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研究・調査報告

東大、変換効率26.%のペロブスカイト/CIGSタンデム太陽電池を実現

東大、変換効率26.%のペロブスカイト/CIGSタンデム太陽電池を実現の概要写真
(発表:2022年07月12日)

変換効率26.%のペロブスカイト/CIGSタンデム太陽電池を実現

1. 発表者:

瀬川 浩司(東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 教授)

別所 毅隆(東京大学 先端科学技術研究センター 附属産学連携新エネルギー研究施設 特任講師)

多田 圭志(東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 学術専門職員)

中村 元志(東京大学 大学院工学系研究科 先端学際工学専攻 博士課程(研究当時))

2. 発表のポイント:

◆ ペロブスカイト/CIGSタンデム太陽電池として世界最高性能となる変換効率26.%を達成。

◆ タンデム太陽電池のトップセルに使う半透明ペロブスカイト太陽電池の性能を劇的に高め、変換効率19.5%を実現できたことが要因。

◆ 本研究を発展させ、30%を超える高い変換効率を示す軽量フレキシブル太陽電池を実現できる可能性があり、ビル壁面、電動航空機、ドローンなどへの利用が期待される。

3. 発表内容:

ペロブスカイト太陽電池(注1)は、塗布製造できる安価な太陽電池でありながら、単結晶シリコン太陽電池に匹敵する高い変換効率を示し、軽量フィルム基板にも形成できることから次世代の高性能な軽量フレキシブル太陽電池として世界中で開発競争が進められています。

ペロブスカイト太陽電池の現状での世界最高効率は25%台ですが、電動航空機、電気自動車、ドローンなどへの用途拡大を目指すには、軽量フレキシブル太陽電池で30%台の変換効率を実現する必要があります。これを実現するためには、CIGS太陽電池(注2)など、既存の軽量フレキシブル太陽電池と組み合わせたタンデム太陽電池(注3)とする方法が考えられます。

東京大学大学院総合文化研究科の瀬川教授らの研究グループは、太陽電池の変換効率の飛躍的向上が期待できるペロブスカイト太陽電池とCIGS太陽電池を組み合わせたメカニカルスタックタンデム太陽電池の研究を進めてきました。有機金属ハライドペロブスカイトとCIGSは、いずれも高い光吸収性能を有し、従来のSi太陽電池の100分の1程度の膜厚で製造可能で、軽量フレキシブル化も容易です。

ペロブスカイト太陽電池を、タンデム太陽電池に用いるためには、従来の金属電極を、ITO(酸化インジウムスズ)などの透明導電層に置き換える必要があります。本研究では、ペロブスカイト層にダメージを与えずに高性能なITOを積層する手法を開発し、高い性能を維持した状態で半透明なペロブスカイト太陽電池を作成することに成功し、半透明ペロブスカイト太陽電池としては世界最高性能となる変換効率19.5%を達成しました。

この高効率な半透明ペロブスカイト太陽電池とCIGS太陽電池を組み合わせる事で、26.%の変換効率を有するメカニカルスタックタンデム太陽電池を実現しました。

本研究を発展させ、さらなる変換効率改善の研究を続ける事で、30%を超える軽量フレキシブル太陽電池を実現できる可能性があり、ビル壁面や大面積屋根などの建物設置のほか、電動航空機、電気自動車、ドローンなど高効率化と軽量化が求められる分野での活用や、新しい用途への展開も期待されます。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach/636311/01_202207121508.pdf
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