ビオトープ

ビオトープとは

ビオトープとは、生物の住みやすい環境や生物間相互作用(生物と生物、生物と非生物の関わり)を重視した環境のことです。人間が整備・管理しているものや、自然が作り出してそれを人間が管理しているものがあります。双方に大きな違いはなく、基本的には仕組み自体は同じものとなります。

ビオトープの仕組み

ビオトープの主な構造は、水が循環する池環境です。この構造が、環境を改善するうえで重要な役割を果たします。

地域によっては、ビオトープが存在せず水路だけだと、水生生物が水流に流されて生息地にとどまることができないといった問題が発生します。そうすると、他の水域に住む生物に影響を与えてしまいます。また、農業効率を上げるために農薬を使うことで、そこを利用していた生物たちは影響を受け数が減少してしまいます。そのほか、高齢化が進み水田を維持できる人が減ってしまっているために放棄水田が増え続け、田んぼなどの水辺環境が減っています。そういった現象を減らすために、水辺環境を取り戻し、人の手で管理することの必要性が高まっています。

そうした観点から、生態系保全、主に水辺環境の生物保全に資するビオトープは、環境改善する際の策として選択肢の一つとなります。また、ビオトープは環境改善を促すだけではなく、副次的に電力を発電することも可能です。

具体的な事例・内容

ビオトープを利用した発電の例として、ビオトープに流れる清水を使った水力発電の事例があります。それはらせん水車を活用した水力発電です。ゆっくりでも流れ続ける水を利用することで電気を作り出し、町の灯りに活用されます。水車を経由して流れた水は酸素を多く含むため、ビオトープの生物にとって最適な水となります。

また、ろ過や酸素供給が上手くいかず、藻類が大量発生してしまうビオトープも中にはあります。基本的には、これらは人の手で掃除するほかありません。ですが、ただ捨てるだけではなく、藻をバイオ燃料として活用することも可能です。こうして藻を除去することで富栄養化も防ぐことができ、水中の窒素やリンを回収し生物に適した環境を作ることができます。

その他にも、ビオトープを自然の太陽エネルギーで循環させようという試みもあります。ビオトープは、自然の水流のみで環境を循環させられる場合もありますが、水流が弱い場合はモーターのアシストが必要です。そのビオトープを稼働させるためのポンプを太陽光発電で賄うことで、自然エネルギーで循環させる構想があります。

課題・問題点

上記のビオトープによる再生可能エネルギーの有効利用について、課題を挙げていきます。まず、バイオマス発電に関しては、燃料となる藻を常に採取することが難しく、燃料調達に課題が残ります。また、モーターは常に稼働させる必要がありますが、太陽光発電は天候が悪いと発電せず、モーターが動かない時間帯ができるという問題があります。ただ、水力発電に関しては、発電量は微量ですが常に発電を続けており、この中では最も経済効率性の高い発電方法といえます。

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