エコエフィシェンシー

エコエフィシェンシー(環境効率)とは

エコエフィシェンシーは、製品やサービスの環境側面を表す環境評価指標の一つです。具体的には、「環境影響を最小化しつつ価値を最大化する」考え方を指標化したものです。このコンセプトは、1992年に設立された「持続可能な開発のための経済人会議(BCSD)」の宣言の中で生まれました。

エコエフィシェンシーの求め方

エコエフィシェンシーは「製品およびサービスの価値」を「製品およびサービスを生み出すための環境負荷」で割ることで、求めることができます。この際、前者の「価値」は取り組む企業によって何を価値にするのかで異なり、後者の「環境負荷」はLCA(ライフサイクルアセスメント)の手法を活用して評価します。

「製品の価値」の項目

製品の価値の項目は、「物理量」、「経済的価値」、「機能・性能」などで定量化することが可能です。具体的には、「物理量」は販売量や生産量、「経済的価値」は売上高や利益を項目とします。

「機能・性能」は製品によって異なり、冷蔵庫であれば容量や冷蔵スピードや冷凍スピード、パソコンであればMPU処理能力やハードディスク容量、携帯電話であればMPU処理能力やハードディスク容量が適用される項目となります。日本では製品機能・性能をとる事例が多く見られます。

「環境負荷」の項目

環境負荷とは環境に与える影響のことです。具体的には、地球温暖化、資源利用(電力量、水消費量、 鉄鉱石消費量等)、有害物質(鉛、トルエン、水銀等)の使用の影響などを考慮します。その製品のライフサイクル全体で捉えることが望ましいと言えます。

環境負荷の項目は、インプットとアウトプットの2つに大きく分けることができます。インプットでは、エネルギー消費、資源消費、化学物質といった使用した物質の量を計算します。アウトプットでは、オゾン層破壊物質、温室効果ガス、総廃棄物といったものの排出量を計算します。

エコエフィシェンシーの活用ステップ

1) 評価対象製品の選定

2)評価目的および目標の明確化 例:社内での目標管理、社内外への説明

3)評価方法の検討 例:適切な環境負荷と商品価値の選定、商品ステージの選定、比較する基準年

4)測定およびデータ収集

5)エコエフィシェンシーの算出

6)改善に向けてのアクションプランの作成

ファクターについて

ファクターは環境効率とも呼ばれており、ある基準時点からのエコエフィシェンシーの改善度を表します。生活の質を向上させる製品・サービスを提供しつつ、環境への負荷を減らし、持続可能な社会をめざす考え方が元になっています。

現在のエコエフィシェンシーと将来めざすべきエコエフィシェンシーを比較して、目標とすべきファクターを設定できるため、環境負荷の削減と商品価値向上のどちらをどれほど数値を改善するべきかを具体的に知ることができる点で、未来志向の指標である言えます。

エコエフィシェンシーは「製品の価値」を「環境負荷」で割って求めるのに対し、ファクターは「評価製品(新製品)のエコエフィシェンシー」を「基準製品(旧製品)のエコエフィシェンシー」で割ることで求めます。エコエフィシェンシーもファクターも、数値が大きいほど、製品の価値が高い、または環境への負荷が少ないと言えます。

1991年に、世界の物質・資源の流れを50%減らすためには、先進国では平均して10分の1に脱物質化を進める必要があるという計算に基づく「ファクター10」が提起されました。また、地球の限界を意識した「豊かさ」を模索する手段として1992年に、ドイツのワイツゼッカー博士らにより「ファクター4」が提唱されました。「ファクター4」とは地球の持続可能な発展を確保するため、同一の財やサービスを得るために必要な資源やエネルギーを4分の1とすることをめざす指標のことです。その実現により、半分の資源で現在の平均的生活水準を2倍にするというもので、大量生産・大量消費に依存していた20世紀的発想からの大転換といえます。

ファクターは本来地球規模のものさしですが、より少ない環境負荷でより多くのGDPを達成しようという国レベルの評価、より少ない環境負荷でより多くの売上高・営業利益を達成しようという企業レベルの評価にも適用することができます。

エコエフィシェンシーとLCAの相違点

LCAとは、ライフサイクルアセスメントの略称です。これは、製品またはサービスを作り出すとき、地球からの資源の採取に始まり、製造、輸送、使用、及びすべての廃棄物が地球に戻される時点に至るまでのあらゆる活動を適切かつ定量的に評価する方法です。

エコエフィシェンシーはLCAと比較されることが多いですが、数値の意味は異なります。LCAとは、環境負荷を定量的に把握する手法であり、数値が小さいほど好ましいと言える一方、エコエフィシェンシーは、数値が大きいほど好ましいと言えます。

また、エコエフィシェンシーは環境負荷の低減度と製品の価値や品質の向上度の両方を用いている点でLCAとは異なります。エコエフィシェンシーは、製品技術者の手腕を多角的に評価する点で、技術者への大きなインセンティブとなります。

エコエフィシェンシーの背景

20世紀、急速な技術革新や経済活動の発展により、世界はかつてないほどの進歩を遂げました。それと同時に、人間は大量生産、大量消費、大量廃棄というライフスタイルを確立し、環境に大きな負荷を与え続けることになりました。その結果、大気汚染・水質汚濁、ゴミ問題、地球温暖化、有害化学物質問題など、「地球環境問題」と称される様々な危機的状況が生じました。

20世紀後半に入ると、このような経済を元にする社会の持続的発展に対して疑問の声が上がるようになりました。そこで、持続的成長を目指すためには、最小の資源投入に対して最大の生産が必要であるという理念のもと「環境影響を最小化しつつ価値を最大化する」考え方として、エコエフィシェンシーが登場しました。この考え方は1990年代初めに欧米で提言されましたが、日本では具体的手法の検討や適用が始まったばかりです。

エコエフィシェンシーの活用方法

エコエフィシェンシーの役割は、持続可能な社会への変革を促す製品を支援し、普及を促進することにあります。企業は、エコエフィシェンシーという指標を効果的に活用することで、製品の価値を高めながら、環境負荷を削減する取り組みの進出状況を図ることができるため、環境的側面でも価値的側面でも優れている製品を開発する動機となります。

エコエフィシェンシーは、環境保全と経済活動の両立をめざす社会システムや企業経営を実現していくツールのひとつとして、製品・サービスの価値向上と環境負荷削減の両側面の指標として有効性が期待されています。

エコエフィシェンシーの課題

エコエフィシェンシーの概念および指標導入の目的を適確に説明し、理解を求め、市場においてエコエフィシェンシーの価値を高めることが必要です。

また、エコエフィシェンシーの算出方法は様々です。そのため、製品価値の要素、指標として抽出した環境側面の特徴、活用の目的等を考慮し、算出方法を編み出すことが望まれます。その際、企業の都合のよいように定義して算出式を生み出したのではないということなど、誤解を招かないような説明が求められます。

製品の価値として取り得る項目は多様であるため、どのような項目を取り上げるのかを十分に検討する必要があります。透明性、信頼性を確保するためには製品カタログ等一般に公開しているものを用いることが望ましいと言えます。

複数の評価項目を単一指標で表現することは、理解を容易にするというメリッ トがある反面、複数の項目を集約することで、個別の環境問題や誘因事項をわか りにくくしてしまうというデメリットがあります。また統合化を行う過程で重み付け係数を使う場合、その根拠を決めるために関係者間の調整かが困難なことが予測されます。製品群ごとに環境負荷と製品価値の算出ルールを決めていくことが、相互理解にいたる近道になると考えられます。

エコエフィシェンシーには課題が残されていますが、まずは始めることが重要です。環境負荷削減と価値向上の両側面を意識した指標を構築した際、モノづくりを得意とする日本はその製品とともに世界に情報発信をする強力なツールを得ることができます。

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