丸紅とジンコソーラーが世界最大級の「ギガソーラー」事業へ、三菱東京UFJ銀行など8行が融資

2017年05月30日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

丸紅とジンコソーラーが世界最大級の「ギガソーラー」事業へ、三菱東京UFJ銀行など8行が融資の写真

5月29日、丸紅はアラブ首長国連邦のSweihan太陽光発電プロジェクトに関し、建設コストに充当されるプロジェクトファイナンス契約を調印したと発表しました。三菱東京UFJ銀行や農林中央金庫など、合計8行の銀行団が参加しています。

世界最大級のギガソーラーを中東地域で推進

アラブ首長国連邦(UAE)は、原油の輸出量は世界でも上位に入りますが、近年は発電における化石燃料への依存を減らす施策を講じています。2017年1月10日には、長期目標として2050年までのエネルギー戦略を発表しており、その中で電力需要の約半分を再生可能エネルギーで賄うことが示されています。2050年の電源構成の目標としては、クリーンエネルギー44%、ガス38%、クリーンコール12%、原子力6%となっており、住宅のエネルギー消費を40%削減することによって、エネルギー消費文化を変えることを目指しています。

長期的に再生可能エネルギーの増加が期待されるUAEですが、UAEのSweihan太陽光発電プロジェクトに関し、丸紅は建設コストに充当されるプロジェクトファイナンス契約を調印したと発表しました。丸紅はこれまで、UAEでは4件の火力発電事業に参画しています(図1)。今回のプロジェクトは、丸紅にとってアラブ首長国連邦における5件目の発電事業となり、再生可能エネルギーでは初となります。

丸紅のアラブ首長国連邦における発電事業

図1 丸紅のアラブ首長国連邦における発電事業 出典:丸紅

今回のプロジェクトを推進するために、丸紅、ジンコソーラー(中国)、アブダビ水電力省は特別目的会社であるSweihan Solar Holding Company Limitedを設立しています。出資比率は、丸紅とジンコソーラーがそれぞれ20%、アブダビ水電力省が60%となっています。この合資企業であるSweihan社が、三菱東京UFJ銀行や農林中央金庫など8行からなる財団と財務協議を締結する形となります。

今回の契約締結によって、Sweihanプロジエクトは8億7000万ドルの融資を受けます。丸紅、ジンコソーラー、アブダビ水電力庁が、Sweihan社を通じて 1177MWの太陽光発電プラントを建設し、保守・運転を担います。「ギガソーラー」の運転は2019年4月に開始されると見込まれており、25年の売電協定が締結されることで、全ての電力はアブダビ水電力会社に売電されます。

最安クラスのkWhあたり約2.7円

アブダビ水電力会社は2016年9月にSweihan太陽光プロジェクトの入札結果(350MW分)を公表しており、それによると丸紅とジンコソーラーによる応札価格はkWhあたり2.42セント(約2.7円)となっています(図2)。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

脱炭素社会への移行期に注目されるトランジションファイナンスPart1~政府が約20兆円規模の移行債を発行への写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2022年08月05日

新電力ネット運営事務局

脱炭素社会への移行期に注目されるトランジションファイナンスPart1~政府が約20兆円規模の移行債を発行へ

日本郵政が国内初、200億円の移行債を発行してから、各業界企業で動きが進んでいる「トランジションファイナンス」。脱炭素へ一気に移行しづらい産業の取り組みを支援するものです。2回にわたってご紹介します。Part1では、その概要や企業事例についてご紹介します。

自然災害増加の中、保険業界が支援する持続可能な再生可能エネルギー事業の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2022年03月09日

新電力ネット運営事務局

自然災害増加の中、保険業界が支援する持続可能な再生可能エネルギー事業

ここ数か月、保険業界から自然災害による太陽光発電設備の被害による廃棄や近隣への賠償に関する保険商品が発売されています。今回は、脱炭素社会に向けて、保険業界が再生可能エネルギーの持続的な普及をサポートする取り組みを紹介します。

エネルギー業界で拡大する環境債の発行、洋上風力など再エネ投資に利用の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2021年12月10日

新電力ネット運営事務局

エネルギー業界で拡大する環境債の発行、洋上風力など再エネ投資に利用

世界のグリーンマネーは3,000兆円を超えているとも言われ、金融市場にも脱炭素の流れが押し寄せています。その中でも環境債の発行実績の伸びは著しい状況です。そのような中、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、再エネ設備投資等のために電力会社による環境債(グリーンボンド)発行が相次いでいます。今回はそれら状況について整理していきます。

国内メガバンク、3社とも新設石炭火力発電への投融資を停止、気候変動対策への対応強化の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2020年05月05日

新電力ネット運営事務局

国内メガバンク、3社とも新設石炭火力発電への投融資を停止、気候変動対策への対応強化

昨年の三菱UFJフィナンシャルグループの発表に続き、みずほフィナンシャルグループおよび三井住友フィナンシャルグループが新設の石炭火力へのファイナンスを原則停止する方針を公開しました。これにより、3大メガバンクが石炭火力への対応につき概ね足並みを揃えることとなりました。

債権やローンを活用した再エネ・省エネ事業に要する資金調達、環境省ガイドライン改訂の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2020年03月13日

新電力ネット運営事務局

債権やローンを活用した再エネ・省エネ事業に要する資金調達、環境省ガイドライン改訂

日本においては環境省が、国際資本市場協会のグリーンボンド原則との整合性に配慮しつつ、グリーンボンドガイドラインを2017年3月に策定しました。策定後約3年が経過し、その間にグリーンボンド原則の改訂や、グリーンボンド発行事例の増加に伴う実務の進展等の状況変化が生じている中、2020年3月、グリーンボンドガイドラインの改訂版が新たに策定されました。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス