日本初、飲食店などの排水を利用する「バイオマス発電車」、イベント時に直接供給も可能

2017年09月11日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

日本初、飲食店などの排水を利用する「バイオマス発電車」、イベント時に直接供給も可能の写真

9月8日、NEDOは100KVA規模の発電機を搭載した国内最大級のバイオマス発電車を開発したと発表しました。燃料は、飲食店などにおける排水浄化の過程で分離回収される油脂を原料としており、日本初となります。

100KVA規模の発電機を搭載した国内最大級のバイオマス発電車、飲食店などの排水を利用

飲食店や商業施設、食品工場等における排水に関しては、下水道法や水質汚濁防止法で規定する排水基準以下の濃度で排水することが定められています。そのため、下水道や公共用水域へ汚水や油脂が直接流出することを防ぐため、グリース阻集器を設置することが事実上義務づけられています。

「平成24年度環境研究総合推進費補助金・研究事業 国立環境研究所」によると、グリース阻集器で集められる排水油脂の賦存量は、全国で年間31万トンにも上ると推定されています。こうした規模の賦存量がありますが、水分含有率が高く、不純物も多いため、再生燃料化が難しく、未利用資源となっていました。

この課題解決に向けて、ティービーエムは、NEDOの「ベンチャー企業等による新エネルギー技術革新支援事業」において、2013年度から「フード・グリーン発電システム」の開発に取り組んできました。「フード・グリーン発電」とは、これまで、汚泥として産廃処分されるしかなかった排水油脂から、ティービーエム独自のバイオマス燃料“SMO”を製造し、ディーゼル発電機でバイオマス発電を行うシステムです。排水油脂をエネルギーに変換し、新たな“都市資源”を誕生させるものとなります。

SMOとは、ストレート・ミックスド・オイルの略です。牛脂やラードが多く混入している排水油脂から、化学合成することなく改質製造されています。

「フード・グリーン発電」は、年間31万トンにものぼる排水油脂から、740GWhものエネルギーを生み出すことができます。このバイオマス発電システムを提供することで、利用エリアに創エネ、CO2削減、リサイクル、水質浄化をもたらすことが可能です。

今回、NEDOはティービーエムと、100KVA規模の発電機を搭載した国内最大級のバイオマス発電車を開発したと発表しました(図1)。燃料は、飲食店などにおける排水浄化の過程で分離回収される油脂を原料としており、日本初となります。

100KVAバイオマス発電車の外観

図1 100KVAバイオマス発電車の外観 出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

成果①、排水油脂の発電用燃料化に、日本で初めて成功

食品産業由来のバイオマス燃料として、主にフライヤーや天ぷら油から発生した「廃食用油」をバイオディーゼル燃料としてリサイクルしている例は既にあります。しかし、グリース阻集器などの排水浄化プロセスで収集されるトラップグリースは、水分含有率や酸価が高く、不純物も多いなどの理由により、再資源化が難しく、これまで産業廃棄物として焼却処分されていました。

その点で、ティービーエムは、施設の排水を浄化する独自技術を有しています。NEDO事業において、排水から分離回収した動物性油脂を精製改質する技術開発が進められた結果、日本で初めてトラップグリースの発電用燃料化に成功しました。化学薬品を一切使用せず、また副産物も出さないといった特徴を持ちます。

成果②、グリーン電力を供給する国内最大級「バイオマス発電車」、世界初の実証実験も実施

今回、排水浄化由来の発電用燃料によるグリーン電力を、イベントなどに直接供給できる100KVA規模の発電機を搭載した日本最大級のバイオマス発電車が開発されました。この発電車は、優れた防音機能を有しており、また災害時には非常用独立電源としての利用も期待できます(図2)。

今回の発電車は、9月10日に開催予定の入間市主催のイベント「第23回いるま太鼓セッション」において、グリーン電力の供給を行う実証試験が実施されます。なお、排水浄化の過程で分離回収された排水油脂を原料に製造された発電用燃料で発電する実証試験は、世界初となります。

この世界初となる実証試験は、松屋フーズの入間店ほか埼玉県内98店舗から回収された動物性油脂を原料に、発電用燃料を製造します。発電した電力は「第23回いるま太鼓セッション」へ供給が行われます。出店の調理機器や電灯、さらに熱中症対策となるクールスポットをつくるミスト発生装置などに、発電車から安定的に電力供給ができるか確認されます。

加えて、10月29日、30日に開催予定の入間市主催のイベント「第39回入間万燈まつり」においても、同様の実証試験が予定されています。そのほか、武蔵野市主催で11月開催予定の環境フェスタほか、東京都内での各種イベントにおける実証試験など、2017年度中にさまざまな自治体イベントで実証試験が予定されています。

排水浄化から生み出すグリーン電力

図2 排水浄化から生み出すグリーン電力 全体図 出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

ティービーエムは、2017年度中にさまざまな自治体イベントで実証試験を実施し、2020年までに排水浄化からグリーン電力を生み出す「フード・グリーン発電システム」を首都圏全域に普及させ、“新エネルギーの地産地消モデル”の確立を目指すとしています。

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