エネルギーデジタル化の最前線 第13回

2022年11月15日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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「ガスの見守り」から「家全体の見守り」へ。生活周りのプラットフォーム 事業を積極的に展開する東京ガスの取り組みを紹介する。

執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
理事 江田健二

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。

記事出典:書籍『IoT・AI・データを活用した先進事例8社のビジネスモデルを公開 エネルギーデジタル化の最前線2020』(2019年)

独自の強み 電池と通信技術

サービス事業には、ガスのスマートメーターを改良するなかで培われてきた電池や通信に関するノウハウ、技術資産が多数活用されている。

具体的には、京都大学大学院情報学研究科原田博司教授の研究グループと共同開発した低消費電力版Wi-SUN JUTA(F-RIT)をセンサー向け無線に採用したことで、家の中に設置された複数のセンサーに安定的な通信環境を保持、さらに無線機の低消費電力化を低コストで実現している。

また、センターとの通信には専用のLTE閉域網を構築し、サービス提供基盤にはアマゾンのクラウドサービスであるAWSを採用した。今後のサービス拡充やサービス件数の増加にも柔軟に対応できるように設計されている。

「くらし見守りサービスはお客さまに安心を提供するもので、サービス自体の信頼性を高める必要があると感じていた。その理由から、すべての無線通信を東京ガスの責任で行える体制にこだわった。スマートメーター用無線通信規格の1つでもあるWi-SUN JUTA(F-RIT)は家電機器の制御にも利用でき、お客さま宅内の電源配線や設置工事も不要であり、IoTサービスの実現に向け、コスト低減やコンテンツの拡充が期待できる。」

また、一般的なIoTサービスがインターネット回線を用いていることに対し、「くらし見守りサービス」は専用回線を活用することで、インターネット環境のない家庭での提供が可能になっている。と藤原氏は語った。

IoTとは無縁と思っている方に届ける安心

「インターネットへの知識があまりなく、自分はIoTとは無縁と思っている方にもサービスを届けていきたい。IoT製品は購入者自身が初期設定しなければならないものが大半だが、すこしでもご利用いただくハードルを低くするために、販売時にはご自宅にお伺いして、機器のセットアップやスマートフォンの設定まですべてを専門スタッフが行うようにしている。また、販売も当初は専門スタッフに限定して開始するが、将来的には東京ガスグループの数十拠点の数千人のサービススタッフを強みに、対面で説明し、その場で質問を受けながら進めていく。現在ガスの見守りサービスを提供している34万件のお客様に加え、女性の一人暮らしなどニーズがありそうな層への展開を考えている。」と岩田氏は語る。

安心から元気へ 領域を拡大

同社は、家庭に届ける新しい価値として「元気」の提供を計画している。「くらし見守りサービスは「安心」を届けることで、不安というマイナスをゼロにするのがゴール。今後は「安心」に加えて「元気」という価値を届けることで、ゼロからプラスになるサービスを目指す。領域としては食・健康などを考えている。」と岩田氏。

この「元気」の部分では、自社開発だけでなく積極的にベンチャー企業を含め、パートナー企業との共創によりサービス拡充を進めている。家事代行サービスの分野として株式会社カジタク、睡眠・疲労回復サポートサービス分野のエコナビスタ、音声コンテンツ提供サービスのオトバンクなど、同社は、次々と提携を拡大している。

「パートナー企業との出会いは様々。南千住にある実験棟でガス機器にサービスを組み合わせていく中で知り合った会社もあれば、電力小売り全面自由化以降に知り合った企業もある。サービスやチャネルが補完関係にあり、新しいアイデアを出しあいながら事業を開発していける企業と積極的に提携している。」と岩田氏は語る。

パートナーとの新サービスも発表が進んでいる。2018年12月には新しい家事代行サービスをリリース。東京ガスが料理教室を運営することで培ったノウハウを活かした「作り置き」や「パーティーメニュー」などのレシピと料理指導をカジタクスタッフに提供することでサービスの強化を図っている。

今後の展望 生活周りのプラットフォームへ

今後はもちろん、見守りサービスだけにとどまるつもりはない。開発したサービス基盤をフル活用してIoTサービスをタイムリーに展開するだけでなく、IoTサービスと家事代行等の他のサービスを組み合わせて提供価値を拡大することも狙う。さらに、IoTに関しては将来的には国内だけでなく、文化や社会的ニーズがあれば海外へも事業を拡げることも視野に入れるという。

「東京ガスグループの特徴は3つ。1つは顧客基盤があること、2つ目は顧客との対面という、リアルな接点を持っていること、3つ目は月額課金の決済サービスを自社で行えることだ。この3つの特徴をしっかりと強みに繋げ、さまざまなパートナーと新たなサービスを創る、生活周りのプラットフォーマーを目指したい。」と岩田氏は抱負を語る。

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