太陽光発電余剰電力買取制度

概要

2009年11月1日から2012年7月1日まで実施されていた制度で、家庭や発電施設(ソーラーパネル)がある各事業所が太陽光発電により生み出した電力のうち余剰になったものを一定の価格で10年間、電気事業者が買い取るということを国が約束する制度です。

2012年7月1日より「再生可能エネルギー固定価格買取制度(改正FIT法)」に名前を変え、太陽光発電以外の再生可能エネルギーにも対象を広げて余剰電力買取から全量買取へと制度を変えています。

背景

日本で最初の住宅用太陽光発電システムに対する公的補助金は1994年から1996年まで実施されていた「住宅用太陽光発電システムモニター事業」です、翌年の1997年には「住宅用太陽光発電導入基盤整備事業」が実施、2002年には「住宅用太陽光発電導入促進事業」へと制度が移行し、同年に施行されたRPS法や、各自治体による住宅用太陽光発電システムに対する助けもあり、日本の太陽光市場は世界で最も大きく成長しました。

しかし、2005年に補助金が打ち切られるとドイツに1位の座を抜かれ、2011年には日本は3位になりました。大きく差をつけていた中国・アメリカ・イタリアも迫ってきており、日本の太陽光市場は低迷しています。

しかし、環境省の「低炭素社会づくり行動計画(2008年)」の発表や再生可能エネルギーによる経済効果の試算、新制度の提案もあり経済産業省は2009年より太陽光発電余剰電力買取制度という形で補助制度を再開しました。これにより太陽光発電事業は再び活性化しています。

申請手順

売買希望者は経済産業省資源エネルギー庁のホームページにより事業計画認定の手続きを確認し、フローチャートに則りエネルギー庁へと申請を出す必要があります。現在の新制度では電子申請と紙申請のいずれかで申請が可能です。

① 電子申請の場合

STEP1

経済産業省資源エネルギー庁のホームページ(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_nintei.html) にて事業計画策定ガイドラインを確認し、所定の申請フォームをダウンロードします。

STEP2

「再生可能エネルギー電子申請」( https://www.fit-portal.go.jp/ )にユーザ情報を登録します。

STEP3

「再生可能エネルギー電子申請」にログインし、操作マニュアルを確認のうえ申請情報を入力し、添付書類をPDF又はZIP形式でアップロードし、申請内容を登録してください。

STEP4

50kW未満の太陽光→登録したユーザ情報のメールアドレスに確認のメールが送られますので、メールの指示に従って「承諾」か「拒否」を行ってください。「承諾」を選択してから審査が開始され3ヶ月程度で認定されます。

50kW以上の太陽光、風力、水力、地熱→ダウンロードした申請書類に必要事項を入力して申請書を出力し、申請書+添付書類+返信用封筒を発電設備の立地場所の都道府県を管轄する経済産業局へ送付してください。送付してから3ヶ月程度で認定されます。

STEP5

50kW未満の太陽光→認定されると登録してあるユーザ情報のメールアドレスに届きます。「再生可能エネルギー電子申請」で認定通知書がダウンロードできるようになります。50kW以上の太陽光、風力、水力、地熱→認定通知書が申請者に送付されます。

② 紙申請の場合

STEP1

経済産業省資源エネルギー庁のホームページにて事業計画策定ガイドラインを確認し、所定の申請フォームをダウンロードします。

STEP2

認定申請様式の記載例を参照しながら申請書に必要事項を記入して各添付書類を用意してください。

STEP3

申請書+添付書類+連絡票+返信用封筒を発電設備の立地場所の都道府県を管轄する経済産業局へ送付してください。

STEP4

認定通知書が申請者に届きます。(特定の再生可能エネルギーは入札区分になるため別の手続きが必要になります。)

効果

1994年のモニター事業から2002年の基盤整備事業まで緩やかに住宅用太陽電池累積出荷量(MW)は増えていますが、2002-2004年の導入促進事業により出荷量は急速に増え1000MW台まで増加しました。

しかし、補助金の制度がない2005-2008年では出荷量が頭打ちになり、ほぼ横ばいになってしまいました。2009年からの導入支援対策補助事業が始まってからはまた活発になり、固定価格買取制度が始まった2012年には大幅に数字を伸ばし4371.2MWになりました。

出典:太陽光発電協会資料より作成

賦課金について

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、発電した電力を電気事業者に買い取っていただく際に発生する費用を電気を使用するみなさんで負担するものです。

これは毎月の電気料金に含まれており、電気の使用量に応じて加算されます。時期によって単価は変動しますがおよそkWhあたり数円程度が課されます。確認方法は毎月の検針票や電気料金の請求書に内訳として記載されています。算定方法は以下の通りです

太陽光発電を設置する事業者等は、住宅用の低圧供給の電力で設置されているもので太陽光発電設備の容量が10kw未満のものは42円/kWh、10kw以上のものは40円/kWhで買取がされていました。(2012)

また、2022年には全ての契約が満了になりますが施行当時よりも電力自由化が進んでいるため期間満了後は小売電気事業者などとの自由契約により新たな価格での売電が可能になります。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス