発表しました。2018年には発電施設の隣地に最先端農業技術の試験圃場を取り入れたトマトハウス施設の建設・運営が予定されており、養父市のブランドトマトの確立が図られます。
メタン発酵発電の隣に最新鋭ハウス施設、ブランドトマトの確立を目指す
国家戦略特区は、規制改革を総合的かつ集中的に推進し、産業の国際競争力の強化、国際的な経済活動の拠点の形成の促進を図る制度です。兵庫県養父市は、平成26年3月28日の国家戦略特別区域諮問会議において、中山間地域農業における改革拠点として、国家戦略特区に区域指定されています。
国家戦略特区としての養父市の目標は、耕作放棄地の再生、農産物・食品の高付加価値化等の革新的農業を実践し、輸出も可能となる新たな農業のモデルを構築することです。この養父市において、トーヨーグループのトーヨー養父バイオエネルギーは、 メタン発酵発電施設の起工式を執り行うと発表しました。起工式日時は2017年10月28日13時~15時迄、場所は兵庫県養父市大薮1155他です。
2018年には発電施設の隣地に最先端農業技術の試験圃場を取り入れたトマトハウス施設の建設・運営が予定されており、養父市のブランドトマトの確立が図られます(図1)。
図1 計画地案内図と計画地平面図 出典:トーヨーグループ
家畜ふん尿および残渣処理問題の解決に資する発電
兵庫県養父市は、ブランド牛「但馬牛」の飼育が盛んで「ブロイラー」発祥の地としても知られる地域です。トーヨーグループはこの地域で、家畜ふん尿の処理や農業とのエネルギー連携を可能とする「メタン発酵発電施設」、そして冬季でも営農可能な「植物工場」を運営する予定です。
今回のメタン発酵発電施設は、約9000㎡の敷地に建設される湿式中温メタン発酵発電施設です。家畜ふん尿や食品残渣等をメタン発酵させてバイオガスを取り出し、そのバイオガスを燃料として発電を行います。
原料には市内の畜産農家の畜ふん、兵庫県内の食品加工会社の食品残渣が利用されます。それにより、家畜ふん尿および残渣処理問題の解決に資することになります。発電施設は、2018年3月の竣工が予定されています(図2)。
図2 施設概要 出典:トーヨーグループ
消化液は有機質肥料に
発電後に生成される消化液は、有機質肥料として地域内で作る特別栽培米やその他野菜栽培にも使用されます。2018年には、今回の発電施設の隣地に最先端農業技術の試験圃場を取り入れたトマトハウス施設の建設・運営が予定されています。この最新鋭のハウス施設栽培技術による安定供給で、養父市のブランドトマトの確立が図られます(図3)。
これらのメタン発酵発電施設と植物工場の各施設によって、シルバー人材の活用等、雇用の創出が期待できます。さらに、家畜ふん尿処理問題解決により、家畜の増頭や有機質堆肥の供給による地元農業への貢献が想定されます。加えて、環境施設としての利用および教育への貢献、エネルギーの有効利用による先進的農業生産が見込めます。
トーヨー養父バイオエネルギーによると、新電力事業によって将来的には電力の地産地消が期待でき、養父市でのさらなる循環型資源利用に貢献するとしています。
トーヨーグループは、これまでも発電所の稼働にともない発生する熱や二酸化炭素を活用した「アグリ事業」を展開しています。トーヨーグループによると、国内外において今回と同様のプロジェクト展開を計画し、クリーンエネルギーの供給のみならず農業の活性化、雇用創出、さらに新しいビジネスの創出など、地域経済の活性化に寄与するとしています。
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執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
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