原発事故 最悪のシナリオ

2022年2月18日
NHK出版

石原大史

原発事故 最悪のシナリオの写真

福島第一原発事故発生後、東日本壊滅を想定した複数の極秘シナリオが書かれていた! 官邸、米軍、自衛隊、東電がそれぞれに準備していた「最悪のシナリオ」。未曽有の危機を前に、危機管理を担う当事者たちは何を考え、どう動いたのか?関係者100余名への独自取材をもとに、日本危機管理の実像に迫る!第64回JCJ賞受賞のNHK・ETV特集が書籍化!

著者情報

NHKディレクター

石原大史氏

NHKディレクター。2003年NHK入局。長崎放送局、大型企画開発センターなどを経て現在、制作局ETV特集班ディレクター。制作した番組にETV特集「ネットワークで作る放射能汚染地図」(第66回文化庁芸術祭大賞)、「薬禍の歳月 サリドマイド事件50年」(第70回文化庁芸術祭大賞、第41回放送文化基金賞・最優秀賞)、「お父さんに会いたい “じゃぱゆきさん”の子どもたち」、NHKスペシャル「空白の初期被爆 消えたヨウ素131を追う」(第56回JCJ賞)など。共著に『ホットスポット ネットワークでつくる放射能汚染地図』(講談社)。

解説

3月25日に政府に提出された「最悪のシナリオ」以外にも、東京電力や自衛隊、アメリカ政府などが「最悪の事態」の想定について、それぞれ独自に検討を行っており、それらは有機的に結びつきながら事故直後の混沌を生み出していた。
政府と東電の間の「撤退」をめぐる確執、安全保障問題にも波及しかねない日米両政府間での不信感の高まり、そして、民主主義国家における「命の犠牲」をどう考えるのかという究極の問い……。
「最悪のシナリオ」の成立過程の追跡は、戦後日本の国としてのあり方を問うという、巨大な地下水脈へ通じる道となっていたのだった。(プロローグより)

本書のコンセプトと構成/目次等

  1. プロローグ 「最悪のシナリオ」の謎
  2. 第1章 沈黙
  3. Too Late――遅すぎたシナリオ / 3月12日、1号機水素爆発の衝撃 / パニックへの恐怖 / 動き出したアメリカ

  4. 第2章 責任と判断
  5. 怖れていた連鎖――3月14日、3号機水素爆発 / 東電本店の危機感 / 巻き込まれた自衛隊 / アメリカの焦り / 「撤退か否か」――判断を迫られた、官邸の政治家たち / 15日早朝、やってきた〝そのとき〞

  6. 第3章 反転攻勢
  7. 関東圏に到達した放射能 / それは〝誤認〞だった / 「使用済み燃料プール」という名のモンスター / ヘリ放水作戦開始 / 英雄的行為 /分水嶺

  8. 第4章 終結
  9. 吉田所長の〝遺言〞 / 東電―自衛隊、非公式会談 / アメリカの大規模退避計画 / 自衛隊の覚悟 / 日本政府版「最悪のシナリオ」とは何だったのか / 最後の謎 エピローグ 「最悪のシナリオ」が残したもの