平成28年度の省エネ大賞、132件の応募から50件選出、気象予測をベースにした需要予測などが受賞
一般社団法人エネルギー情報センター

省エネルギーセンターは2月、平成28年度の省エネ大賞における表彰式および発表会を東京ビックサイトにて開催しました。28年度は132件の応募があり、省エネ事例部門が25件、製品・ビジネスモデル部門が25件の合計50件が受賞しました。
28年度の省エネ大賞が決定、
省エネルギーセンターは、優れた省エネ推進の事例や、省エネ性に優れた製品およびビジネスモデルを、平成23年より「省エネ大賞」として表彰しています。今回6回目となる28年度では132件の応募があり、50件の製品・サービス等が受賞しました(表1)。
省エネ大賞の目的は、省エネルギー意識、活動および取組みの浸透、省エネルギー製品等の普及促進に寄与するです。28年度においては「省エネ事例部門」と「製品・ビジネスモデル部門」の2つの部門において、それぞれ25件ずつ受賞しました。下記にて、それぞれの部門における概要を見ていきます。
| 部 門 | 経済産業大臣賞 | 資源エネルギー庁 | 中小企業庁 | 省エネルギー | 審査委員会 |
|---|---|---|---|---|---|
| 長官賞 | 長官賞 | センター会長賞 | 特別賞 | ||
| 省エネ事例 | 4件 | 5件以内 | 1件 | 14件 | 1件 |
| 製品・ビジネスモデル | 4件 | 5件 | 2件 | 13件 | 1件 |
表1 省エネ大賞の受賞件数 出典:省エネルギーセンター資料より作成
省エネ事例部門
企業や組織全体あるいは、工場や事務所等での省エネの取組み、現場における小集団活動等により、優れた省エネルギー活動を推進し、成果をあげた事業者が対象となります。ビル・工場等の設備投資を伴う大規模な取組みだけではなく、既設設備の改善、改造やメンテナンス、管理運用など幅広く対応しています。なお、省エネルギー活動にはピーク電力抑制・ピークシフト等の節電への取組みが含まれます。
審査評価項目 :(1)先進性・独創性、(2)省エネルギー性、(3)汎用性・波及性、(4)改善持続性
製品・ビジネスモデル部門
優れた省エネルギー性を有する製品、または省エネルギー波及効果の高いビジネスモデルを開発した事業者が対象となります。業務用・家庭用製品のほか、輸送分野の製品や住宅・ビル等建築分野の製品、及び各製品の要素製品や部材といった幅広い製品が対象となります。なお、省エネルギー性及び省エネルギー波及効果には節電効果も含まれます。
審査評価項目:(1)開発プロセス、(2)先進性・独創性、(3)省エネルギー性、(4)省資源性・リサイクル性(5)市場性・経済性、(6)環境保全性・安全性
この「製品・ビジネスモデル部門」においては受賞概要集が発表されております。そのため、今回のコラムでは「製品・ビジネスモデル部門」において「経済産業大臣賞」を受賞した4製品について、大まかな特徴を見ていきたいと思います。
①世界初、二つの異なる温度の風を同時に吹き分けることで「省エネ性」と「快適性」を両立
| 受賞者名 | テーマ名 |
|---|---|
| パナソニック株式会社 アプライアンス社 エアコンカンパニー エアコン事業部 |
家庭用ルームエアコン「ダブル温度・同時 吹き分け気流システム搭載」WXシリーズ |
世界で初めて、二つの異なる温度の風を同時に吹き分ける「省エネ性」と「快適性」を両立させた家庭用エアコンが受賞しました。可変圧力弁で2つの温度帯を作り出す「ダブル温度熱交換技術」を開発し、気流制御技術や室内機・室外機の新要素技術によって、高い省エネ性能PF7.6(4kW機種)を達成しました。人の温冷感の違いを空調制御に加えるなど、必要な人に必要な温度の気流を届けることにより、省エネ性と快適性を両立させるエアコンが実現しました(図1)。

図1 家庭用ルームエアコン「ダブル温度・同時 吹き分け気流システム搭載」WXシリーズの概要 出典:省エネルギーセンター
②ビル用マルチエアコンの年間エネルギー消費量を15%以上削減
| 受賞者名 | テーマ名 |
|---|---|
| ダイキン工業株式会社 | 既設ビル用マルチエアコン向け「レトロフィットシステム」 |
費用と工期の観点から高効率機器への転換が進まないオフィスビル用空調機の部品交換システムが受賞しました。基幹部品であるコンプレッサーと制御基盤を高効率の最新型にレトロフィットすることにより、最適な回転数制御や冷媒蒸発温度制御等が可能となるものです。この交換システムにより、現在普及している5年を経過した標準的なビル用マルチエアコンの年間エネルギー消費量を15%以上削減できます。この省エネ効果を、新品の半分のコストと1日以内の工期で可能とした製品となります。仮に国内で使用されている同社ビル用マルチエアコン(68万台)の30%が本システムに置き換わった場合、CO2排出量原油換算で年46,920kLの省エネとなります(図2)。

図2 既設ビル用マルチエアコン向け 「レトロフィットシステム」の概要 出典:省エネルギーセンター
③量産車として世界初の最大熱効率40%を達成したエンジン
| 受賞者名 | テーマ名 |
|---|---|
| トヨタ自動車株式会社 | 新型プリウスのハイブリッド技術 |
走行全域の更なる燃費向上を図ったハイブリッド技術が受賞しました。量産車として世界初の最大熱効率40%を達成したエンジンをはじめ、総てのハイブリッドユニットを基本構造から見直すことで、小型、軽量、低損失化を実現しています。前モデルからは26%の性能向上にあたる 40.8km/L(JC08基準)の燃費性能を達成しつつ、ドライバーの意図する滑らかな加速性能を実現、環境性能とドライバビリテイの両立を実現しています(図3)。

図3 新型プリウスのハイブリッド技術の概要 出典:省エネルギーセンター
④気象予測をベースに需要予測を共有する新しいビジネスモデル
| 受賞者名 | テーマ名 |
|---|---|
| 一般財団法人 日本気象協会 株式会社Mizkan 相模屋食料株式会社 ネスレ日本株式会社 川崎近海汽船株式会社 |
需要予測の精度向上・共有化による省エネ物流プロジェクト |
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 |
〒160-0022 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 |
https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2026年08月24日
低圧系統用蓄電所の最新動向【第2回】低圧系統用蓄電所を支えるプレイヤー構造とアグリゲーターの役割
低圧系統用蓄電所は、小規模な蓄電池を多数束ねて一つの大きな電源のように運用する事業です。 第1回では、この「束ねる」仕組みが需給調整市場への参加に欠かせないことを整理しました。実際にこの役割を担うのがアグリゲーターで、発電・蓄電設備と市場をつなぐ存在です。2022年の制度導入以降、特定卸供給事業者として届出を行う企業は増加し、電力会社から商社、独立系・新興企業まで幅広い企業が届出を行っています。 第2回では、アグリゲーターの法的な位置づけと、実際にどのような企業が参入しているのかを、資源エネルギー庁の公式データをもとに整理します。
一般社団法人エネルギー情報センター
2026年08月12日
低圧系統用蓄電所の最新動向 【第1回】低圧系統用蓄電所とは―高圧との違いと2026年の制度転換
系統用蓄電池はこれまで高圧・特別高圧の大規模案件が中心でした。しかし2026年、低圧リソースが需給調整市場に参加できる仕組みが始まるなど制度整備が進み、小規模な蓄電池を電力系統につないで市場で活用する「低圧系統用蓄電所」という事業モデルが現実味を帯びています。参入を検討する企業にとって、仕組みとリスクを正確に把握しておく必要があります。 本シリーズは全3回で、仕組みや高圧との違い、プレイヤー構造、市場の動向と課題を整理します。第1回では、低圧系統用蓄電所の基本的な仕組みを、高圧との違いや2026年の制度転換とあわせて解説します。
一般社団法人エネルギー情報センター
2026年08月03日
なぜ2026年夏の電力逼迫が警戒されたのか ―【第3回】夏の電力逼迫時代に企業はどう備えるべきか―
第2回では、2011年・2012年・2022年の電力逼迫事例とホルムズ海峡情勢を踏まえ、日本の電力供給が国内外のリスクと結びついていることを整理しました。 最終回となる今回は、企業がこうしたリスクにどのように備えられるのかを整理します。電力リスクは、供給不足だけでなく、燃料価格や卸電力市場の変動による価格リスク、停電による事業継続リスクにも及びます。以下では、電力コスト、需要管理、調達・契約、事業継続計画(BCP)の観点から、企業が取り得る対策を見ていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2026年07月23日
LPガス営業ルールの根本的な変更、中東情勢下において料金改定説明ルール等が変わる可能性
本記事は、LPガスの不透明な商慣行を是正する法改正の歩みと課題を解説したものです。不当な値上げを防ぐための「料金改定理由の具体的な説明義務化」や、最高裁判決を受けた「解約時精算ルールの厳格化」など、消費者保護と信頼回復に向けた最新のルール変更動向をまとめています。
一般社団法人エネルギー情報センター
2026年07月19日
なぜ2026年夏の電力逼迫が警戒されたのか ―【第2回】 過去の逼迫事例とホルムズ海峡リスクに見る、日本の電力供給の脆弱性―
第1回では、2026年夏の電力需給が一時、東京エリアで予備率0.9%まで悪化する見通しとなり、追加対策によって3%を確保するに至った経緯を整理しました。しかし、振り返れば、電力供給がここまで逼迫したのは今回が初めてではありません。 2011年の使用制限令、2012年の数値目標付き節電、2022年の需給ひっ迫警報と、日本はこれまでにも同様の局面を経験してきました。第2回の今回は、これらの過去の逼迫事例とホルムズ海峡情勢を踏まえ、日本の電力供給が国内外のリスクとどのように結びついているのかを整理します。







