FIT適用の太陽光パネルに蓄電池を増設するビジネス、今後は可能となる見込み
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2018年10月18日
一般社団法人エネルギー情報センター
10月15日、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会が開催されました。その中で、既認定案件による国民負担 の抑制に向けた対応について議論が行われました。
一定の条件の下、事後的な蓄電池の併設が認められる見込み
近年、事業用太陽光発電設備の設置に当たり、パワコンの定格出力よりも高い合計出力の太陽光パネルを設置する「過積載」が常態化しています。
従来、FIT認定の取得後に、過積載によって太陽光パネルを増設した場合、調達価格を維持したまま発電量を増加させることが可能となっていました。しかし、これでは事後的に価格が下がったパネルを増設しながら、高い買取価格を維持できるため、国民負担の増大につながります。
こうした課題に対応するため、FIT法施行規則・告示の改正が、平成29年8月31日付けで公布・施行されました。これは、10kW以上2,000kW未満の太陽光発電設備について、太陽電池の合計出力を「①3%以上もしくは3kW 以上増加させる場合」、又は「②20%以上減少させる場合」に、最新の調達価格に変更するものです(図1)。
過積載には系統安定化への寄与など、メリットもあるので、全てが禁止にはなっていません。新規の認定申請時に過積載状態で申請をしても、認定を取得することができます。ただし、認定取得後に「事後的に」パネルを増設する場合は、最新の調達価格に変更する必要があります(上記の通り、3%以上もしくは3kW 以上増加させる場合)。
近年、蓄電池の価格が低減してきているため、「過積載の太陽光発電設備」に事後的に蓄電池を併設して、FITによる売電収入を得るモデルの可能性が浮上しています。これは、日中にこれまでパワコンによりカットされていた電気を充電し、夕方以降に放電・逆潮流してFITによる売電収入を得る仕組みとなります(図2)。
つまり、過去の高い調達価格が適用されている太陽光発電設備に事後的に蓄電池を併設することよって、これまで捨てていた再生可能エネルギー電気をその高い調達価格で売電しようとするものです。ただし、蓄電池を事後的に併設することは、「事後的な過積載」と同様の考え方に基づき、現行制度上は認められていません。
一方で、こうした蓄電池の併設は、これまで捨てていた再生可能エネルギー電気を有効に活用することに繋がり、再生可能エネルギーの最大限の導入に資するものです。また、「ダックカーブ」の解消にも資することから、系統運用上も望ましいと言えます。このため、FIT制度においても、一定の条件の下で事後的な蓄電池の併設を認めることが今後、国の委員会によって検討される見込みです。
区分計量により調達価格を維持
過積載の太陽光発電設備において、蓄電池を事後的に設置し、過去に認定を受けた時点の高価な買取価格を維持したい場合は、現状では区分計量が必要との方向性で議論が進められています。
蓄電池に一度充電した電気を逆潮流させる際に、その電気を認定事業者にて区分して計量し、充電した電気分をFIT外で売電することを条件に、FIT制度においても事後的な蓄電池の併設が認められる見込みです。このケースは、FIT認定取得後に、過積載太陽光発電設備のパワコンより太陽光パネル側に蓄電池を新増設する場合となります(図3)。なお、こうした放電・逆潮流する場合は、現状においては電力の買取者を同一とする必要があります。
一方、そのような区分計量ができない場合には、設備全体について、その時点の最新の調達価格に変更することを条件に、事後的な蓄電池の併設が認められる見込みです。
なお、これらの運用については、蓄電池の設置・活用を促す観点から、必要な手続を経て、制度運用上の準備が整い次第速やかに施行するべきではないかと整理されています。
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執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
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