LED普及の立役者、エネルギー使用合理化の予算が515億円に
政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
2016年02月18日
一般社団法人エネルギー情報センター
省エネの推進に貢献している「エネルギー使用合理化」補助金について、28年度の予算額が増加しました。このコラムでは、平成27年度の内容を基に、補助金の申請に必要な要件などを見ていきます。
エネルギー使用合理化の予算増額
LEDの普及に貢献したエネルギー使用合理化の予算が平成28年度は515億円と、27年度の410億円から100億円以上増額しました。エネルギー使用合理化は、設備の入れ替えや、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入等(図1)など、省エネ対策に必要な費用の2分の1以内で補助する制度です。LED等で省エネ対策を実施する企業にとっては、上手に活用すれば50%もの設置コスト削減に繋がります。
平成27年度は、1332件の新規採択事例がありました(年度またぎ事業を除く)。この中の多くがLEDを活用しており、LEDの普及にも一定の効果があったと考えられます。
補足情報:平成28年度の省エネ補助金一覧
図1:エネルギー使用合理化の事業イメージ 出典:環境共創イニシアチブ
補助金申請に必要な点
前回(平成27年度)の公募要領を元に、補助金の採択に必要な点を見ていきます。エネルギー使用合理化の対象となる事業は、①省エネ・システム導入支援、②電気需要平準化対策設備・システム導入支援、③エネマネ事業者活用の3タイプに区分できます(図2)。以下にて、それぞれの事業タイプで必要な要件を概観します。
図2:3つの事業タイプ 出典:環境共創イニシアチブ
①省エネ設備・システム導入支援の場合
設備・システムの置き換え、又は製造プロセスの改善等による省エネルギー事業が対象となります。
補助対象の要件
省エネルギー率が1%以上、又は省エネルギー量が500kl(原油換算)以上、又は補助対象経費1千万円あたりの耐用年数を考慮した省エネルギー量が200kl(原油換算)以上の省エネルギー事業となります。
②電気需要平準化対策設備・システム導入支援の場合
設備・システムの置き換え、又は製造プロセスの改修、又は電気需要平準化時間帯の電力使用量を削減する事業が対象となります。
補助対象事業
設備・システムの置き換え、又は製造プロセスの改修、又はピーク対策効果率が5%以上、又はピーク対策効果量が1900千kWh以上、又は補助対象経費1千万円あたりの耐用年数を考慮したピーク対策効果量が800千kWh以上であり、 かつ「増エネとならないこと」が確保できる事業が対象となります。
③エネマネ事業者を活用する場合
エネマネ事業者と連携し、先述の事業タイプ「①省エネ設備・システム導入支援」、もしくは「②電気需要平準化対策設備・システム導入支援」の事業と共に省エネルギーを実施する事業が対象となります。
補助対象事業
- SIIが指定する機能要件を満たすものとして事前に登録されたEMSを設置
- エネマネ事業者との間で、3年以上のエネルギー管理支援サービス契約を締結
- 「省エネ設備・システム導入支援」の事業に対して活用する場合、「省エネ設備・システム導入支援」の要件に加え、EMSを用いた省エネルギー効果について、省エネルギー率が1%以上、又は省エネルギー量が500kl(原油換算)以上であること。同時に、事業全体の省エネルギー率が10%以上、又は省エネルギー量が1200kl(原油換算)以上であること。
- 「電気需要平準化対策設備・システム導入支援」の事業に対して活用する場合、「電気需要平準化対策設備・システム導入支援」の要件に加え、EMSを用いた設備の制御によるピーク対策効果について、ピーク対策効果率が5%以上、又はピーク対策効果量が1900千kWh以上であること。同時に、事業全体のピーク対策効果率が50%以上、又はピーク対策効果量が4500千kWh以上であること。
3つの事業タイプに必要な要件
出典:環境共創イニシアチブ
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
---|---|
所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
電話番号 | 03-6411-0859 |
会社HP | http://eic-jp.org/ |
サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年12月29日
持続可能な未来に向けて物流業界の脱炭素化は急務です。その中でも大手物流企業のGX事例は注目すべきアプローチを提供しています。今回は、脱炭素化の必要性と大手物流企業が果敢に進めるGX事例に焦点を当て、カーボンニュートラル実現へのヒントを紹介します。今回は中堅・中小企業のGX事例です。
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年11月02日
2023年6月にISSBはスコープ3の開示義務化を確定。これを受けて、日本や海外ではどのような対応を取っていくのか注目されています。最新の動向についてまとめました。
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年09月12日
電力業界の最新動向について/新電力の撤退等はピークアウト、3割が値上げへ
厳しい状況が続いた電力業界ですが、2023年に入り、託送料金引き上げと規制料金改定により、大手電力7社が値上げを実施。政府は電気・ガス価格の急激な上昇を軽減するための措置を実施しています。値上げを実施する新電力企業も3割ほどあり、契約停止、撤退・倒産等もピークアウトしています。
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年08月31日
“脱炭素先行地域”に62地域が選定。地域のエネルギーマネジメント推進や課題解決のキーワードになるか
2030年度目標のCO2排出量2013年度比46%減を実現するために、地方から脱炭素化の動きを加速させています。今回は、事例を交えて脱炭素先行地域の取り組みについて紹介をします。
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年07月11日
水素エネルギーの可能性に目を向け、各国が巨額投資!?海外の最新動向について
6年ぶりの改訂が注目を集めた「水素基本戦略」。同資料の中でも、各国の水素エネルギーに関する動向がまとめられていました。世界で開発競争が激化してきた水素エネルギーについて最新の海外動向をご紹介します。