太陽光発電システム搭載住宅のゼロエネルギー邸が59%、蓄電池で自給率倍増
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2016年03月09日
一般社団法人エネルギー情報センター
3月9日、積水化学工業が「太陽光発電システム搭載邸のゼロエネルギー達成度及び蓄電池搭載邸の運転実績調査(2015)」を発表しました。太陽光発電・HEMS搭載住宅のゼロエネルギー達成度と、蓄電池の運転実績等を調査した内容となっております。
太陽光発電システム住宅の約6割がゼロエネルギーを達成
積水化学工業による調査の対象は、2014年1月~12月に入居済みである太陽光発電とHEMSを搭載したセキスイハイム(全国の3078邸)です。HEMSデータを活用し、2015年1月~12月の消費電力量・発電電力量・電力量収支を分析した内容です。
ゼロエネルギー達成度は、「①家電込みゼロエネルギー」「②ZEH相当」「③Nearly ZEH相当」「④非ZEH」の4つの区分で評価されます。評価区分に利用されている「ZEH」とは、「ネット・ゼロ・エネルギー」の略であり、太陽光発電などの利用により、年間の一次エネルギー消費量が正味で「ゼロ」になる住宅を指します。各評価項目の概要については、下記をご参照ください。
①家電込みゼロエネルギー
発電電力量>家電・調理を含む総消費電力量
②ZEH相当
ZEH達成度=発電量/(総消費電力-家電消費電力)が100%以上のものから①を除いたもの
③Nearly ZEH相当
ZEH達成度=発電量/(総消費電力-家電消費電力)が75%~99%のもの
④非ZEH
①②③に該当しないもの
上記の中で、ゼロエネルギー邸と呼べる分類は、「①家電込みゼロエネルギー邸」と「②ZEH相当邸」です。この2つを達成した住宅の割合を見ると、①家電込みゼロエネルギー邸が32%(前年度17%)、②ZEH相当邸が27%(同30%)に達していることが判明、太陽光発電システム搭載邸の約6割がゼロエネルギーを達成する結果となりました(図1)。
図1 各評価区分の割合 出典:積水化学工業
図1 各評価区分の割合 出典:積水化学工業
「家電込みゼロエネルギー邸」の年間光熱費は約18万円の黒字
ゼロエネルギー邸の光熱費を見てみると、「家電込みゼロエネルギー」については、中央値が太陽光容量で7.92kW、売電で年間収入27万7537円、買電で支出9万9008円となり、光熱費の収支はプラス17万8530円となりました。「ZEH相当以上邸」については、中央値が太陽光容量で5.94kW、売電で年間収入19万8431円、買電で支出8万9061円となり、光熱費の収支はプラス8万9061円となります。
全体的な傾向としては、太陽光発電の容量が増加するほど「ZEH」に近くなり、結果として売電収入が増し、買電金額が下がるといった結果となっています(図2)。
図2 電力量収支、料金収入 出典:積水化学工業
蓄電池活用で、電力自給率が42%と倍増
積水化学工業が搭載している蓄電池はグリーンモード(自立優先モード)、経済モード(経済優先モード)、非常運転モード(停電時モード)の3つのモードで運転ができます。蓄電池を搭載した住宅を対象とした検証では、グリーンモードの利用では電力自給率が中央値で19%となっています。太陽光発電の電力を直接利用する形では23%となるので、蓄電池利用の19%を加えると42%となり、自給率がほぼ倍増する結果となります(図3)。
図3 消費電力量・発電量の内訳 出典:積水化学工業
固定価格買取制度の期間終了に向け、蓄電池を推進
現状では太陽光発電の電力ほぼ固定価格買取制度(FIT)利用ですが、今後はFIT単価の低下により、電力の活用方法が多様になっていくと想定されます。特に、現状でFITの適用を受けている太陽光発電の期限が切れた際には、FITとは別の大きな市場が生まれる可能性もあり、積水化学工業では蓄電池の搭載を推進していく方向です。
例えば、3月9日に積水化学工業は「安全・長寿命・高容量」を同時に実現した大容量フィルム型リチウムイオン電池(図4)の開発を完了したと発表しており、今後の蓄電池普及が期待されます(図4)。「大容量フィルム型リチウムイオン電池」では、住宅メーカーへの採用に向けて2016年度の出荷を、車載分野では2020年以降の参入を目指しています。
図4 大容量フィルム型リチウムイオン電池の写真 出典:積水化学工業
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一般社団法人エネルギー情報センター
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