地図をつかって勝ち残る電力自由化、地理情報システム(GIS)の新たな可能性

2016年04月28日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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電力自由化により異業種・代理店参入が加速する中、他社から一歩先んじるマーケティングの重要性が高まりつつあります。そこで、GIS(地理情報システム)で世界最大のシェアを誇るESRIジャパンの方々に、地図を使ったマーケティングと電力自由化について話を聞きます。

地図で視覚的に分析するエリアマーケティング、GISについて

GIS(Geographic Information System)は、地図情報によって各種戦略立案や意思決定を支援するITソフトウェアのことです。地図を見て一目でわかるような、地域ごとの市場ポテンシャル把握や、商圏分析、立地評価、売上予測、顧客分析、各種レポートの出力などが可能となります。

これらの地図機能と自社ビジネスを融合させることにより、ビジネス改善において視覚的な洞察を得ることが可能となります。

電力自由化におけるGISの活用

電力自由化により、これまでは自然独占であったものが、一般競争の世界に入りました。2016年4月の全面自由化以降は、様々な業態が参入しており、競争が活発化しています。

こうした競争環境の中、顧客獲得・事業拡大を実現するには、ビジネスの頭打ちを脱却するマーケティングが重要になってきます。その解決となる一つの手段がGISを利用したエリアマーケティングです。

GISは「地図」「位置情報」「データ活用」「分析」「視覚化」といったキーワードで、これまでの業務内容を昇華させる手段を提供します。電力自由化においても、潜在顧客の発掘、発電所の適地選定、スマートメーターの管理など、様々な形で利用可能なポテンシャルを持ちます(図1)。

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図1 電力自由化におけるGISの活用 出典:ESRIジャパン

電気代や年齢などをエリアで解析、潜在需要の高い顧客の発掘

GISを利用すると、位置情報を搭載した各種データより電気代・世帯数・収入・貯蓄情報などを割り出すことが可能となります。これらの情報を重ね合わせることにより、自社のターゲットと合致するか、あるいはどのエリアにターゲット顧客が多いのか、ということが分かるようになります。

ESRIジャパン プラットフォームソリューショングループ 課長 渡邊基弘氏

ESRIジャパン プラットフォームソリューショングループ 課長 渡邊基弘氏

エリアマーケティングGIS「Esri Business Analyst」の統括責任者である渡邊基弘氏は、「電力自由化により競争が活性化し、マーケティングの重要性は増している。地理情報を視覚的に取り扱うGISの特性から、電力自由化においても効果的なマーケティング手段になり得る。中小企業・大企業問わず、それぞれが持つ特徴を地理情報に落とし込み、電力自由化ビジネスを有利に進めることができる。」と述べます。

GISによる位置情報は、世帯数や電気代・ガス代などのエリア情報を視覚的にまとめ上げ、電力販売やDM・ポスティングまで効率化することができます。加えて、既存ビジネスとのシナジーを生むセット販売の拡大も可能です。

電力は、現代社会においては誰しも利用するサービスであり、あらゆる環境に根付いています。そのため、セット販売の可能性は幅広く、だからこそ既存ビジネスを利用した電力への異業種参入も活発化しています。その既存ビジネスにおいて、例えば契約サービス別・購入製品別・解約別などの顧客情報があれば、それらを分析軸としてGISに反映、顧客動向を分析することもできます(図2)。

GISを活用した営業の効率化

図2 GISを活用した営業の効率化 出典:ESRIジャパン

太陽光・風力発電などの建設では出張コストの削減効果

太陽光や風力発電などの開発において、好条件の土地を見つける適地選定は重要です。その適地選定を実施するうえで、多くの候補地の周辺環境などを出張ベースで現地調査し、絞り込むには時間とコストがかかります。そういったケースでもGISを利用すると、現地調査の時間とコストを削減したり、効率的な適地選定を実施することができるようになります。

ESRIジャパン ソリューション営業グループ 課長 相徳知己氏

ESRIジャパン ソリューション営業グループ 課長 相徳知己氏

ESRIジャパン ソリューション営業グループ 課長の相徳知己氏は、「太陽光発電に関しては、GISの機能の中に日射量解析があり、事前のシミュレーションという形で、メガソーラーの適地選定が可能。風力発電に関しても、NEDOから出ている風況データを利用することができる。それらのデータに、周辺建築物の高さ・地形や、さらには指定公園や学校が近くにないかなど、多様な地域データを重ね合わせることにより、精度の高いシミュレーションを実現できる。」と述べます。

発電所の適地シミュレーションの他に、建設後に対するリスク対策にも、GISは活用できます。例えば、地震・津波・気象などの災害を事前にシミュレーションし、災害時の設備管理・メンテナンス体制整備、従業員の帰宅困難者・出社可能者などの分析をすることもできます(図3)。

GISを活用した電源開発・リスク管理

図3 GISを活用した電源開発・リスク管理 出典:ESRIジャパン

スマートメーターの効率的な管理を支援、巡回点検やメンテナンス業務にも

電力の自由化に伴い、スマートメーターの設置が進んでいます。こういったスマートメーターの管理について、効率を高めるには、設置済み顧客と設置予定顧客を視覚化することが効果的です。そのため、10電力事業者などの機器設置を推進する団体にとって、スマートメーター設置の現状と将来推移を視覚的に把握することは有用です。加えて、各エリアの電波強度の視覚化や巡回点検・不具合対応時などメンテナンス業務にも活用することができます(図4)。

ESRIジャパン ソリューション営業グループ 山田裕介氏

ESRIジャパン ソリューション営業グループ 山田裕介氏

ESRIジャパン ソリューション営業グループの山田裕介氏は、「GISとスマートメーターの連携は、現状では機器を設置する10電力事業者向けだ。ただし、今後はスマートメーターのデータを活用したサービスが生まれる可能性があり、そこにGISを組み込む余地がある。電力自由化は始まったばかりで、まだまだ実績はないが、GISとスマートメーターの連携も増えていくと考えている」と述べます。

電気利用は普段の生活に根付いており、そういった生活を可視化するスマートメーターのデータは、今後あらゆる場面で活用できると考えられます。スマートメーターのデータをGISの地図情報に組み込ませることにより、新しいサービスが生まれていくことが期待されます。

GISを活用したスマートメーターの管理・設備調査

図4 GISを活用したスマートメーターの管理・調査 出典:ESRIジャパン

既存のビジネスでも利用可能、トレーニングも最短1日

GISの特徴として、非常に幅広い業種・業態で活用できる点が挙げられます。そのため、一度GISを利用開始すれば、電力だけではなく、既存のビジネスでも活かすことができます。例えば、電力販売を始めた不動産企業が一度GISを導入すれば、電力と不動産の両方で、GISによる分析を得ることができます。企業の規模も、中小企業から大企業まで幅広い利用実績が世界中にあります。また、営業だけではなく経営層やマーケターなど、あらゆる層で活用の機会があります(図5)。

2017年4月からはガス自由化も開始する予定ですが、そこでもGISは利用できます。電力事業で蓄積したGISのノウハウを、ガス自由化の場面でも運用することが可能です。

GISを利用するためのトレーニングも、最短1日で完了するため、育成のための人件費を最小限に抑えられます。GISは視覚的に情報を処理するため、直感的に操作することが可能だからです。

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一般社団法人エネルギー情報センター

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企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
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