ESCO
概要
ESCO事業とはEnergy Service Companyの略称で企業活動として省エネルギーを行い、省エネルギー改修にかかる全ての経費を光熱水費の削減分で賄うことです。また、省エネルギー効果の保証を含む契約形態(パフォーマンス契約)をとることにより、自治体の利益に最大化を図ることもできます。
背景
第二次石油ショック後にアメリカで盛んになった手法です。わが国の最終エネルギー消費は年々増加傾向にある一方で、地球環境問題への国際的対応が迫られています。省エネルギー推進のためには専門的な技術と一定の資金が必要であり、施設の保有者や事業主体の多くが省エネルギーのためのポテンシャル不足により、十分な取り組みができていない実態にあります。そこでESCO事業の導入が省エネルギーの推進に大きな役割を果たすと考えられます。
具体的な内容
ESCO事業では、すべての費用を省エネルギー改修で実現する光熱水費の削減分で賄うことを基本としているため、ESCO事業の実施により自治体が損失を被ることがないよう、事業採算性が重視され、自治体の新たな財政支出を必要としません。
また、ESCO事業者による資金調達を活用する場合は、事業開始初年度から従来の光熱水費支出以上の経費負担が発生することがなく、同時に省エネルギーを推進し、温室効果ガス排出削減を実現することが可能です。
メリット
ESCO利用者は事業者から以下のメリットを受けられます。
新たな負担を必要としない省エネルギー促進策
省エネ改修に要する経費は、省エネルギー改修等で実現する経費削減分で賄われます。
ESCO事業者が省エネルギー効果を保証
保証した省エネルギー効果が得られなかった場合、ESCO事業者は顧客の損失を補填します。
包括的なサービスを提供
省エネルギーの経験がなくても、人材が確保できなくても省エネルギーは実現でき、ESCO事業者が責任を持って、エネルギーに関する包括的なサービスの提供を行います。
省エネルギー効果の計測・検証を徹底
パフォーマンス契約の中でESCO事業者が保証した省エネルギー効果は、適切な計測・検証の結果で明らかになります。ESCO事業者は保証した分の報酬として、利用者が得られた省エネルギーの効果の一部を受け取ることができます。
一般的な改修工事との違い
省エネルギー改修工事にESCO事業を導入する場合には、省エネルギーの診断から改修工事、導入設備の運転管理に至るまでESCO事業者が包括して携わります。省エネルギー改修工事を計画段階から施工、効果の計測、検証まで責任をもって一貫して行うことが、省エネルギー効果の実現をより確かなものにします。
一方、一般的な省エネルギー改修工事の場合には、設計契約、工事契約、設備の運転管理契約は別々となることが多いため、省エネルギー効果の保証を得ることは困難です。
契約の種類
①ギャランティード・セイビングス契約
パフォーマンス契約のうちの一つで、初期投資は利用者が負いますが、ESCOは利用者に対し省エネルギー回収による節減額を保証し利益補償を行うことため利用者の負担額は少なくなります。サービス期間も自由に設定できます。特徴としては、利用者とESCO事業者の関係、利用者と金融機関の関係に分けることができます。
②シェアド・セイビングス契約
パフォーマンス契約のうちの一つで、金融機関からの借り入れをESCO事業者が行うため、利用者は一切のリスクを負いません。通常、サービス期間は9~15年の長期契約となります。 特徴としては、顧客の関係、ESCOと金融機関の関係に分けることができます。
③サード・パーティー・ファインナンス
第三者が出資しESCO事業に投資するものです。利用者の代わりにファインナンスを行うことからサード・パーティー・ファインナンスと呼びますが、財政面、金銭面のサポートが中心となっています。 ただし、これを事業化するためには、エンジニアリング、設備調達、エネルギーの選択、金融、財務などのノウハウが必要になります。