太陽光ファンドにブロックチェーン技術を採用、「太陽光 J-STO」の資金調達が完了
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2019年08月23日
一般社団法人エネルギー情報センター

LEVIASは8月20日、太陽光ファンドの運営者に対し、セキュリティトークンを活用した資金調達スキームとなる「太陽光J-STO」の開発及び提供を行い、資金調達が完了したと発表しました。
太陽光発電ファンドにブロックチェーン技術を採用
2015年4月、東京証券取引所にインフラファンド市場が創設され、2016年6月には第1号銘柄となるタカラレーベン・インフラ投資法人が上場されるなど、太陽光発電ファンドは運用資産の1つとして徐々に知名度を増しています。
太陽光発電ファンドを資産運用の観点で見た場合には、固定価格買取制度(FIT制度)により長期・安定的な売電収入に裏付けられた安定キャッシュフローが見込まれ、年金資金などの長期安定運用ニーズに合致した投資となります。
一方で、保険である程度補完できるものの、落雷、動物の侵入、落石等による故障リスクや、出力制御リスクなど、特有のリスクを抱える投資対象でもあります。
投資対象としては一長一短あるものの、太陽光発電ファンドは再エネ普及を金融面から後押しできる商品と言えます。少額からでも参加可能であり、パリ協定など国際的なGHG低減の要求に資するものと考えられます。
こうした中、LEVIASは、太陽光ファンドの運営者に対し、セキュリティトークンを活用した資金調達スキームとなる「太陽光J-STO」の開発及び提供を行い、資金調達が完了したと発表しました。
デジタルトークンにより出資者の識別
今回の「太陽光J-STO」は、STO(Security Token Offering)という、発行者がブロックチェーン技術を活用してセキュリティ(証券型)トークンを発行することにより資金を調達する新しい資金調達方法を採用しています。
セキュリティ(証券)トークンの定義は一意ではありませんが、有価証券に該当する権利を保有することの証となるデジタルトークンをいいます。なお、「J-STO」におけるセキュリティトークンは、匿名組合(事業型ファンド)の契約上の地位を有することの証として出資者に付与され、売電収入が分配されることとなります。
なお、現在、日本ではSTOに関する法制度が未整備ないし不明確な状態であり、今後の法改正によりSTOに対する金融商品取引法の規制が変更される可能性があります。
そのため将来的に、「J-STO」におけるセキュリティトークンの二次流通市場が開設された場合は、投資家は自身の保有しているセキュリティトークンを第三者に譲渡できることができるようになる可能性があります。
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