石油輸出国機構(OPEC)(Oil Exporting Countries Organization)
石油輸出国機構(OPEC)とは
An organization established in 1960 with the aim of protecting the interests of oil-producing countries. When it was first established, it had five member countries: Iran, Iraq, Kuwait, Saudi Arabia, and Venezuela. As of 2019, it had 14 member countries.
Organization of Petroleum Exporting Countriesの略で、「石油輸出国機構」のことを言います。原油の生産と価格の調整を行っています。本部はオーストリアのウィーンにある石油輸出生産国の協議会です。
背景
世界の石油資源と石油市場を独占していた欧米の国際石油資本(メジャーズ)【国際石油資本とは、石油輸出国機構が確立する前に世界の石油生産をほぼ独占していた8つのメジャーをさします。】により、1959年と1960年の二度にわたって産油国の許可なく中東原油価格が引き下げられるという事件がありました。
そのため1960年、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5か国がメジャーズに対抗し、産油国側の利益を守ることを目的にOPECを設立しました。現在では加盟国数が増え、中東諸国を中心とした12か国で構成されています。
目的
加盟国の利益を個別及び全体的に守ることや、国際石油市場の価格の安定、消費国に対して安定的に石油を給付すること、石油産業における投資に対する公正な資本の見返りの確保を目的としています。
OAPECとの違い
類似した国際機構に、OAPECという組織があります。OAPECとは、Organization of Arab Petroleum Exporting Countriesの略で、「アラブ石油輸出機構」を意味します。
1968年、クウェート、サウジアラビア、リビアの3か国により、「石油を武器とする見地に立って石油活動を行う」という目的で結成されました。つまり、工業製品を生み出すために必要不可欠である石油を産出できるという利権を武器に、アラブ諸国の力を世界に誇示しようというものです。OPECは産油国の利益を守ることを目的としているという点でOAPECとは異なります。
具体的な内容説明
OPECは総会、理事会、事務局の3つの機関から構成されています。また、その他にも閣僚監査委員会、経済委員会、協議会が設けられています。
1. 総会(The Conference)
総会はOPECにおける最高機関です。定例総会は年2回行われ、加盟国の原油の生産量を調整し、世界の原油価格の調整を図っています。また、①政策の策定、②実施方法の決定、③理事会が提出する報告書や韓国の検討・決議、④予算案の策定、⑤事務局長の任命なども行っています。
2. 理事会(The Board of Governors)
理事会は、加盟国の指名と総会の承認によって決まります。①機構の運営、②総会決定事項の実施、③予算案の作成、④機構の諸問題についての報告書や勧告を総会へ提出するなどの任務を行っています。
3. 事務局(The Secretariat)
事務局はウィーンに設置されています。事務局長は総会で選ばれます。任期は3年で、最長2期まで務めることができます。
石油市場への影響
1960年の結成から、OPECの国際石油市場における影響力は徐々に拡大していきました。1973年に勃発した第4次中東戦争の際、アメリカとイスラエルに対して優位な状況で停戦に持ちこむため、OPEC諸国は原油価格を大幅に引き上げ、世界に大きな打撃を与えました。
この事件をきっかけにOPECは、国際石油市場におけるその地位を確立しました。そして、OPECの台頭により、欧米のメジャーズは価格決定権と石油利権を産油国側に奪われ、国際石油市場における主導権を失いました。
1970年、メジャーズの市場シェアは約60%だったものの、1985年には約15%まで落ち込んでしまいました。

資源エネルギー庁HP
しかし、その後はOPECが石油価格を決定するという構造だったものが、市場メカニズムが石油価格を決定するようになりました。現在では、近年のアメリカの原油生産量の急増、シェールブーム、世界の石油需要の低下などが原因で、原油相場は急落しています。
そのため、OPECの世界経済に対する影響力も大幅に低下しています。また、地球温暖化対策により、化石燃料によらないエネルギーへの転換が注目されていることも、OPECの経済覇権が衰退している原因となっています。
加盟と脱退
加盟するには、加盟国と基本的利害を同じくすること。相当量の原油純輸出国であること。原加盟国のすべてを含む加盟国の4分の3が賛同すること。脱退するには、総会にその意思を伝え、総会がそれを受け取ってから翌年から効力を発生します。
現在の状況
2009年にインドネシアがOPECを一時脱退し、加盟国は12ヵ国になりました。1970年代の第1次、第2次石油危機で、OPECの支配力は強まったが、非加盟国などで原油生産量の増加や、石油代替エネルギーの開発、先進諸国の石油備蓄の拡大する中でOPECの存在感が薄まってきたが、中国をはじめとする新興国の急速な経済成長により、再び存在感を増してきました。
近年、アメリカで、シェールガスの採掘方法の技術革新などの影響で、世界的に石油の供給過多が目立つようになりました。石油輸出国機構も生産枠を維持し続けることを総会などで決議するなど対策を講じています。
新たな動き
OPEC諸国では、国内における太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入が進んでいます。これは、国内での石油の消費量を減らし、余剰分を輸出に回し利益を得ようとするためです。太陽光発電の導入費用が年々低下してきているということも導入理由となっています。