エネルギー消費効率(COP)

エネルギー消費効率(COP)とは

エネルギー消費効率は成績係数とも呼ばれ、COPとはCoefficient Of Performance(成長係数)の頭文字をとったものです。特に冷暖房器具の省エネ性能を表す際によく使われています。

電力1kWを使ってどれだけの効果を得られるかという指標です。現在一般にも普及していて、機器やカタログに記載されている場合もあります。

COPの求め方

実際にエアコンを例にしてCOPを求めていきましょう。COPには冷房と暖房で2種類あり、それぞれ冷房COPと暖房COPと呼ばれています。冷房COPを求めるには冷房能力(kW)の値と冷房消費電力(kW)の値が必要となります。暖房COPを求めるには暖房能力(kw)と暖房消費電力(kw)が必要となります。実際に式にしてみると以下のようになります。

  1. 冷房COP=冷房能力(kw)÷冷房消費電力(kw)
  2. 暖房COP=暖房能力(kw)÷暖房消費電力(kw)

エアコンの場を冷やす(暖める)ために用いたパワーを消費電力で割るという計算が必要となります。この計算によって1kWあたりどれだけの冷房効果(暖房効果)が期待できるかということがわかります。例えば、COP=3である場合、その製品は消費する電力量に対し3倍の能力を発揮していることになります。

もしCOP=5であれば、その製品は消費する電力量に対し5倍の能力を発揮していることになります。つまりCOPが高いほど1kWあたりの冷房効果(暖房効果)が高く、効率、省エネ性能が高いと言えます。車に置き換えて考えてみると、冷房(暖房)能力が走った距離、冷房(暖房)消費電力がガソリンの量、COPが燃費ということになります。

COPの問題点

COPは一定の温度環境下でのエネルギー消費効率を示す値です。実際にエアコンを使用したとき冷暖房能力と消費電力はその時の室温や外の温度によって影響を受け変化しています。そのため常に一定の値をとることは出来ません。

また、冷暖房を兼ね備えているエアコンなどの製品は、冷房能力と暖房能力の値が異なることがあります。これは冷房と暖房とでは各能力の値と消費電力量の値が異なるためです。そのため、冷房COPと暖房COPをそれぞれ表示する代わりに、それらの平均値である「冷暖房平均COP」を計算し、表示することがあります。

APFとCOPの対比

COPと似た指標にAPFという指標があります。COPに対して、より実際に使用した状態に近い省エネ性能を示します。Annual Performance Factorの頭文字をとったもので、日本語では「通年エネルギー消費効率」と呼びます。2006年9月に改正された「省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)」でCOPと代わって省エネの指標の基準値と定められました。

APFは日本工業規格(JIS)で定められている規格に基づいて運転環境を定め、1年間運転した場合の運転効率を示します。定められた条件下でエアコンを使用した場合、1年間でどれだけ電力を消費したかを「期間消費電力量」として算出します。そして、エアコンが1年で使用するエネルギーを期間消費電力量で割ってAPFが算出されます。つまり室温や外気の温度の影響を受けやすいエアコンではAPFの方がCOPよりも正確な値を得ることが出来ます。

2006年の法改正後エアコンではAPF表記が主流となり、COP表記が少なくなってきました。APFが大きな値の製品を買うと省エネになり、将来的にはお財布にやさしいということになります。

海外の省エネ基準

アメリカでは省エネ基準としてIPLVを用いています。COPとIPLVの違いはCOPが100%負荷時のみを想定し算出した値であるのに対し、IPLVは部分負荷時の効率を考慮して算出した値です。

COP 100%負荷時のみだけを考えた運転効率
IPLV 負荷の異なる4つのCOPの加重平均したもの、100%、75%、50%、25%負荷時の効率を各割合出現率を考慮して加重平均した値
APF 定格時だけではなく、エアコンが使用される建物や用途等の負荷条件、冷房/暖房期間における外気温度の発生時間、さらにインバータ機の能力変化にともなうエアコンの効率を考慮した値

今後の展望

今後私たちがCOPを直接目にする機会は更になくなっていくでしょう。しかしCOPはカタログや機器に書いてある情報で大まかなエネルギー消費効率を簡単に計算でき、その値を用いることで他製品と比較ができます。エネルギー消費効率の概念と計算方法を覚えておくことでお財布にも環境にも優しいお買い物ができるのではないでしょうか。

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