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熱を電気に変換、熱電変換デバイスで従来比10倍以上の効率を実現

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熱を電気に変換、熱電変換デバイスで従来比10倍以上の効率を実現の写真

4月25日、日本電気・NECトーキン・東北大学は共同で、新しい熱電変換技術であるスピンゼーベック効果を用いた熱電変換デバイスにおいて、従来比10倍以上の変換効率向上を実現したと発表しました。安価な素材も開発し、コストも抑えられる技術となっています。

排熱を電気に変換できる熱電変換技術、変換効率を10倍に

熱電変換技術は、温度勾配を有する材料の両端や温度差のある異種材料間に起電力が生じる現象を利用して、これを回路の一部に用いることで電気エネルギーを取り出す技術です。無駄に捨てられている廃熱を再び電力に変換して利用できる技術として、省エネや温室効果ガス排出削減に向けた活用が期待されています。

熱電変換技術の一つとして、スピンゼーベック熱電変換デバイスを利用した方法があります。スピンゼーベック熱電変換デバイスは製作コストが安く、汎用性、耐久性が高いなどの利点がありますが、変換効率が劣ることが課題でした。

今回、日本電気・NECトーキン・東北大学の3者は、新しく開発した材料と素子構造を適用することで、スピンゼーベック熱電変換デバイスの変換効率を10倍以上にし、また高温の熱処理が不要な製造プロセスにより、樹脂等のフレキシブル素材を使ったデバイスが実現しました(図1)。

また、今回開発したコバルト合金により、スピンゼーベック熱電変換デバイスの変換効率は、開発初期の素子と比較して約100万倍の改善を遂げ、発電素子としての実用化に向けて大きく前進しました。熱の流れを測るセンサーとして実用的な感度を達成する目処もついています。

今後、3者は、熱を大量に排出するプラントやデータセンターなどの建物、自動車などの廃熱から発電を行う技術の実用化に向けて、さらなる研究開発を進めていきます。

コバルト合金で出力が大幅上昇する概要

図1 コバルト合金で出力が大幅上昇する概要 出典:東北大学

新技術の特徴

高価な白金の代わりに安価なコバルト合金を開発、さらに熱伝変換効率を大きく向上

スピンゼーベック熱電変換デバイスは、電力を取り出すための電極材料として、従来高価な白金が用いられていました。しかし今回は、白金を代替する新しい合金材料であるコバルト合金を開発し、大幅なコスト低減に成功しました。

さらに、このコバルト合金に磁性の性質を与えることで表れる「異常ネルンスト効果」と呼ばれる熱電効果を「スピンゼーベック効果」と併用して、白金を利用した素子の10倍以上に熱電変換効率を向上させています。

従来の700℃と比較し約90℃と低い温度で膜を作成できる手法を採択

従来の700℃と比較すると、約90℃と約13%の温度でスピンゼーベック熱電変換デバイス用に緻密なフェライトの膜を作製できる成膜手法を採用しています。

熱処理温度の低下により、素子をプラスチックフィルム等の表面に作製することが可能になっています。同様に、様々な形状に加工して活用できるフレキシブル素子が実現できます。様々な場所、環境において排熱により電力を取り出せることが期待できます。

フレキシブル熱電素子の実証

出典:東北大学

産業部門で年間1兆kWhの排熱エネルギー

日本の産業部門・民生部門における最終エネルギー消費では、それぞれ年間1兆kWhにものぼる熱エネルギーが排熱として損失していると推定されています。電気事業連合会の発表した資料によると、2015年度の発電電力量は約8600億kWhだったため、排熱を全て電力に変換できれば、日本全体の電力需要をまなかえる計算となります。

ただし、これら膨大な熱損失は、大部分が未利用のまま廃棄されています。太陽光のない宇宙用電源、僻地用の無保守電源として実績がありますが、その他は民生用、運輸用、産業用ともに開発・試作または基礎研究段階のものが多く、実用化されているものは極めて少ないのが現状です(表1)。

熱源の種類 熱電発電システムの例
崩壊熱など ●惑星間探査機用電源(RTG など)
燃焼熱 ●無線中継基地電源
●パイプライン腐食防止用電源
△被災地緊急電源
●軍用可搬型電源
●モスキートマグネット(LP ガス利用)
●ミニチュア発電器(ろうそくラジオ)
*モバイル機器用マイクロジェネレータ
燃焼排熱 △大型トラックディーゼルエンジン排ガス発電
△大型高速バスディーゼルエンジン排ガス発電
△コージェネレーションディーゼルエンジン排ガス発電
△小型廃棄物焼却炉煙道発電
●室内空気循環装置(煙突利用)
機器排熱 △工業炉(抵抗加熱式など)排熱発電
△変圧器熱回収発電
△コードレスファンヒータ
△風呂釜温度制御装置
体温 ●熱電腕時計
△心臓ペースメーカー用電源
その他 ●赤外線センサ
△水素センサ

表1 熱電発電システムの実用化の現状 (●製品・実用化、△開発・試作、*基礎研究) 出典:特許庁

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