トヨタとNTTがコネクティッドカーに関する協業、AI活用や5G回線による新しい付加価値

2017年04月06日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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3月27日、トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)は、コネクティッドカー分野での協業を行うことに合意しました。この協業は、トヨタが保有する「自動車に関する技術」と、NTTグループ各社が保有する「ICTに関する技術」を組み合わせて、持続可能なスマートモビリティ社会の実現を目指すものです。(一般社団法人エネルギー情報センター 新電力ネット運営事務局)

トヨタとNTTがコネクティッドカーを推進

電子化技術は、自動車に求められる機能が高度化する中で、近年その重要性が急速に高まってきています。1990年代には、安全技術であるABSやESC、そしてカーナビゲーションシステムも導入されました。2000年代には電子制御自動変速機や衝突予知被害軽減システム等が実用されています。このように、電子化技術は自動車の 「安全性」、「快適性」、「環境対策」 、「省エネルギー化」、「情報化」といった様々な分野に関わっているといえます。

中でも、情報通信技術(ICT)との融合によって、ますます自動車のネットワーク化が進展しています。インターネット通信が可能な情報通信システムを搭載し、ネットワークと常時接続されているネットワーク型自動車は「コネクティッドカー」と呼ばれ、これまでにない新たなサービスが提供されることが期待される分野です。

世界のコネクティッドカーの市場規模(台数)を見てみますと、 2012年の約760万台から、2025年には約8500万台になるとの予測もあります。そのうち、日本は2013年の約9万台から、2025年には約140倍である1275万台に拡大すると予測されています(図1)。

コネクティッドカーの市場規模

図1 コネクティッドカーの市場規模 出典:経済産業省

そうした中、3月19日に世耕経済産業大臣は、ドイツ連邦共和国(ハノーバー)でツィプリス経済エネルギー大臣と会談し、第四次産業革命に関する日独協力の枠組みを定めた「ハノーバー宣言」に署名をしました。この中には、充電インフラ協力に加え、自動運転・コネクティッドカーについて主な協力事項として挙げられています。

グローバルな規模でコネクティッドカーの注目が集まる中、3月27日、トヨタ自動車とNTTグループは「コネクティッドカー」向けICT基盤の研究開発に関する協業に合意しました。この協業により、トヨタ自動車とNTTグループは、各社が持つ技術やノウハウを共有し(表1)、クルマから得られるビッグデータを活用することによって、将来の持続可能なスマートモビリティ社会の実現をグローバルな視点を持ってめざしていきます。なお、実証実験は2018年に実施する予定となっています。

各社の役割
トヨタ自動車 自動車のユースケースにおける知見と、車両側のデータの要件に基づき、モビリティサービスの価値創造を目指したコネクティッドカー向けのICT基盤の研究開発。
NTTデータ 社会インフラ構築実績と設計力、技術力と戦略的に強化中のグローバル対応力、また、30年に亘る大規模データの高度数理分析・解析の研究と経験を活かし、データ収集・蓄積・分析基盤に関する技術を創出。
NTTコミュニケーションズ グローバルに展開するICTサービス(Tier1 IPバックボーン、VPNやデータセンター)を活用し、IoTに最適な次世代グローバルインフラを創出。
NTTドコモ 次世代の移動通信システム「5G」の標準化牽引ならびに高度な研究・技術開発の実績を活用し、5Gの自動車向けの標準化を推進すると共に、5G移動通信システムの実証実験を先導。
NTT エッジコンピューティング技術の研究開発、国際標準化活動の推進。NTTグループのAI技術の知見を活かした運転アドバイスや音声インタラクション技術等の研究開発。

表1 各社の役割 出典:NTT資料より作成

AIの活用や高速な5G回線による新しい付加価値

今回の協業における対象分野は4つに大別されております。その内の1つである通信技術については、例えば5Gなどの次世代技術により通信を高速化することで、車同士や道路に設置されるセンサーと瞬時にデータをやり取り可能となり、自動運転システムの向上が期待できます。下記にて、それぞれの対象分野における概要をまとめます。

① データ収集・蓄積・分析基盤

多数のクルマから大量に受信する車両情報等の収集・蓄積や大容量データの配信、収集した大量データのリアルタイムな分析処理を実現する基盤を構築・運用するための技術の創出。

② IoTネットワーク・データセンター

クルマのユースケースを想定した大容量データを確実かつ安全に集配信するための、グローバルインフラのネットワークトポロジーやデータセンターの最適配置などの検討。

③ 次世代通信技術(5G、エッジコンピューティング)

クルマのユースケースにおける最適な移動通信システムのあり方の検討や接続検証を通じた、5Gの自動車向け標準化の推進、エッジコンピューティング技術の適用性の検証。

④ エージェント

AI(人工知能)を活用した車内外の環境理解による運転アドバイスや音声インタラクション技術等の組み合わせによる、ドライバーに快適なサービスを提供するための技術の開発。

ぶつからない車のコンセプトを実動デモンストレーションとして具現化

トヨタ自動車とNTTは、これまでもIoTインフラ等の提供に向け協力しており、例えば2016年2月に開催された「NTT R&Dフォーラム2016」では「ぶつからない車」が紹介されました。この「ぶつからない車」は、ネットワークにおいて、ユーザの近く(エッジ)に分析・学習機能を配備することで、従来のクラウドでは難しかったリアルタイムな制御ができるようになります(図2)。

AI技術の適用による高度な運転支援が可能となり、様々な状況に応じた衝突回避走行を学習することで、「ぶつからない車」が実現するという内容です。

エッジコンピューティングとAI技術による高度運転支援

図2 エッジコンピューティングとAI技術による高度運転支援 出典:日本電信電話

トヨタ、2020年までに日米でほぼすべての乗用車にDCMを標準搭載の予定

トヨタ自動車はこれまで、コネクティッドカーに向けた取り組みとして、2002年には車載通信機DCM(車載通信機(データ・コミュニケーション・モジュール)を実用化しました。その後、2005年にレクサスにDCMを標準搭載、そして2011年にはトヨタスマートセンターを構築しています(図3)。そして、本格的な「コネクティッド自動車」の時代を迎えるにあたり、2016年4月にはConnectedカンパニーを設立しました。

今後としては、2020年までに日米ほぼすべての乗用車にDCMを標準搭載する予定としています。また、その他主要市場にも順次拡大するとしており、今回の協業によるノウハウや知見が寄与することが期待されます。

Connectedサービスの概要

図3 Connectedサービスの概要 出典:トヨタ自動車

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