デジタルグリッド
発売日:発行年月日:2016年11月1日
出版社:発行所:エネルギーフォーラム

電力がかつてないほど市民の口の端に上るようになり、さまざまな議論が活発になされるようになりました。しかし、電力の仕組みをわかりやすく解説した本が少ないのが現実です。その点で本書は、図を一切使わず電力技術が誰にでもわかるような内容の書籍となっております。
著者インタビュー
著者情報

東京大学大学院技術経営戦略学専攻特任教授
1953年福島県生まれ。東京大学工学部電子工学科卒業後、電源開発㈱(Jパワー)入社。九州大学博士(工学)、米国電力研究所派遣研究員、Jパワー上席研究員、2008年より現職。
ーー本書をお書きになるきっかけは?
電力がかつてないほど市民の口の端に上るようになり、さまざまな議論が活発になされるようになりました。しかし、電力の仕組みをわかりやすく解説した本が少ないのが現実です。そこで、図を一切使わず電力技術を誰にでもわかるように説明する必要があると思ったのが第一義的なきっかけです。
また、デジタルグリッドを構想して8年が経ち、技術面でも実績面でも成熟してきました。そろそろ広く世間に訴えるべき時期が来たというのが第二義的なきっかけです。
ーー本書で特に訴えたいところは?
電力システムはあまりにも効率的であったがゆえに、現在の姿まで巨大化してきました。しかし、昨今の太陽光や風力発電に代表される分散型の再生可能エネルギーが大量に普及しだすと、現在の電力系統技術とはうまく協調できません。非同期な連系による無数の自立分散型系統の集合体に変貌していくでしょう。ビジネスモデル的にも分散型の調整可能な再生可能エネルギー由来の自家発電が普及するでしょう。
このプロセスをうまく設計し、規制緩和を適切に行っていくことで、電力とエネルギーに関するパラダイムシフトを実現することができます。日本の電力系統は、そのモデルとしても最適なプラットフォームです。デジタルグリッドでは、パワーエレクトロニクスとインターネット技術をブロックチェーンと組み合わせることで、電力を識別・融通することが可能になります。これにより、電力価格は大きく低減し、電力市場は飛躍的に拡大します。
ーー日本の成長に欠かせないものは?
従来のエネルギー戦略が、さまざまな外的要因の変化により、立ち行かなくなりつつあることは、有識者の方には見通せていることでしょう。しかし、代替策が見つからないというのが現状かと思います。 送配電網の真の自由化により、新しいエネルギー成長戦略を描き、対象市場を全世界に広げることが日本の大いなる成長につながります。