燃料電池

燃料電池とは

燃料電池とは、水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を作る発電装置です。発電効率が高く、従来の化石燃料のように有害物質を排出しないので、環境にやさしい発電装置として世界中で開発が進められています。

背景

近年化石燃料の枯渇や、地球温暖化の防止という世界共通の課題に取り組むために、新エネルギーの開発が進められています。

燃料電池の原理が発見されたのは1801年ですが、エネルギー自給率の低い日本では、エネルギーに対する懸念などから1980年代以降燃料電池の積極的な開発が進められています。最近では家庭用燃料電池や、燃料電池自動車が普及しつつあります。

従来の発電方法との違い

燃料電池は水の電気分解と逆の原理で発電します。つまり、水素と酸素を電気化学反応させて電気を作るということです。

従来の発電では、ボイラーで燃やすことによって化学エネルギーから熱エネルギーを作り、その熱エネルギーを運動エネルギーに変えタービンを回し、電気エネルギーに変換するといういくつかの過程が必要でした。

そのため変換の際のエネルギー損失が多く、発電効率が良くありません。一方、燃料電池は電気化学反応により直接電気エネルギーに変換するので、発電効率が高いといえます。

燃料電池のメリット・デメリット

燃料電池の主なメリットとしては、発電効率が良いこと、地球上に水素と酸素がある限り安定して発電できること、化学反応のみで発電するので騒音が発生しないこと、発電の際に排出されるのが水のみであり、環境に優しいことの4点が挙げられます。

しかし、デメリットとしては未だにコストが高額であることと、寿命が10年程度と長くないことなどがあります。

今後の展望と課題

現在、日本政府はコストの問題を解決するためにエネファームや燃料電池自動車に対し、補助金を支給しています。官民一体となり環境に優しい燃料電池の普及に力を入れているところで、日本エネルギー経済研究所の試算によると、2050年に水素・燃料電池の国内市場は8兆円に達する見込みです。

クリーンエネルギーとして注目を集める燃料電池ですが、安全性やコスト、インフラなど課題が多いことも事実です。したがって、今後の技術の進歩や規制緩和、補助金政策により更なる普及が期待されます。

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