アベノミクス2020―人口、財政、エネルギー

発行年月日:2018年2月9日
発行所:エネルギーフォーラム

執筆者:宮前耕也

アベノミクス2020―人口、財政、エネルギーの写真

本書は、創業100周年を迎えた大手証券の新進気鋭アナリストが日本経済を徹底検証した一冊です。人口、財政、エネルギーの観点から、安倍政権への宿題を提示しています。

著者インタビュー

著者情報

宮前耕也

SMBC日興証券株式会社

シニア財政アナリスト 宮前耕也氏

1979年、大阪府生まれ。1997年に私立清風南海高等学校卒業。2002年に東京大学経済学部卒業後、大阪ガス㈱入社。2006年に財務省へ出向し、大臣官房総合政策課調査員として日本経済、財政、エネルギー市場の分析に従事。財務省在籍中に『図説 日本の財政(平成18年度版)』および『図説 日本の財政(平成19年度版)』(東洋経済新報社)を分担執筆。2008年に野村證券㈱入社。債券アナリスト兼エコノミストとして日本経済、金融政策の分析に従事。2011年にSMBC日興証券㈱入社。エコノミストを経て、現在はシニア財政アナリスト。

昨年秋の衆院選はアベノミクスの行方を大きく左右する出来事でした。与党圧勝で安倍政権が長期化する可能性が高まったこともさることながら、より重要なのは、政治体制が「保守与党vs保守野党vs革新」の3極対立構図に変化したことです。

保守与党と革新が外交・安保政策を巡って争う中、保守野党は埋没しないよう経済政策を差別化して存在感を発揮するでしょう。今後、保守野党が政権を担わずとも、与党の政策に影響を与える可能性があります。

経済政策のうち、特に争点化しやすいのは財政とエネルギー政策です。昨年秋の衆院選でも、希望の党は消費増税凍結と原発ゼロを打ち出し争点化を図りました。財政が争点になりやすいのは、少子高齢化で世代間対立が生じているためです。

エネルギー政策は、かつては大きな争点ではありませんでしたが、東日本大震災と原発事故のあと、国民の意識は一変しました。原発に頼るのか否かが争点になっています。原発以外のエネルギー源にも一長一短あり、バラ色の解決策はなかなかありません。

財政もエネルギーも、日本経済の弱点です。日本は先進国の中で突出して財政指標が悪く、かつエネルギー自給率も低いため、中長期的な視点で戦略的に弱点を克服する必要があります。ですが、国政選挙の争点になり続けると、本来必要な対策や改革が難しくなります。人口動態を踏まえて、中長期的に財政が持続可能なのか、あるいはエネルギー供給の安定を図れるのか、本書を通じて考察するヒントをみつけて頂ければ幸いです。