使用済み食用油から製造されたバイオ混合燃料で飛ぶ旅客機、200人以上が搭乗したエアバスA350で運航

2017年05月10日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

使用済み食用油から製造されたバイオ混合燃料で飛ぶ旅客機、200人以上が搭乗したエアバスA350で運航の写真

5月3日、シンガポール空港はサンフランシスコ線に投入するA350-900で、バイオ燃料による太平洋横断飛行を開始したと発表しました。最初のフライトは、5月1日にシンガポール行きの便としてサンフランシスコを出発し、206人の乗客が搭乗しました。

バイオ燃料とフライトオペレーションを最適化する「グリーンパッケージ」

国際民間航空機関は地球温暖化問題への対策として、2020年以降CO2排出を頭打ちにする目標を策定しました。これに対応して国際航空運送協会は、2020年までに世界平均年1.5%の燃費効率改善、2050年までに2005年比CO2排出量50%削減という目標を掲げています。これらの目標を達成するためには、バイオジェット燃料の導入が必須であると考えられており、その関心が国際的に高まっています。

こうした中シンガポール航空は現地時間の5月1日、エアバスA350-900を用いたバイオ燃料による太平洋横断飛行を開始しました。このバイオ燃料が利用されたA350には206人が搭乗し、シンガポール/サンフランシスコ線にて運航されました(図1)。このバイオ燃料による運航は一回限りではなく、今後週1便で12回の3ヶ月間で予定されています。

今回のプロジェクトは、シンガポール航空とシンガポール航空局、航空交通管理が共同で実施するものです。低燃費航空機やバイオ燃料、そして最適化されたフライトオペレーションを組み合わせた「グリーンパッケージ」と呼ばれる今回の取り組みは、世界で初めての事例となります。

シンガポール航空とシンガポール航空局は、これまでも国際航空におけるカーボン排出削減イニシアチブに協力しています。2010年1月、両団体はロサンゼルスから東京を経由してシンガポールに到着するまでの間、6%の燃料節約を実証したASPIREプログラムに参加しました。ASPIREプログラムは、管制機関と航空会社が連携をとり、効率的な運航を実現することで、消費燃料及び排出ガスの削減を図るものです。今回の「グリーンパッケージ」のフライトでは、ASPIREプログラムのベストプラクティスが採用されています。

バイオ燃料自体は2011年以来、商業航空での使用が認可されており、今回のプロジェクトでは、使用済みの食用油から製造されたバイオ燃料であるHEFAと、従来のジェット燃料が組み合わされます。

シンガポール航空は、2008年に設立された「SAFUG」の一員であり、バイオマスなど持続可能な航空燃料の開発と商業化をこれまで加速してきました。シンガポール航空の最高経営責任者であるGoh Choon Phong氏は、「シンガポール航空が創業70周年を迎えた5月1日は、サンフランシスコ発である最初のバイオ燃料飛行が始まったこともあり、特に忘れがたいものです」と述べています。

バイオ燃料による飛行

図1 バイオ燃料による飛行 出典:Airbus

日本におけるバイオ燃料の航空機への活用

日本においては、藻類やBTLなど、将来的にバイオジェット燃料として利用できる可能性がある次世代バイオ燃料の開発が進められています。また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックを契機として活動する動きもあり、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けたバイオジェット燃料の導入までの道筋検討委員会」が2015年に設置されました。

オリンピック・パラリンピック東京大会においてバイオジェット燃料によるフライトを実現することは、様々なメリットが考えられます。例えば、ICAOによる目標達成に資するほか、空港や周辺インフラの整備が行われる契機でもあります。また、国内外からの観戦者に対して、バイオジェット燃料の導入をアピールする機会にもなります。実際には2020年までの本格導入は難しいとされておりますが、多くのメリットがあるため、様々な企業・団体が研究開発を進めています。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

太陽光の逆潮流をEVで抑制、入札で充電時間シフト、PV出力抑制量を約半減、電力コストは約2割減の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年07月29日

新電力ネット運営事務局

太陽光の逆潮流をEVで抑制、入札で充電時間シフト、PV出力抑制量を約半減、電力コストは約2割減

科学技術振興機構(JST)は、早稲田大学と東京大学の研究グループにより、電気自動車保有者の充電時間帯に着目したオークション式エネルギーマネジメント手法が開発されたと発表しました。

日本初、CO2ゼロの都市型通勤電車が実現、世田谷線の運行が再エネ100%にの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年03月28日

新電力ネット運営事務局

日本初、CO2ゼロの都市型通勤電車が実現、世田谷線の運行が再エネ100%に

東急電鉄は、東北電力、東急パワーサプライの協力により、水力および地熱のみで発電した再生可能エネルギー100%による世田谷線の運行を2019年3月25日から開始すると発表しました。東急電鉄によると、都市型鉄軌道線における、日本初の再エネ100%の電力による通年・全列車の運行になるとしています。

世界初、紙の原材料でCO2減のコンセプトカー、金沢工業大学発表、2019年度に完成見込の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年01月29日

新電力ネット運営事務局

世界初、紙の原材料でCO2減のコンセプトカー、金沢工業大学発表、2019年度に完成見込

環境省が進めるNCVプロジェクトの一環として、金沢工業大学は、外板や骨格部材を植物由来のCNFで製作した世界初のコンセプトカーの開発に取り組んでおり、2019年度中の完成を予定していると発表しました。

急増する英国の電動自動車マーケット、日本メーカーがシェア6割に、英国の業界団体が発表の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年10月03日

新電力ネット運営事務局

急増する英国の電動自動車マーケット、日本メーカーがシェア6割に、英国の業界団体が発表

英国の業界団体であるSMMTは、今年に入り英国の購入者が新車登録した電動自動車の内、10台中6台が日本車であったと発表しました。英国で新車購入された日本メーカーの電動自動車は、2017年1~8月が45751台であったのに対し、2018年1~8月は54000台を超え、需要が昨年から18.5%増加しています。

2050年までに電動自動車100%社会を目指す日本、エネルギーミックス以上の再エネ普及が重要にの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2018年09月21日

新電力ネット運営事務局

2050年までに電動自動車100%社会を目指す日本、エネルギーミックス以上の再エネ普及が重要に

自動車業界における今後の戦略については、現在「自動車新時代戦略会議」によって議論が進められています。パリ協定の2度シナリオ達成のためには、電動自動車の普及は重要であり、2050年には100%が電動化すると想定されます。また、EVは発電電源の由来にCO2排出量が左右されるため、再エネの普及も重要となってきます。