一般負担と特定負担の特徴

2015年07月22日

一般社団法人エネルギー情報センター

主任研究員 森正旭

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新電力事業者が系統運用に係る費用を支払う方法として、大別すると「一般負担」と「特定負担」があります。それら費用負担の方法について、より適切な形に制度設計するため議論が進んでいます。

一般負担と特定負担

新電力事業者が系統調整にかかる費用を支払う方法として、一般負担と特定負担があります。一般負担は、新電力事業者が託送料金として費用を電力会社に支払うことに対し、特定負担は接続にかかる工事費用等を負担する形となります。FIT適用でない新電力については、一般負担が原則になっておりますが、FITに基づいて再エネを連系する場合は、全額を発電事業者が負担する「特定負担」が基本となっています。

この費用負担のあり方について、単純な「全額一般負担」か「全額特定負担」という手法に疑問が投げかけられています。そのため、制度設計ワーキンググループでは、現状の「全額一般負担」か「全額特定負担」を止め、発電事業者の受益割合や系統の安定に対する寄与の度合いを考慮した「受益者負担」を基本とし、より実態に即した形で負担を分配する方針です。

一般負担について

一般負担とは、託送料金として系統の費用負担を系統利用者全体が負う形態の事です。託送料金は、各一般電気事業者により定められ、託送供給約款のなかに落とし込まれます。各電力会社の託送料金イメージについては、下図をご覧ください。(低圧料金については予測値となります。)

一般電気事業者の託送料金

現行の託送制度においては、需要地の電圧(特別高圧/高圧/低圧)に応じて託送料金が設定されており、託送契約上の設備利用形態は一切考慮されない形となっています。

特定負担について

特定負担とは、発電所設置に伴う系統強化等の費用を、新電力会社が負担する形態の事です。FIT利用分の発電所の場合などに適用されます。例えば、太陽光発電事業者の発電設備と電力ネットワークをつなぐための「電源線」の敷設費用負担が該当します。新電力会社が敷設工事を担当する場合、その費用は発電者側が負担することとなります。

系統に係る費用負担のイメージについては、下記表に太陽光発電の事例を掲載しております。下記の表を参照すると、1メガのソーラー発電の場合、接続費用に平均で690~840万円もの費用負担が必要という計算になります。

太陽光発電の接続費用

接続費用の内訳は、状況により大きく異なりますが、バンク逆潮流対策や、その他各種工事があります。

①バンク逆潮流対策の工事費

逆潮流工事費について

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執筆者情報

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一般社団法人エネルギー情報センター

主任研究員 森正旭

上智大学地球環境学研究科にて再エネ・電力について専攻、卒業後はRAUL株式会社に入社。エネルギーに係るITを中心としたコンサルティング業務に従事する。その後、エネルギー情報センター/主任研究員を兼任。情報発信のほか、エネルギー会社への事業サポート、また法人向けを中心としたエネルギー調達コスト削減・脱炭素化(RE100・CDP等)の支援業務を行う。メディア関連では、低圧向け「電気プラン乗換.com」の立ち上げ・運営のほか、新電力ネットのコンテンツ管理を兼務。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://price-energy.com/

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主任研究員 森正旭

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