「空気呼吸」バッテリーをMITが開発、硫黄や塩など安価な素材で製造、コスト効率は揚水に匹敵
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10月11日、マサチューセッツ工科大学(MIT)が「空気呼吸」をする安価な蓄電池を開発したと発表しました。硫黄、空気、水、塩といった、すべて容易に入手可能な材料から構成されており、化学的コスト(正極、負極、電解質材料)は、リチウムイオン電池といった競合の約10~100分の1です。経済分析によれば、コスト効率はPHSやCAESに匹敵するものになります。
MITが「空気呼吸」をする安価な蓄電池を開発
再エネ発電は気象などにより発電量にバラツキが発生するため、低コストかつ高い拡張性を持つエネルギー貯蔵技術の必要性が高まっています。揚水水力発電(PHS)と地下圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)は、設置コストが100ドル/kWh以下であり、今日最も安価ですが、それぞれが地理的および環境的制約に直面しているため、規模拡大には制限があるといえます。
そうした中、マサチューセッツ工科大学(MIT)が「空気呼吸」をする安価な蓄電池を開発したと発表しました(図1)。硫黄、空気、水、塩といった、すべて容易に入手可能な材料から構成されており、化学的コスト(正極、負極、電解質材料)は、リチウムイオン電池といった競合の約10~100分の1です。経済分析によれば、コスト効率はPHSやCAESに匹敵するものになります。

図1 研究で使用された実験用「空気呼吸」電池セルの設計の1つ 出典:MIT
酸素を吐き出す蓄電池
「空気呼吸」バッテリーは、文字通り空気を吸入して吐き出しますが、人のように二酸化炭素ではなく、酸素を吐き出します。陽極の塩溶液が酸素を連続的に取り込んで放出することで、イオンが電極間を往復する際に電荷を均衡させます。陰極においては、再充電可能な流動電池として、水に溶解した硫黄が使用されます。
陽極に流れ込む酸素により、陰極が電子を外部に放電します。逆に、酸素が陽極から流出すると、電子が陽極に戻ることになり、蓄電池が充電されます(図2)。

図2 「空気呼吸」バッテリーの概念 出典:ScienceDirect
リチウムイオン電池などの競合と比較して、100分の1の価格になるポテンシャル
2012年にアメリカ合衆国エネルギー省によるエネルギー貯蔵研究が始まり、そこから蓄電池の研究が始まりました。これは5年間のプロジェクトで、約180名の研究者が省エネルギー技術の共同研究に参加するものです。MIT教授のChiang氏は、グリッド規模の大規模なエネルギー貯蔵コストを削減できる、効率的な電池の開発に重点的に取り組むこととなりました。
Chiang氏は、これまで過去数十年にわたる電池の大きな問題は、エネルギー密度の向上に焦点を当て、高価な材料を合成していた点であるといいます。例えば、携帯電話用などで利用されるリチウムイオン電池では、1キロワット時あたり約100ドルの化学的コスト(正極、負極、電解質材料)が必要です。
研究において、テラワット規模のエネルギー貯蔵を望むなら、豊富に存在する材料を使用する必要がありました。その点で、今回の蓄電池は硫黄・空気・水・塩で製造可能であり、いずれも容易に入手可能です。硫黄については、例えば化石燃料生産の副産物として、幅広い地域で安価に得られます。
MITによると、低コストの材料を使用しているため、化学的コスト(正極、負極、電解質材料)は、これまでの蓄電池の中で最も安い水準であるとしています。現在の一般的な蓄電池における化学物質のコストは、概ね10〜100ドル/kWh程度です(図3)。
一方で、今回の蓄電池では、ポリ硫化ナトリウムを利用することで、科学的コストを約1ドル/kWhに抑えることができます。そのため、リチウムイオン電池などの競合電池と比較して、約10~100分の1の水準となるポテンシャルがあります。

図3 導入年度別、代表的な二次電池の貯蔵コスト 出典:ScienceDirect
今回の蓄電池について、エネルギー密度については、鉛蓄電池の2倍のエネルギーを蓄えることができますが、リチウムイオン電池よりわずかに低いです。グリッド規模の蓄電において競合となるのが揚水型水力発電ですが、今回の蓄電池はエネルギー密度が揚水の500倍以上です。また、揚水発電は地理上の制約がありますが、蓄電池は非常にコンパクトであり、あらゆる場所に設置可能です。
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一般社団法人エネルギー情報センター
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