九州で大量に発生する焼酎かすを利用した充電池を開発、廃棄に悩む業界に貢献
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一般社団法人エネルギー情報センター

5月11日、福岡工業大学(福岡市東区)工学部電気工学科の田島研究室は、焼酎製造時に生じる「粕(かす)」を活用した充電池を開発したと発表しました。九州で大量に発生する焼酎かすの新たな活用法を開拓したことで、地域の環境保護や産業の活性化が期待されます。
焼酎かすの充電池で地域の環境保護や産業の活性化
今回、福岡工業大学の田島研究室が開発した充電池は、焼酎かすを利用したものとなります(図1)。焼酎かすは、焼酎を製造するときに得られる蒸留後の残渣(焼酎かす)であり、その処理が社会的な問題となっています。2007年4月からは、ロンドン条約を背景とする改正海洋汚染防止法により、焼酎粕の海洋投棄が原則全面禁止になり、陸上処理が原則となりました。
今回の充電池は、焼酎かすの廃棄費用に悩む九州の焼酎業界への貢献が期待されます。また、本来廃棄するものを利用するため、低コストであり、かつ放充電の際に劣化が少なく長期間の使用も可能な特徴を持ちます。九州で大量に発生する焼酎かすの新たな活用法を開拓したことで、地域の環境保護や産業の活性化も期待されています。

図1 焼酎粕から充電池ができるまで 出典:福岡工業大学
焼酎かすから、材料となる活性炭の作製と電気二重層キャパシタへの応用
今回の充電池は「電気二重層キャパシタ」というタイプのものです。「電気二重層キャパシタ」とは、活性炭の表面にある微細な隙間に多数のイオンが付着したり放出されたりする現象を利用した充電池のことです(図2)。
通常の充電池と比較して、貯められる電気の量は劣るものの、短時間で充放電する瞬発力に優れており、繰り返しの使用に非常に強いという特徴があります。そういった特徴があるので、ハイブリッド自動車のブレーキ時におけるエネルギーを急速に蓄えたり、発進・加速時に大きな電力を供給したりする用途に適しています。

図2 電気二重層キャパシタの原理 出典:福岡工業大学
今回の開発では、焼酎工場から排出される焼酎かすから、材料となる活性炭の作製と電気二重層キャパシタへの応用に成功しました(図3)。製法の工夫により、従来から多く用いられてきたヤシ殻由来の活性炭と比較して、イオンを表面に保持する能力が約13%向上しました。また、その活性炭を電気二重層キャパシタの電極として応用し、貯めることができる電気の量も全体として約20%向上させています。

図3 焼酎粕から作製されたカーボン 出典:福岡工業大学
焼酎の種類によって蓄えられる電気の量が異なる
以下にて、今回の充電池について特徴を纏めます。まず、大きな特徴として焼酎の種類によって蓄えられる電気の量が異なる点が挙げられます。そのため、様々な種類の焼酎を試すことにより、改良の余地が大きいと考えられます。なお、焼酎かすは紅乙女酒造(福岡県)が提供しており、実用化に向けて今後も協力して研究を進めていくとしています。
そのほか、廃棄物を使用し、レアメタル等を用いないため、製造コストは低く抑えられることが期待できます。加えて、充電・放電の際に劣化が少なく長期間使用できます。
また、余った電気を無駄なく回収したり、一度にたくさんの電気が必要となる用途に適しています。将来的には、何時間もかかっていた充電を一瞬でできるようになる可能性があり、電気自動車、小型モバイル機器、家庭用の充電池などへの実用化が期待できます。
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執筆者情報
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