グリッドパリティ

グリッドパリティとは

グリッドパリティ(Grid Parity)とは、「グリッド=送電網」が「パリティ=同等」という意味で、再生可能エネルギーの発電コストが、既存の系統からの電力のコストと同等かそれ以下になる点(コスト)を指します。

グリッドパリティの算出方法

その発電設備が設備の稼働期間全体で生み出せる電力を、総事業費で割ったものがグリッドパリティの指標となり、「〇〇円/kWh」という形で算出されます。例えば太陽光発電のグリッドパリティは下記の計算式によって求められます。

グリッドパリティ=(「キロワットあたりのシステム価格」+「メンテナンス費用」)÷「耐用年数(寿命)」÷「年間発電量」
  1. キロワットあたりのシステム価格:キロワットあたりの発電コスト(円/kW)
  2. メンテナンス費用:パワーコンディショナの交換費用、修繕費用、廃棄費用など(円)
  3. 耐用年数(寿命):太陽光発電の耐用年数は20∼30年といわれています。
  4. 年間発電量:1年間の総発電量(kW)

グリッドパリティの定義

グリッドパリティの値は、個々のケースにおける設置条件や、比較対象に想定する電力料金によって異なります。そのため、定義も厳密に一意に定まるわけではなく、世界共通の指針があるわけではありません。ここでは、参考として日本で指標とされる、太陽光発電開発戦略(NEDO、2014年9月)による定義をご紹介します。

1.第一段階グリッドパリティ:家庭用電力(従量電灯)価格並み(23円/kWh)/2013年達成済み

2.第二段階グリッドパリティ:業務用電力(高圧以上)価格並み(14円/kWh)/2020年目標値

3.第三段階グリッドパリティ:汎用電源(基幹電源)価格並み(7円/kWh)/2030年目標値

グリッドパリティが重要視される理由

世界各地域において基幹となっている火力や原子力の環境への影響が近年、指摘されていますが、それらを代替するために普及してきているのが再生可能エネルギーです。

日本でも東日本大震災などをきっかけに再生可能エネルギーへの関心が集まっています。しかし、再生可能エネルギーはもともとのコストが高く、補助金やFIT制度無しには普及が進まないという側面もあります。グリッドパリティは言い換えると、優遇措置なしでも市場の普及が進むために達成すべき最低ラインです。この最低ラインを用意することで、電力市場の全体的な目標を定め、運用を進めていけるようになります。

グリッドパリティが達成されると

上記にもあるように、グリッドパリティとは優遇措置なしにも普及が進む市場を形成する最低ラインであるため、グリッドパリティの達成はゴールではなく、競争市場のスタートラインになります。

グリッドパリティが達成されれば、今後はFIT制度による売電に頼らなくても、自家消費で採算がとれるようになります。つまり政策に依存しない新たな市場形成がなされるということであり、売り手優位の市場から買い手優位の市場へと変化していくということです。

太陽光発電のグリッドパリティが達成に近づいていけば、太陽光発電産業は、先駆者優位の市場から、マーケティング戦略での戦いの場へとステージが変わっていきます。

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