IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム –

2020年6月18日
コロナ社

編著:天雨徹、共著:田中立二、大谷哲夫

IEC 61850を適用した電力ネットワーク- スマートグリッドを支える変電所自動化システム –の写真

変電所自動化システムの通信規格IEC 61850を理解し,スマートグリッドの実現へ。

著者情報

中部電力パワーグリッド株式会社
天雨徹氏

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
田中立二氏

一般財団法人 電力中央研究所システム技術研究所
大谷哲夫氏

解説/内容

変電所自動化システムのための通信規格IEC 61850を理解するためその全容を網羅。必要項目と具体例を体系的にまとめた解説書。学生から専門技術者まで、変電所自動化システムをはじめスマートグリッドに携わる方必携の一冊。

本書のコンセプトと構成/目次等

第1章では、電力ネットワークを取り巻く環境の変化として、太陽光発電の大量導入、スマートグリッド、国際標準、電力ネットワークの現状と課題について述べる。

第2章では、変電所保護制御システムの国際標準であるIEC 61850 の目的・対象・適用範囲などの概要、および論理ノード・通信サービス・エンジニアリングツール・試験仕様などの規格体系について解説する。また、変電所保護制御に必要な装置・機器の情報をモデル化したIEC 61850 の論理ノードと、それを用いた変電所保護制御システムの構成について解説する。

第3章では、変電所の計測・監視・制御・保護に必要とされるIEC 61850 の通信サービスについて解説する。また、CT/VT 瞬時値・遮断器トリップ指令の高速伝送のためのプロセスバス、および送電線電流差動保護・シンクロフェーザ適用系統観測・変電所―制御所間通信などの広域通信のためのIEC 61850 拡張標準と、これらに関係した電力システムのセキュリティ標準IEC 62351 について解説する。

第4章では、保護制御ユニットの構成を、ハードウェア、実装される保護制御機能、ソフトウェアの三つの側面から解説する。あわせて、IED の設定作業を行う際に利用するエンジニアリングツールについても説明する。

第5章では、IEC 61850 のクライアントとなるSCADA について述べる。SCADA は、変電所監視制御システムにおいても適用される。具体的には、一般的なSCADA の機能と構成について述べた後、変電所監視制御システムに適用するSCADA について説明する。

第6章では、 配電用変電所が有する保護制御機能(抜粋) を対象に、IEC 61850 を適用した場合のケーススタディを述べる。ケーススタディでは、主回路構成・保護制御機能・対応する論理ノード・IEDの仕様を想定した上で、システムの設計・試験・メンテナンスの具体例を示す。

第7章では、電力ネットワークに関する保護制御システムの今後を、IEC 61850 に関連する観点から考察する。具体的には、汎用性を確保するためのアプローチ、分散型電源・配電自動化・風力発電といった広域性の確保、エンジニアリングツールの標準化など標準化範囲の拡大に着目する。また、電力会社とメーカの役割分担やデータ活用についても考察する。

著者インタビュー

本書が変電所自動化システム設計者のみならず、これら電力ネットワークについて関心をもっておられる方々にとって、少しでも役に立つものとなれば望外の喜びです。