エネルギーデジタル化の最前線 第14回

2022年12月13日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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エネルギーデータを活用した先進的な取り組みをしている企業の4社目は大阪ガス。キーワードは「ツナガル」設計・開発から設置、アフターフォローまで、一気通貫できる強みを活かしたIoT化を推進している。

執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
理事 江田健二

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。

記事出典:書籍『IoT・AI・データを活用した先進事例8社のビジネスモデルを公開 エネルギーデジタル化の最前線2020』(2019年)

大阪ガスのIoTに関する取組

大阪ガス(大阪市中央区)のIoTに関する取組はエネファームの見える化や遠隔監視から始まった。エネファームをIoT化することで、従来は現場に行かなければ判らなかった症状や原因が遠隔で確認することができるようになった。

これにより社内業務の効率化、コスト削減を達成できた点が大きい。大阪ガスではエネファームでの成功体験をもとに、給湯器のIoT化に横展開。給湯器の遠隔見守りの反応はよい。大阪ガスの強みは、製品設計から設置、アフターフォローまで一気通貫で対応でき、きめ細かでスピード感のある製品展開が可能だ。大阪ガスは今後他社製品やサービスとの連携を強化していく方針だ。

スマートスピーカーからの家庭用燃料電池の操作を実現

家庭用燃料電池エネファームは、日本が世界に先駆けて実用化を果たしたPEFC用燃料改質装置(固体高分子形燃料電池)だ。大阪ガスは、IoT化を推進する商品としてこのエネファームを選び、研究を重ね、2016年4月にIoT機能を本格的に搭載したエネファームtype Sの発売開始に成功した。

これにより、エネファームを持つ家庭は、スマートフォン経由でお風呂のお湯はりや床暖房オンオフの操作ができるようになり、またメンテナンスの簡略化、遠隔監視による安心感など、多くのメリットを享受できることとなった。

「世の中のモノがどんどんつながっていくなか、ガス業界もIoT化の波に対応する必要があると感じていた。IoT化は、お客様とのつながりを強める1つの要素になる。これまでの製品・ガス販売に留まらず、集められたお客様の利用データを通じて新しい関係づくりをしていきたい」と大阪ガス株式会社 リビング事業部 計画部 計画チーム IoT推進プロジェクト リーダーの藤田氏は語る。

IoT化されたエネファームは、スマートフォンにダウンロードしたアプリからの操作に加えて、18年4月からはAmazonのスマートスピーカーであるAlexaとも連動した。今後は、グーグル社が発売しているスマートスピーカーにも対応していく予定だ。「スマートスピーカーとの連携は、海外の流れを見て必須だと判断した。スマートフォンのアプリは、直感的な操作ができるようにデザインし、情報提供も積極的に行っている。エネファームの上手な活用のアドバイスなどをすることで、利用者にはより快適な生活を実現していただきたい。」と藤田氏は語る。

IoT化により業務の効率化とコスト削減を実現

エネファームへのIoT化導入の決め手になったのは、前述のような利用者へのサービス拡大はもちろん、社内業務の効率化、コスト削減効果が期待できたことだ。家庭用ガス設備への遠隔監視については、導入コストが合わず実現できていなかったという背景がある。

昨今のスマートフォンの普及等に伴う通信部品の低コスト化、また家庭への無線LANの普及、クラウドサービスの拡大によるサーバーコストの低減などが、このIoT化を後押しした。

「エネファームは10年間フルメンテナンスサポート(故障修理費用が10年間無償)というハイエンド製品であったこともあり、メンテナンス業務をより効率化していかなければいけないという課題を抱えていた。エネファームをIoT化することによって、負荷の軽減ができると判断した。」(リビング事業部 計画部 計画チーム IoT推進プロジェクトの戌角(いぬずみ)氏は語る。

実際に①現場の作業時間短縮②再訪問率の減少③訪問作業の減少(遠隔からの問題解決サポート)の3つの形で効果がでている。

具体的には、①現場の作業時間短縮では、事前に遠隔監視データをもとに故障の原因を特定してから訪問ができるようになったため、結果として作業時間の約3割を削減できた。
また同様に、訪問の事前に取り換え部品などを準備することができ、1回の訪問で問題解決ができるようになった(②再訪問率の減少)。また、遠隔監視データをもとに、復旧作業をお客様自身に実施していただくことによって、訪問を必要とせず、その場で問題が解決することが増加した(③訪問作業の減少)。

「これまでの対応では、お客様に電話口で根掘り葉掘り状況をヒアリングする必要があった。今は、収集したデータを確認しながら会話ができるので、原因が特定しやすくなった。場合によっては、お客様にその場で対応してもらうことで解決することも多い。お客様側も訪問時間の調整などをする手間が省けて喜ばれている。」と藤田氏は話す。

IoT機器の課題のひとつに、初期設定の手間がある。せっかくIoT機器を購入しても、インターネット接続などの初期設定の手間があるため、ユーザーがメリットを活かしきれていないというケースは案外多い。大阪ガスは、エネファームの導入時にインターネット接続完了までをフォローすることにこだわっている。

「当初は、インターネット接続への苦労があったが、現場のがんばりもあり接続率は90%以上になった。自社で開発・設計・販売・フォローまでの全てを一貫して行っている強みが活かされた。」と藤田氏は胸をはる。初期設定までしっかりフォローし、その後の遠隔からの見守りは、顧客が気づいていない故障や発電の停止について大阪ガス側から連絡をすることができる。利用者の93.8%がこの遠隔監視に「安心」と答えている。

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