中部電力、地域型「情報銀行」の実証開始、電力使用データ自体が新たな価値に

2018年12月06日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

中部電力、地域型「情報銀行」の実証開始、電力使用データ自体が新たな価値にの写真

中部電力と大日本印刷は、「地域サービスの効率化・高度化」や「日常の買物等の利便性向上」につながる「地域型情報銀行」実現に向け、12月中旬より約3か月間、豊田市で実証事業を実施すると発表しました。自宅の電力使用量や体組成計の測定情報といった日常的な生活データをサービスに活用する試みとなります。

パーソナルデータをビジネスにつなげる「情報銀行」

近年、IoT機器の普及やAIの進化等により、多種多様かつ大量なデータを効率的かつ効果的に収集・共有・分析・活用することが可能となってきています。データを活用することで、新規事業・サービスの創出等が実現すると期待されています。

諸外国においては、データを活用したビジネスの高度化に向けた取り組みが進展しつつありますが、日本ではデータの活用が企業内又はグループ内にとどまるなど、データを活用したビジネス展開が十分進んでいるとは言い難い状況です。

しかしながら、近年は国などにおいて、膨大なパーソナルデータを個人の同意の下で管理・活用する「情報銀行(情報信託機能)」の検討が進んでいます。情報銀⾏とは、PDS等のシステムを活⽤して個⼈のデータを管理するとともに、データを第三者に提供する事業です(図1)。

情報銀行のイメージ

図1 情報銀行のイメージ 出典:総務省

情報銀行によるデータ活用については、個人との契約に基づいて管理されます。データを第三者に提供する際には、個⼈の指⽰⼜は予め指定された条件に基づき、事業者は個⼈に代わり妥当性を判断します。

個人が収集・集約したデータは、自ら管理することも可能ですが、その利活用は個人ベースでは困難です。例えば、個人が多くの事業者の中から情報提供先を選別するスキームでは、煩雑さが残るため一部の利用に留まり、広く普及しない可能性が高まります。しかし、情報銀行の仕組みがあれば、個人の手間をかけることなく、データの流通をスムーズにすることが可能になります。

こうした中、中部電力と大日本印刷は、「地域サービスの効率化・高度化」や「日常の買物等の利便性向上」につながる「地域型情報銀行」実現に向け、12月中旬より約3か月間、豊田市で実証事業を実施すると発表しました。

自宅の電力使用量を「地域型情報銀行」に活用

今回の実証では、「地域型情報銀行」が、モニターから、個人の属性や生活に係るデータの預託を受け、サービス事業者(スーパーなどの小売店)へデータを提供します。なお、データは、あらかじめモニターが設定した条件の下で提供されます。

一方でサービス事業者は、提供されたデータに基づき個人に合わせた適切なサービスをモニターへ提供します。これにより、モニターは日常の買物等で利便性向上につながるサービスを得ることができます。

生活データは、センサーを活用することで取得されます。具体的には、自宅の電力使用量や体組成計の測定情報といった日常的な生活データとなります。そのセンサーデータに、モニターがアンケートにより登録したパーソナルデータが加えられ、「地域型情報銀行」へ自動的に情報提供する仕組みが構築されます。

また、モニターは、簡単にデータ提供先のサービス事業者と提供するデータを選択できるようになります。「地域型情報銀行」によって、サービス事業者は集約されたデータを受け取ることが可能となり、そのデータをモニターへの情報配信などに利用できます(図2)。

地域型情報銀行の概要

図2 地域型情報銀行の概要 出典:中部電力

なお、「地域型情報銀行」がモニターからパーソナルデータの預託を受ける際や、サービス事業者へデータを提供する際、情報流出や目的外使用の防止のため、総務省・経済産業省「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」に基づいた契約を締結の上、運用管理されます。

今回、中部電力と大日本印刷に加え、キュレーションズ株式会社、豊田市、豊田まちづくり株式会社、株式会社山信商店による協力の下進められます。各企業等の役割については、下記表の通りです。

中部電力 実証主体として「地域型情報銀行」の実現に向けた課題を検討 モニター募集、サービス事業者との調整、属性・電力使用量などのデータの提供
DNP 実証事業の計画やサービスモデルの企画策定、「地域型情報銀行」基盤の提供
キュレーションズ株式会社 体組成計からデータを取得し、「地域型情報銀行」に連携する仕組み(IoTプラットフォーム「plusbenlly」)を提供
 豊田市 「豊田市つながる社会実証推進協議会」(注4)の活動に位置づけ、実証のフィールドを提供
 豊田まちづくり株式会社 豊田市駅前のファッションビル「T-FACE」にて、買い物サービスを試行
株式会社山信商店 食品スーパーマーケット「スーパーやまのぶ」にて、買い物サービスの提供を試行

今後の展望、情報銀行の認定の取得を目指す

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

余剰エネルギーにおけるピアツーピアの「自由貿易」、英ブリストル大学が研究開始の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年05月10日

新電力ネット運営事務局

余剰エネルギーにおけるピアツーピアの「自由貿易」、英ブリストル大学が研究開始

将来的には余剰電力につき、より経済合理性に則った形で売買される可能性があります。この課題につき、ブリストル大学では、EPSRCからの46万ポンドの助成金を利用することで、ピアツーピア (P2P)エネルギー市場におけるマイクロ発電機間の「自由貿易」を研究しています。

ビットコインなどの仮想通貨を活用した取り組みの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年04月22日

新電力ネット運営事務局

ビットコインなどの仮想通貨を活用した取り組み

今回から3回のコラムで、各ステップの海外事例をご紹介します。ファーストステップ(2020年~2025年)は、1つの会社で提供できるサービスやブロックチェーンの基礎研究が挙げられます。「1ビットコインなどの仮想通貨の活用」「2スマートメーターなどの機器の効率化」「3ブロックチェーンの活用に関する基礎研究」について各1社紹介します。

エネルギー業界とブロックチェーンの親和性の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年03月15日

新電力ネット運営事務局

エネルギー業界とブロックチェーンの親和性

今回は、エネルギーとブロックチェーンの親和性やどのようなステップでエネルギー業界にブロックチェーンが浸透していくかについて述べます。

ブロックチェーンの3つの特徴の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年02月27日

新電力ネット運営事務局

ブロックチェーンの3つの特徴

前回のコラムでブロックチェーンは、インターネットの出現時と同じくらいの規模でビジネスに影響をあたえると書きました。今回は特に影響を与える「契約締結・信頼構築・価値の証明や交換」について説明します。

「ブロックチェーン」はインターネットの再来の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2019年02月15日

新電力ネット運営事務局

「ブロックチェーン」はインターネットの再来

「エネルギー」と「ブロックチェーン」――このコラムでは、インターネットの再来と言われているブロックチェーンがエネルギー業界にどのような影響を与えていくかについて考えていきたいと思います。