常時バックアップの料金・単価と制度設計
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2016年01月06日
一般社団法人エネルギー情報センター

常時バックアップについて、制度設計の基礎や料金単価の一覧といった内容についてまとめてあります。今後は卸市場への移行に向け段階的に廃止される予定ですが、当面はベース電源として有効な電力調達方法となります。
常時バックアップとは
常時バックアップとは、新電力会社が一般電気事業者から継続的に卸売での電力供給を受ける形態の事です。新電力会社が需要家に対して電力を販売したいとなった際、そもそものベース供給量が足りないとき一般電気事業者から一定量の電力を融通してもらえます。ベース用電源、ピーク対応用電源として新電力各社の電源調達状況にあわせ、概ね自社保有電源の補完として利用されます。
この常時バックアップですが、電気事業法などによる規定・担保はありません。つまり、一般電気事業者と新電力会社の私契約に基づくものとなります。しかし、国による規制が全くないわけではなく、例えば適正取引ガイドラインによると、正当な理由なくては常時バックアップの供給を拒否することはできず、加えて小売料金に比して高い料金を設定することは独占禁止法上違法となります。電力の調達が難しい新電力企業が多い中、安易に常時バックアップの供給を拒むという選択は新規参入や事業継続性を阻害し、結果的に電力を潤沢に持つ企業の独占形成につながるからです。
常時バックアップの料金・単価について
常時バックアップの料金は私契約に基づくため、約款などに定められておらず、一般電気事業者は単価に柔軟性を与えることが立てつけ上は可能です。一方で、一般電気事業者によって概ねの料金は決まっており、電力需要の多い地域ほど単価が高くなる傾向にあります。
料金の基本方針
従来のバックアップ料金は、基本料金が高く設定されており、一般電気事業者は基本料金にて料金の回収を実現していました。しかし、ベース電源代替としての活用に資するようとの観点から、電力システム改革専門委員会における常時バックアップ料金の見直しの方向性を踏まえ、各社とも基本料金を引上げるとともに、従量料金を引下げる形で、原価に織り込んでいます。形としては、高負荷率で常時バックアップを利用する企業に対してインセンティブが与えられる形態へと移行してきています。
常時バックアップの電力賦存量
高圧に関しては、新電力が利用している電力量の3割程度が常時バックアップが確保されるような配慮を一般電気事業者が行うよう求められています。一方で、低圧部門については不等率が高圧の3倍程度であることから、高圧の3割から3を除した1割程度が適当であるといった形になる見込みです。
常時バックアップの今後
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