RE100

RE100とは

企業の使用電力を、100%再生可能エネルギーにすることを目標としている国際的なイニシアティブです。2022年11月時点で、日本から参加している企業は75社にのぼります。

An international initiative that aims to make all of electricity used by businesses renewable-sourced. As of November 2022, 75 Japanese companies are members of this initiative.

「キーワードでわかる! 脱炭素と電力・エネルギー[上級編]」より

もっと詳しく

RE100とは「The Climate Group」が「CDP」と共同で推進している脱炭素化へのシフトを世界規模で加速させるためのイニシアティブです。その内容は、事業において利用されるエネルギーを100%再生可能エネルギーに転換することで、対象となるのは、世界に大きな影響を与え得る主要な企業です。

このイニシアティブは企業の再生可能エネルギーへの需要やその企業への供給量を増大させる働きをします。その手段として以下のようなことが挙げられています。

  1. 主要な企業においてエネルギーの供給元を100%再生可能エネルギーにすることをできるだけ早い段階、遅くとも2050年までに達成すること。
  2. 再生可能エネルギーにおいて先導的な企業向けに基準点を設け、達成をたたえて後に続く企業の促進へつなげること。
  3. あらゆる企業に対し、再生可能エネルギーのための無視できないようなビジネスケースを伝えること。
  4. エネルギー供給を100%再生可能なものに転換するための障害や経済的利益をRE100のメンバーによるレポートで伝えること。

参加条件

RE100加盟の際には原則的に以下の条件を満たす必要があります。なお、電気事業に関わる企業・団体については別途条件が課される可能性があります。

  1. 世界に認知されている企業で、100GWh以上消費するような大きな影響力を有する企業であること。
  2. すべての企業活動においてエネルギー利用の100%を再生可能エネルギーにすることに対し、約束すること。
  3. 「すべての企業活動」はGHGプロトコルに則ること。
  4. グループ全体での参加が原則であるが、すでに満たしている子会社に関しては参加の対例外となりうる。
  5. CDPが設ける期限までの達成のための戦略を持つこと。
  6. 毎年、CDP気候変動のフォーマットで報告書を作成し、進捗を事務局に提出すること。第三者監査を受けなければならない。

メリット・デメリット

RE100のメリット・デメリットは下記となります。

メリット

再生可能エネルギーへの転換により企業は二酸化炭素排出の削減の目標に貢献し、変動する化石燃料のエネルギーコストと違い自然エネルギーはコストが安定するためコスト管理がしやすくなり、エネルギーの高い安全性をも獲得できます。

さらにRE100へ加盟している企業との情報交換が可能となり、目標達成へのパートナーを得ることができます。さらにCDP報告書への加点等、対外的な評判獲得に資するほか、機関投資家へのアピールにつながり、ESG投資の呼び込みが期待できます。

デメリット

加盟した場合、その時点で目標達成を約束したことになり、責任を負うことになります。最終的に目標を達成できなかった時にはその企業はステークホルダーからの信頼を失ってしまうでしょう。当分は再生可能エネルギーの料金は一般のものと比べ高いため、そのコストも含め、無理のない計画を立てる必要性が生じます。

事例

2019年10月25日時点では、世界で205の企業が参加しており、そのうち日本の企業は26社です。いくつかの事例につき、下記にて概要を見ていきます。

IKEA

日本でも有名な家具を取り扱う企業のイケアですが、その店舗数は300を超え、28の国にまたがります。他の企業が2040—2050年までの目標達成を誓約する中、比較的早い2020年までの目標達成を掲げています。

Apple

世界中でアイフォンやアイパッドを販売するAppleもこのイニシアティブに参加しています。Appleは2018年の4月に43か国にわたるAppleの施設の利用エネルギーを100%再生可能なものへの転換を達成しています。

次にAppleは製品の製造パートナーのカーボンフットプリントを減らす手伝いをしており、2020年までに彼らと共同で4ギガワット以上の再生可能エネルギーを取り入れることを目標にしています。

イオン

イオンは日本のリテール企業ですが、600のスーパーと303のショッピングモールが日本と海外にもあるグローバル企業です。日本企業では6番目にRE100に加盟していて、2050年までの達成を約束しています。EV100へも加盟しています。

2018年3月28日に発表した「イオン脱酸素ビジョン2050」では2050年までに二酸化炭素排出量をゼロにすることを目標とし、その中間目標として2030年までに2010年比で35%削減するとしており、その一環としてのRE100です。

日本企業加盟一覧

日本企業加盟1:リコー(目標2050年100%)

日本企業加盟2:積水ハウス(目標2040年100%)

日本企業加盟3:アスクル(目標2030年100%)

日本企業加盟4:大和ハウス(目標2040年100%)

日本企業加盟5:ワタミ(目標2040年100%)

日本企業加盟6:イオン(目標2050年100%)

日本企業加盟7:城南信用金庫(目標2050年100%)

日本企業加盟8:丸井グループ(目標2030年100%)

日本企業加盟9:富士通(目標2050年100%)

日本企業加盟10:エンビプロ・ホールディングス(目標2050年100%)

日本企業加盟11:ソニー(目標2040年100%)

日本企業加盟12:芙蓉総合リース(目標2050年100%)

日本企業加盟13:コープさっぽろ(目標2040年100%)

日本企業加盟14:戸田建設(目標2050年100%)

日本企業加盟15:コニカミノルタ(目標2050年100%)

日本企業加盟16:大東建託(目標2040年100%)

日本企業加盟17:野村総合研究所(目標2050年100%)

日本企業加盟18:東急不動産(目標2050年100%)

日本企業加盟19:富士フイルムホールディングス(目標2050年100%)

日本企業加盟20:アセットマネジメントone(目標2050年100%)

日本企業加盟21:第一生命保険(目標2050年100%)

日本企業加盟22:パナソニック(目標2050年100%)

日本企業加盟23:旭化成ホームズ(目標2038年100%)

日本企業加盟24:高島屋(目標2050年100%)

日本企業加盟25:フジクラ(目標2050年100%)

日本企業加盟26:東急(目標2050年100%)

類似したイニシアティブ

RE100とよく一緒に説明されるイニシアティブとしてEP100とEV100があります。どちらもRE100と同様に事業活動によって生じる環境負荷を低減させるために設立された環境イニシアティブの1つです。

EP100とは企業が利用しているエネルギーの効率を定められた年の二倍にすることで電力消費を軽減することを目的とし、EV100とは企業が使用する車などの移動手段を100%電気自動車に転換することを目標にしています。

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