法人向け 家庭向け

脱炭素社会実現に向けたGXリーグとはPart1~日本企業がどのようにリーダーシップを発揮できるのか~

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

脱炭素社会実現に向けたGXリーグとはPart1~日本企業がどのようにリーダーシップを発揮できるのか~の写真

6月10日にGXリーグのキックオフイベントが都内で開催されました。今回は、2050年のカーボンニュートラルと新たな市場創造を目指すGXリーグについて2回にわたってご紹介をしてきます。Part1ではGXリーグのコンセプトや目指すゴールについてご説明します。

GXリーグとは

2022年2月、脱炭素社会の実現に向けて「GXリーグ」が発足しました。経済産業省が枠組みをつくり、トヨタ、三菱UFJ、東京電力など日本企業440社が参加しています。

GXとは、「グリーントランスフォーメーション」の略です。2050年カーボンニュートラルや、2030年の温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組を経済成長の機会と捉えること。そして、排出削減と産業競争力向上の実現に向けて、経済社会システム全体を変革しようという動きのことです。

GXリーグのコンセプトは「リーダーシップ」です。

日本企業はこれまで省エネ等の高い技術力において温室効果ガス排出削減を推進してきました。しかし、環境省によると、「ここのアピールがなかなかしきれておらず、脱炭素に対する取り組みが正当に評価されていないのではないか」と指摘。たしかに、TCFDに対して世界一となる878の企業・機関が賛同、RE100ではアメリカ93社に次ぐ66社が参加、気候危機宣言をした⽇本の地方自治体は122にもなる状況です。しかし、地理的な要因によるエネルギーの不安定さから化石燃料への依存度が高いことも現実です。

また、これまでこうした社会システムの変革の枠組みに関して、「政府主導での取組みが多かった」としています。いち早くグリーンリカバリーを掲げた欧州では、民間主導でルール―メイキングも多くされており、日本企業がこうした流れに取り残されないかという懸念があります。

そこで、今回のGXリーグは、脱炭素において日本がリーダーシップを発揮するきっかけとなるため、民間主導でルール作りや投資を促進する評価基準を議論し、国際競争力を強めようという趣旨となっています。

概要

GXリーグで行われる主な取り組みは以下の3点です。

1.2050年カーボンニュートラルのサステイナブルな未来像を議論・創造する

同様の取組を行う企業群を官・学と共に協働する場と位置付けて、ワーキンググループなどを構成し、生活者視点のサステイナブルな経済社会システムのあり方、2050CN時代の企業の役割等について議論をするということです。

2.カーボンニュートラル時代の市場創造やルールメイキングを議論する

例えば、部品や素材のCO2ゼロ表示基準、CO2商品の認証制度等のことを指します。

3.カーボン・クレジット市場を通じた自主的なCO2排出量取引を行う

※こちらはPart2にて詳しくご紹介します。

出典:環境省

概要

業種、規模を問わず賛同を募った結果、4月に440社の参画企業が公表されました。(ご参考: https://gx-league.go.jp/member/ )傾向として製造業や金融業の社数は多いですが、これだけ様々な業界、業種の企業が参加しているという点で、横の連携による様々なイノベーションが起こることが期待されます。

  1. 製造業
  2. サービス業
  3. 情報通信業
  4. 金融業、保険業
  5. 卸売業、小売業
  6. 電気・ガス・熱供給・水道業
  7. 学術研究、専門・技術サービス業
  8. 建設業
  9. 運輸業、郵便業
  10. 不動産業、物品賃貸業
  11. 複合サービス事業
  12. 生活関連サービス業、娯楽業
  13. 鉱業、採石業、砂利採取業
  14. 教育、学習支援業
  15. 農業、林業
  16. 漁業
  17. 宿泊業、飲食サービス業

これら参画企業の二酸化炭素(CO2)排出量は、約11億4600万トンで、全体の28%。電力会社が家庭へ供給している電力を加味すると日本全体の4割以上を占めているといいます。

参画した企業は以下3点に関して対応することとなっています。

①自らのCO2排出削減

2030年削減目標を設定し挑戦すること、目標未達時は排出量取引の実施状況を公表すること。

②サプライチェーンでの排出削減

定量的な目標設定や、取引企業への支援やカーボンフットプリント表示など「環境価値」の提供や意識醸成を行うこと。

③グリーン市場の創造

自らのグリーン製品の調達・購入すること、多様な主体と協業を新製品・サービスを排出すること。

スケジュール

GXリーグでは2022年を準備期間として、2023年4月以降の本格始動を目指しています。

6月7日には「骨太の方針」の閣議決定内容や「新しい資本主義」の実行計画資料の中でもGXの取り組み強化について明記をされました。夏頃には「GX実行会議」が新設されることで、より政策的な議論が深まりそうです。GXリーグでが、9月頃からCO2排出量を売買する市場を作り、実証的な取引を始める予定ということです。

出典:環境省

まとめ

キックオフイベントでは、GXリーグに賛同するパナソニックホールディングス、三菱ケミカル、ユーグレナの3社が、「GXリーグで実現したいこと」と題してプレゼンテーションを行いました。民間主導で行っていくのだという意気込みがキックオフからも感じられます。

印象的なのは、ユーグレナ社の出雲社長の発言です。「これからの新しい資本主義の実現の主たるドライバーは、大学の技術とそれを活用したアントレプレナーです。このアントレプレナーはミレニアル世代とZ世代が中心となりますが、その大きな特長は、『サステナブルネイティブ』『デジタルネイティブ』であるということです。」と述べています。

このことから、GXはDX(デジタルトランスフォーメーション)なくして実現しないこと、2つのかけ合わせであること、その渦の中心にはミレニアル世代・Z世代がいることを改めて感じました。つまり、そうした世代に企業内の脱炭素推進を担ってもらえるよう権限を与えたり、革新的な技術を持ったスタートアップに金融機関が積極的な支援をするといったことが必要ではないでしょうか。そうした仕掛けが結果として、日本全体のリーダーシップを発揮することにつながるのではないかと考えます。

また、GXリーグの趣旨説明では、政府や企業サイドの取り組みだけでなく、生活者にどう受け入れられ、どう行動変容を促せるのかという点が大事だということが繰り返し伝えられています。生活者というのは日本だけでなく、世界中の人を指しているのだという点がポイントです。Made in Japanのグリーンな商品・サービスが世界に認められ、愛されるために、未来志向で議論が活性化することが期待されます。それが結果としてグリーン市場を創るということにつながるのだと思います。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

統計情報

統計情報(Excel含)

エネルギー関連の統計情報をExcel等にてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年01月19日

新電力ネット運営事務局

2025年の電力先物市場:年間取引量4,583GWhで過去最高更新、年度物導入と中部エリア上場を控えた市場の変化

価格変動リスクへの対応を意識した取引行動が、実務レベルで具体化し始めた一年となりました。 制度面では年度物取引の導入、取引環境では流動性改善やコスト低減策が進み、企業側では中長期のヘッジ設計を見直す動きが重なりました。こうした複数の要因が同時に作用した結果、東京商品取引所(TOCOM)における電力先物の年間取引量は約4,583GWhと、前年比約5倍に拡大し、過去最高を更新しています。 中でも、東エリア・ベースロード電力先物が前年比約5倍、西エリア・ベースロード電力先物が前年比約3倍と伸長し、主要商品の取引が全体を押し上げた形となりました。加えて、2025年5月に取引を開始した年度物取引も、市場拡大を牽引する要素となっています。 本稿では、2025年通年の動向を中心に、市場拡大の背景と今後の論点を整理します。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年01月19日

新電力ネット運営事務局

電力小売全面自由化から10年 数字が語る制度と市場の現実【第2回】10年で広がった、「経営の期待」と「現場の実務」の距離

「自由化から10年」という節目を迎え、制度の成果や市場の成熟度をめぐる議論が活発化しています。 現場の会話をたどると、同じキーワードでも立場により意味がずれます。 たとえば、経営の「コスト削減」は現場では「業務負荷の増加」、制度側の「安定供給」は供給現場では「柔軟性の制約」として現れます。 第2回では、こうした変化のなかで生じている立場ごとの認識のずれを整理し、経営・現場・供給事業者という三つの視点から、なぜ議論が噛み合わないのかを構造的に考察します。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年12月31日

新電力ネット運営事務局

電力小売全面自由化から10年、数字が語る制度と市場の現実【第1回】数字の区切りに惑わされず、いまの制度と市場を見直す

「自由化から10年」という言葉が、各所で頻繁に取り上げられるようになりました。 しかし、制度の導入や市場設計の見直しが今も続いており、電力を取り巻く環境は「完成」に近づくどころか、なお変化の途上にあります。 本稿では、数字がもたらす完了感と、制度・市場の実態との間にあるずれを整理し、“節目”という言葉の意味をあらためて考えます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年12月27日

新電力ネット運営事務局

政府も注目する次世代エネルギー  核融合の仕組みと可能性 【第5回】社会実装と中長期シナリオ 2030年代のロードマップと日本の戦略

これまで4回にわたり、核融合という次世代エネルギーの可能性を、研究・技術・制度の観点からたどってきました。長らく“夢のエネルギー”と呼ばれてきた核融合は、いま確実に社会の現実へと歩みを進めています。 最終回となる今回は、社会実装に向けたロードマップと、日本が描くべき中長期戦略を考えます。 核融合が“希望の象徴”で終わらず、私たちの暮らしに息づくエネルギーとなるために、次の時代に向けた道筋を描きます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年12月17日

新電力ネット運営事務局

政府も注目する次世代エネルギー  核融合の仕組みと可能性 【第4回】制度設計・安全規制・地域産業化 社会実装に向けた最新動向

第1回では核融合の基本、 第2回では国内研究基盤、 第3回では民間企業による産業化の動きを整理してきました。 こうした技術・ビジネス面の進展を踏まえ、2025年後半には「社会実装」に向けた制度づくりや安全規制の検討が政府内や国際機関で動き始めています。国際基準への日本の参画や、地域での研究・産業活動の広がりなど、核融合を社会に組み込むための枠組み形成が進みつつあります。 本稿では、制度・安全・産業の三つの観点から、この転換点の現在地を整理します。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス