カーボンニュートラル実行戦略:電化と水素、アンモニア

発行年月日:2021年3月12日
発行所: エネルギーフォーラム

執筆者:戸田直樹、矢田部隆志、塩沢文朗

カーボンニュートラル実行戦略:電化と水素、アンモニアの写真

本書は、それぞれの技術分野のバックグラウンドを持つ専門家が一体となってそうした困難を克服し、なぜ、電化と水素エネルギー、そしてアンモニアがカーボンニュートラルの実現のために重要と考えられているのかを含め、新たなエネルギーシステムの俯瞰的な姿と、それを構成する具体的な技術について分かりやすく説明することを試みたものです。

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著者情報

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塩沢文朗氏

住友化学主幹

元内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリア」 サブ・プログラムディレクター(サブPD)。1977 年、横浜国立大学大学院工学研究科化学工学専攻修了。1984 年、スタンフォード大学大学院コミュニケーション学部修了(M.A)。.1977 年、通商産業省(現:経済産業省)入省、経済産業省大臣官房審議官(産業技術担当)、内閣府大臣官房審議官(科学技術政策担当)を経て2006 年に退官。2008 年、住友化学入社、2009 年、同社理事、2015 年、同社主幹。2014 年から2018 年までSIP「エネルギーキャリア」サブPD、2018 年からはSIP「IoE 社会のエネルギーシステム」(エネルギーマネジメント)イノベーション戦略コーディネーター、現職

カーボンニュートラルの実現のためには、エネルギー総力戦が必要です。それにもかかわらず、異なるエネルギー技術間の壁は高く、異なる分野の間では使われる用語や単位、さらには考え方のアプローチすら異なる場合があることもあって、これまで「総力戦」の全体像を理解するのは容易でなかったのが実情だったと思います。

カーボンニュートラルの実現の鍵は、電化と水素エネルギーといわれますが、電力技術と化学技術の間に存在する壁は、その典型例といってもよいものでしょう。

本書は、それぞれの技術分野のバックグラウンドを持つ専門家が一体となってそうした困難を克服し、なぜ、電化と水素エネルギー、そしてアンモニアがカーボンニュートラルの実現のために重要と考えられているのかを含め、新たなエネルギーシステムの俯瞰的な姿と、それを構成する具体的な技術について分かりやすく説明することを試みたものです。「総力戦」の具体的な戦略案を描いたものともいえるでしょう。

さらに本書は、日本の「カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の大きな柱の一つとなり、世界的にも注目を集めているCO2フリー燃料としてのアンモニアについて、その科学的な原理から利用技術開発の状況、そして社会実装に係る課題まで、客観的な情報をもとに総合的に解説しています。

本書のこうした挑戦的な試みが、日本のカーボンニュートラル戦略の一層の深化のための検討材料を提供するものとなることを期待しています。